長編 #3052の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
振り返ってみると、ほんとにわずかな時間なんだけど あんなにも甘やかで豊かな年月を彼女たちと過ごせたことは 一番のたからものなんだと思う。 ***************************************************************************** 【Scramble Generation - December -】 ***************************************************************************** 01 TWILIGHT GIRL [ミリィ] 【楢崎美鈴】 「えーー!!ユミもノンコも城高行かないの?!!」 ふとしたことから、ユミが音大付属への進学をもらし、それにつけ加えるかのよう にノンコが親の転勤で福島に行ってしまうことを言い出した。 「わたしの場合は、音大付属が落ちちゃったら城高の方へ行くわけだから、完全に決 まったわけじゃないんだよ」 ユミが苦笑いをしながらそう答える。ソノウさんとのちょっとした事件があってか ら、彼女の態度に何かを感じていたのだが、ぎりぎりになっての進路変更はあたしを びっくりさせた。 「それにしても急だよね」 すでにここの付属高への進学を決めているアンコは、余裕の表情を見せながらも少 しだけ悲しそうな声でそう呟いた。 「そうだよそうだよ急すぎるよぉ。ユミだけじゃない!ノンコも!」 あたしはやり場のないじれったさを言葉にのせる。 「わたしの場合はさぁ、ほんとうに急だったんだよぉ。こればっかりはわたしのせい じゃないからね」 ノンコはいつものゆっくりしたペースであたしに言い訳をする。だけど、急な話な んだからに、絶対に本人も堪えているはず。 「もう!みんなバラバラになっちゃうなんてさびしすぎるよ」 あたしまで、だんだん悲しくなってくる。別れは突然やってくるとは言うけど、そ れにしたってホント、急すぎるよ。 「会おうと思えばいつでも会えるんだよ」 アンコの笑顔が胸を締め付ける。 そんなのわかってる。 でも、理屈じゃないんだよね。 01 SMILE GIRL [アンコ] 【朝倉杏子】 四人の中で一番の泣き虫と言えばミリィだろう。 わたしたちの仲間の中では特に感情の動きが激しくて、それだけによく泣いたり怒 ったりまるで秋の空のようにころころとよく変わる子。その性格にどれだけわたした ちが振り回されたか。とはいえ、根っからの正直な子で多少のわがまま言われても憎 めないところがある。 わたしなんかみたいに無理な作り笑いしなくても、この子は周りを幸せにしてくれ る。思いこみが激しくて城高の女の先輩を「お姉さま」と慕ってはいるが、将来本当 の恋に目覚めたとき、きっと素敵な人を見つけるだろう。 「アンコ、パーティの幹事やってよ」 そんなミリィのいきなりの提案。ほんと、立ち直りというか、気持ちの切り替えが 早い彼女。 「ちょっと待った。まだお別れまで三カ月もあるんだよ。それになんでわたしなの」 「こういうのは早めに決めといた方がいいのよ。それにアンコは付属でそのまま上が るわけだから、厳密にいえばここに残ることになるでしょ。普通は残る者が去る者に 対してお別れパーティ開くんじゃない」 ミリィはやや強引な理屈をわたしの通す。まあ、いいか。 「でもさ、わたしが付属高受かるかは分からないよ。第二志望はミリィと同じ城高だ し、また一緒になれるのかもよ」 「そんときはそんときよ。残念会に切り替えればいいわけじゃん」 「ミリィちゃんキツイんでないかい?」 ぐさっとミリィの言葉が心に刺さる。でも、それほど怒る気にもなれない。彼女に 悪意はないわけだし、わたしも同じ過ちを繰り返したくはない。 「わたしも落ちたら残念会してもらおうかな、ミリィに」 ユミがちょっと意地悪げにミリィの顔を見る。 「みんないいよね。結局、東京に残れるんだもん」 ノンコがぼそりとそう呟く。 「福島なんて電車ですぐだよ、会いに行ってあげるよ」 暖かみのあるユミの声。 「そうそう、ノンコの事を忘れるはずがないよ」 ノーテンキな口調だが、どこか優しげなミリィ。 「まだ、3カ月もあるでしょ。今から悲しんでてどうするの?」 わたしは、にかっとノンコに微笑みかける。笑顔の魔法はインチキなんかじゃな いよと、ノンコに教えてからもう7年も経っていた。今じゃ一番付き合いの長い親 友。 「だってぇ、みんなしてお別れの話なんかするんだもん。わたしはみんなみたいに 、さらっとそんな話に加われないよぉ」 おっとりしてはいるものの、その内に秘めた情熱はわたしたちの中で一番だろう 。小さい頃からこだわりを持っていて、四人の中じゃ一番芯が強いかもしれない。 ポケットのことを自慢げに話していたノンコ。 幼い頃、内向的な性格が災いして友人に恵まれなかったわたしに、初めてできた 親友。それが彼女だった。 01 POCKET GIRL [ノンコ] 【坂上紀子】 別れなんてつらすぎる。ほんとはずっとみんなと一緒にいられればいいと思う。 時の流れってすごい残酷。せっかくの友達とも別れを告げなければならない。 「ばかねぇ、しめっぽく話してたら悲しくなるにきまってるじゃない」 アンコの暖かみのある笑顔に少しだけ励まされる。悲しいとき、楽しいとき、い つでも彼女が一緒だったような気がする。いつも鈍いわたしを見放すことなく、付 き合ってくれた親友の一人。特上の微笑みの秘密を教えてくれた彼女。 感謝してるよ、アンコと会えて。 「そうそう、しめっぽいのはよくないのだ。げへっ」 ミリィのいつもの明るい口調がその場をぱっと明るくする。 「あんたが、最初にしめっぽくしたんでしょ!」 ユミのお約束のツッコミ。