長編 #3280の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
食事は確かに旨かったが、精神的には、とてもじゃないが食べれるよ うな代物ではなかった。しかし、どうしてあの時逃げるような真似をし たのか・・・。 強制的に部屋に戻されたミリアムは、窓の外をじっと眺めていた。見 える風景は、唯々住宅が立ち並び、所々に生息している木々。味けない というか、とにかく詰まらない物であることに間違いはなかった。 TVが点いた。 「ミリアム様、お父上のベル様がシベリアより御帰宅になられました。 1階の方に降りてきて下さい」 確かにヘリの音が微かに聞こえる。チャンスはあっという間におとづれ たのである。ミリアムは急いで部屋をて下へと降りていった。 @@@ 「おお、ミリアム!帰っていたか!」 正に、自分に歳をとらせたかの風貌。間違いなく父親のベルであるこ とに親近感をいだいた。普通にしてればいいのだ、そうミリアムは思っ た。 「おかえりなさい、お父様」 シーナが先手を取った。ミリアムは、どう言えばいいのか見当もつかな い。とりあえず真似をすれば何とかなる、そうミリアムは思った。 「お、おかえり、お父様・・」 オウムの様な気分で続けて言った。どんな答えが返ってくるのか・・ そっとベルの目を見たミリアムは、その険しい顔に耐えられず、目を反 らした。 「・・・やっとお父様と呼んでくれるようになったのか。それでこそあ の土地を手にいれた甲斐があったというものだ」 そう言ったベルは、奥のほうに歩いていった。旨くいったらしい。まず は機嫌をとらなければと思ったミリアムは、ベルに追い付くと鞄に手に 取った。 「私が持つよ、お父様」 しかし、ベルの足が止まった。歩いてきた廊下をゆっくりと振り返り、 顔つきはさっきにも増して険しく変化した。 「コンラッド!コンラッドはいるか?!」 コンラッドは、ゆっくりとベルの方に寄っていった。 「何でございましょう?」 その時である。 ”バシッ!” ベルの右腕が弧をえがいてコンラッドの頬をはたいた。その勢いは、コ ンラッドの身体を後づさりさせる程度のものではあったが、精神的な威 力として申し分のない平手だった。コンラッドは、はたかれた頬を押さ えながらベルの方を見た。 「ばかもの!何かあったら連絡をしろと言っただろう!私に嘘をつける とでも思ったか?!」 @@@ 夕飯は以外と早く、日が繰れる前に始まった。豪華であるが、これが デリンガー家の通常の食事内容なのだろう。家族、とはいっても、ベル、 ミリアム、コンラッド、シーナの4人が一緒に食事をするだけのこと。 使用人はまた違ったものを食べているのだろうか、そうミリアムは思っ た。 「そうか、記憶喪失とは厄介だな。ミリアム、本当になにも憶えていな いのか?ほら、3年前の世界一周など、ミリアムが特に喜んでいたで はないか」 「全く憶えてないよ。あの土地に関する事ならいくらか・・・」 「それはそうだろう。あの土地はお前が欲しいとねだった物だからな」 コンラッドは黙々と食事していた。 「コンラッド、あの土地はどうなった?!」 「!・・むぐっ」 いきなりの言葉に喉を詰まらせたコンラッドは、急いで水を口に流し込 んだ。ほっとため息をつくと、土地に関する詳細をまとめた話をし始め た。そう、朝の出来事と一緒に・・・ ベルは椅子を倒して立ち上がり、無言でその場から出ていった。 「お兄様、あれほど喜んでいたのではないのですか?」 そう言ってシーナは食事をそのままにしてベルの跡を走っていった。父 親を慕っているのだろうか。食堂には、2人だけが残った。このままで はだめだ、そう感じたミリアムは、更にベルの跡を追った。 「どうしたものか・・・マリネ様が生きていられた頃は、食事を中断す る事すらなかった、こんな生活ではなかった・・」 食堂には、コンラッドが一人、黙々と食事を続けていた・・・。 @@@ 「なんで、話が終わる前に聞くのをやめるんですか?!私はあの家で、 一季節お世話になった。それを恩でないとするならば、あなたは邪道 だ!」 ミリアムはベルの腕を掴んでその動きを止めた。 「お母様だって、こんな時にアメリカへいって・・」 その時、ベルの体はミリアムの方に振り返り、弧を描くように平手が飛 んだ。 ”ゴッ!” ミリアムの体は宙に浮き、頭は柱に激打した。 「うっ・・・・」 瞬時にミリアムは頭を押さえたが既に遅く、目の前はチラチラとしなが らそのまま目の前が暗やみと化していった。 「・・・・・コンラッド!」 ベルは、何気ない顔つきでその状況を見下していた。コンラッドは、 あまりに何事も無かったような雰囲気に、いつも通りのペースで歩いて いた。その状況を把握したのは、辿りついてから・・・。 「ミ、ミリアム様・・・!一体、何があったというのですか?!」 コンラッドは、いつになく静かなベルの目を見つめた。しかしベルは、 しらん、と言うばかり。とにかく救急車を呼ばなければと、コンラッド は全速力で電話へ向かった。
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