長編 #2550の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
4−2 無言の時が、流れました。 『さあ、そろそろいいかな。考えを聞かせてくれないか』 「俺は……」 『どうするのかな?』 「俺は、ミィのしたいようにする。いつだって、最後に決めるのはミィだからな。今 回は無駄なことはしないことにする」 『逃げ、か……?いや、それでもいいかもしれないな。さあ、だったらミィ、おまえ に全てがかかっていることになるが、どうだ?』 丸い瞳が、ゆっくりとミィの方に動きます。 ミィはまだ、決めかねているようでした。 「……あの、鳥、さん?」 『うん?』 「あたし達がその柱に入ったら、あの島はあと、どれくらい浮かんでいられるの」 『……試したことはないが、若いし、相互干渉も起こるから、そうだな、最低でも二 年は持つだろう』 「入らなかったら?」 『今日一日で沈む』 「………………そう。決めた。あたし、その柱に入る。ラストがよければ、だけど」 いつもと変わらない明るい表情で、そう言いました。 『「それでいいのか』」 二人、と言うのでしょうか、の声が全く同じ言葉を紡ぎ出しました。 「うん、いいの」 「じゃ、おれもそれでいいや。正直言って、めちゃくちゃ恐いけどな、はは……」 つい、力のない笑いを漏らしてしまいます。 「へへ、あたしも……でももっと恐かったのは、ラストが嫌だって言うことだったか ら……これで、いい。ほんとだよ……」 ミィも、せっかくつくった明るい表情をすこし、壊してしまいました。 『わからんな。私には。なにも絶対そうしろと言うわけではない。生きる方法はある んだ。まして、おまえたちはまだそんな歳なのに、それでも、なのか』 二人は、同時にうなずきます。 『わかった。わかったわかった』 鳥は柱に近寄ると、極彩色のその羽で器用になにか操作を始めました。 光の柱が、ふっ、とかき消えました。すでにバロックは、粉すらも残っていません でした。続いて、なにか床の下で、ごんごん、とか、がしゃん、とか、色々な重い音 がひとしきり響いた後、鳥は二人を振り返って、準備の完了を告げました。 「ここに、飛び込めばいいのか?」 そうだ。 「……ラスト」 「わかる、わかるって。俺も恐い。足が、前、に、でない」 「あっ、や、やだ、ふらつかないでよ。あたしなんか、ラストにつかまっ、てな、い と立って、られないんだか、ら」 優しく、鳥は二人に語りかけます。 『やめても、だれも二人を恨むことなどないし、それは悪いことでも何でもないんだ ぞ。まだ、若いのだから、な』 「ありがとう。……ミィ」 「ん」 「ごめんな。さっき、森で、あんなこと言って」 「えっ、い、いいよ、そんなの。もう、変なこと言うんだ」 「いや、はは……いくぞっ!!」 照れ隠しと同時にできた、自分の心の一瞬の隙を突いて、ラストが、ミィと共に、 走る。そして、跳躍! 「「「「ぁっ」 「きゃ「「「」 「「「落下 「「「そこは、銀色の世界でした。 心地よい揺れが、身体を揺さぶります。冷たい床の感触がよみがえ「「「? 「う……あ、あれ?」 「ん、ん……」 今度は、二人同時に気がつきました。 生きています。さっきの部屋と同じような造りですが、しかし、ここは? と、突然、ぶぅんと低い音がして、正面の真っ黒な壁に、いきなり景色が映りまし た。そこは、二人がさっきまでいた、あの柱の部屋です。聖なる鳥も、います。 驚く暇もなく、さっきまでと同じように声が響きました。 『すばらしいものを見せて貰った。まさか、あの選択をするとは思ってもいなかった ので、すまない。おまえ達を、騙してしまった。さっきの操作で、柱の底の通路を開 けた。そこは、宇宙船の中央制御室、その船の操縦をするところだ』 何を言われたのか分からず、ただぽけっと座っている二人。 『わたしは、あきらめきれないのだ。人間はまだ、もっともっと変わっていくはずな んだ。絶対に、ここで滅びるべき種族じゃない。頼む。最後の願いだ。人の歴史を、 絶やさないでくれ。頼む!』 「頼む、って言われてもなぁ……」 何となく気が抜けた感じで、ラストが呟きます。 「……ふふ。しょうがないな。そんなに言うんじゃ、断れないよ。ね、ラスト」 複雑な表情は、すぐにいつもの、いえ、いつもよりもっと明るいいい笑顔になって、 そうミィは言いました。 「やっぱり、最後はいつもミィが決めるんだからな。わかったよ。もうそこには戻れ ないんだろ?」 あーあ、といった顔でラストが言います。笑っていました。 『そうだ。すまないな。すまない、と言えば、〈渡し守〉も謝っていたぞ。精神操作 までしてしまった、とな』 「あの変なじーさんのことか。精神……?なんだかわかんないから、いいや。じゃ、 早く動かしてみたいんだけど。どうやればいいんだ?」 『操作は、すべて自動だ。発射の後は、画面の指示にしたがえばいい。あとは、離陸 エンジンを作動させるだけだ』 「それは、どうやるんだ?」 『なに、簡単だ。こちらからエネルギーを送ればいい。それじゃ、さよなら、新たな 地球のアダムとイヴ』 言い終えるなり、鳥は光の復活した柱の中へ、ためらいもなく身を、踊らせました 「や、やめ「「「!!」 「いやぁぁ「「「!!」 外郭に付着した土や木々をそのままに、船は、飛び立ちました。 「そんな、そんな、そんなぁ……」 「泣くな!」 「だって、だって!」 黒い壁には、今、丸い星が映っています。だんだん小さくなって、だんだん見えな くなって…… 船と、お互いと、前途、だけが残りました。十分では、ないですか。 語り部は、そこでふつり、と話を終えた。 後には静寂が残った。 それは、過去だったのだろうか…… それは、未来だったのだろうか…… オワリ.
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