他の人から見ればたわいのないおしゃべりなんだろう けど、わたしたちにとっては大切な時間。 トモダチというかけがえのない宝物。振り返ればこんな特別な宝物が、わたしの 心のポケットにいったい幾つ入っているだろう。 まだ、小学校に上がる前、仲良しだったミカちゃん。いつも一緒に遊んで楽しみ を分け合った。次にアンコと出会って、わたしたちはお互いの魔法の秘密を教え合 う。 アンコはとってもあったかい子で、いつも笑顔でまわりを和ませる。そんな彼女 と一番のトモダチというのがわたしの自慢の一つだったりする。 中学に入って、ミリィとユミと出会って仲良しグループみたいなのを作って、み んなで遊びにいったり、くだらない話をしたりして楽しい時間を過ごして、時には 喧嘩なんかあったりして友情にヒビでも入りそうになるんだけど、みんなやっぱり みんなのことが好きだから大したことがなく終わって……アンコは忘れっぽいとこ ろがあってそれが玉に瑕だし、ミリィはお調子者ではしゃぎすぎると手に負えない し、ユミは四人の中で一番落ちついていて大人っぽいだけに、いつも悩みとか抱え ていて……でもそんなみんなの欠点さえもわたしは好きであったりする。 やだなぁ、みんなと別れるなんて。 やだよぉ。 01 MELODY GIRL [ユミ] 【三浦有魅】 隣にいたノンコがぽろりと涙をこぼした。 それは、わたしたちの隙をついたもので、ミリィの涙目を気にしていたわたしは、 彼女の涙に一瞬ドキリとしてしまった。 ノンコはマイペースな性格だけに、それほど涙もろい方ではないはずだ。よっぽ どのことがない限り泣いたりしない子であった。 わたしが最初にノンコと会ったときに感じたのは、ミリィとは違った純粋さであ った。ミリィの場合は悪く言えば思春期独特のナルシズムを持った純粋さで、わが ままな意味でとられがち。だけど、ノンコの純粋さはある意味で心の広さを感じさ せ、与えるというアンコの笑顔とは対の、なんでも受け入れるという意味での純粋 な優しさを持っている。わたしは、そんなものを彼女から感じとっていた。 だから、涙もろいわたしなんかよりも先に涙を流したノンコには、今回のことは 一番堪えているのだと思う。それだけ、友情というものを宝物のように思っている のかもしれない。 まったく、わたしなんかの場合、友情さえも犠牲にして何かを始めようとしてる んだから冷たい奴だわな。 みんなの事は絶対忘れない、という自信がそうさせているのかもしれないけど。 まあ、自分で決めたことだしね、今さら後悔したくはなかったりする。 「ノンコ、ふぁいと!」 ぽんっとノンコの肩を叩き、そして自分自身にもその一言を言い聞かせる。 ふぁいと! ************************************************************************** ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ☆ ☆ ☆ 『除夜の鐘がこんなにせつなく聞こえるなんて……』:美鈴 ☆ ☆ 『おセンチになるには早すぎるよ』:杏子 ☆ ☆ 『年越しソバが食べられないなんて……せつなすぎる』:紀子 ☆ ☆ 『……(^^;) ノンコがボケてどうすんのよ』:有魅 ☆ ☆ ☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ *************************************************************************** 【Turning Point Generation - February -】 ***************************************************************************** 02 TWILIGHT GIRL [ミリィ] 【楢崎美鈴】 今日は、あたしとユミの合格発表日。 すでにアンコは、うちの付属高への推薦ではない一般入試に合格している。 余裕の表情を見せながらも、やはり悲しそうな雰囲気。心の中はきっとフクザツな のかもしれない。 「まあ、ミリィの場合は城高受かるのは当然だし……わたしはユミの発表についてい くよ」 アンコの少しだけうわずった声、そしていつもの笑顔があたしに向く。 こんな時まで無理して笑顔作んなくなっていいのに。みんなに気をつかって泣くの を我慢するのはよくないよ。 あたしはそう言ってやりたかった。でも……。 「じゃあ、ノンコもーらい」 ノーテンキにそう言いながらノンコを引っ張る。アンコがあんな一生懸命に笑顔で みんなを悲しませないようにしているんだもん。あたしだってそれに応えなきゃ。 「ミリィ、ひっぱらないでよぉ」 「ほれほれ、ノンコはやるから早くわたしとあんたの合格を確認しておいで」 そう言ってわたしの腕に触れたユミの手が、わずかながら震えているような気がす る。 合格率じゃ、ユミの音大付属の方が低い。いくら滑りどめに城高を受けているとは いえ、本当に行きたいのは音大付属の方だろう。いつも悩みを抱えながらも強気な彼 女は、今までで最大のターニングポイントを迎えようとしている。 無理をするという意味じゃアンコと同類のユミ。自然体過ぎて変なことを言い出し そうなあたしより、アンコが付いていくのが正解かもしれない。 もし……万が一……あー、ばかばかばか。あたしったら何考えてるんだか。 「アンコ。ユミのお守りをお願い」 「わたしゃお子ちゃまでちゅか? 「はいな。合格して、はしゃがないように見張っときまっせ」 アンコはわたしの言いたいことを見抜いているだろう。 頼んだよ、アンコ。
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