空中分解2 #2815の修正
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* 「ほら、チョコ」 「お、サンキュ」 ゴジは、言うが早いか、チョコを開けにかかった。 「ねえ、まだ食べる気なの」 スルメが、あきれた、というようにタメ息をついた。 「とうぜんだろ。でっかいやつをかますには、無理しなきゃ」 何が、無理なもんか。スルメは口をひんまげた。 「ほら、みんなも食えよ」 ゴジは、どこまでも調子がいい。 「なあ、なあってば、さっきのこと教えるやくそくだべ」 イヤンが、甘えるように言った。 「なに、それ」 ゴジは、ポツキーの箱を開けにかかっている。 「したから、私立中学のはなしだべした」 「ああ、あれ」 スルメが、チョコの箱についていたベルマークを引きちぎりながら、うなずい た。 「推薦入学、つまり水洗トイレということだよ」 「水洗トイレがどうしたの」 イヤンは、まだピンとこないらしい。でも、あとでわかることだが、仕方のな いことだった。 それから一時間もたったろうか、三人がトイレに入りこんだのは。 「あっ、ああ」 トイレのドアを開けたとたん、スルメが大声をあげた。それは、悲鳴といった 方がよかった。 「やだよ、ぼく。だから反対だって言ったのに、もう」 スルメの顔は、ほとんど泣きそうであった。 「おお、こりゃあ、やばいわ」 さすがのゴジも顔を曇らせた。 「なにが」 イヤンは落ち着いたものだ。 「お、おまえんち、まだボットンだったのか」 ゴジが、なんとも言えない顔をして、イヤンと便器をかわるがわる見くらべた。 「おい、だれかもう<へ>こいたか。いやにくせえぞ」 「いやだよ、もう」 スルメの気持ちは、痛いほど分かるというものだ。小学生が三人一緒に、用も ないのにボットン便所の中に入りこんでいるのが、まず普通じゃない。いや、用 はあるのだ。もちろんそっちの方じゃないが。 「早く終わらせて出ようがね」 スルメは、鳴き声だ。 「そんなこといったって、急には出ないさ。もう」 ゴジも、たまらなくなってきたらしい。 「おい、イヤンどうした」 イヤンの顔色が悪いのに気がついて、ゴジが声をかけた。 「腹の調子が」 「おかしいのか」 「うん」 「なんかへんなもの食ったんだろ」 「さっき、サツマイモを」 「なにっ」 ゴジが、目をむいた。 「まさか、生のやつを食ったんじゃ」 スルメが、信じられない、というように肩をすくめた。 「ああ、チョコをとりにいったとき、ちょっと」 「けっ」 しょうがないなあ、ゴジとスルメは、あきれるばかりであった。 「あちちっ」 とつぜんだった。イヤンが声を上げてお尻を突き出したかと思ったら、続いて 、 「ブッ、ブリブリ・・・」 という、腹に響く音が便所震わした。 「わあっ」 ゴジとスルメが同時に叫び声を上げた。 「く、くせえ」 ゴジとスルメが先を争って便所から出ようとした、それがいけなかった。 「あっ」 スルメが、足をとられてバランスを失うと、便器のふたに片足をのっけてしま った。そして、まるで神の教示でもあったかのように、イヤンの足は、便器のふ たを押しのけ、するりと中に入り込んでしまったのであった。 「ひっ、」 スルメが必死でゴジにしがみついたからたまらない。勢いあまってひっくり返 ったゴジは、便器に頭をぶつけると、そのまま、うーんとくぐもった声をあげ気 絶してしまった。 さあ、大変。スルメが、いっそうわめきたてながら、ばたばたやるものだから 、ボットン便所につっこんだ片足が゛中味゛をかき混ぜる結果になり、臭いのな んのって、言語道断とはこのことか。 イヤンは、なんとかスルメをひっぱり上げようとしたが、せまいうえに、ゴジ がじゃまになって、なかなかうまくいかない。 わめき散らすスルメ、パンツを汚したのも忘れてあせるイヤン、便器に頭を打 ってのびているゴジ、そして、スルメの足でかきまわされて眠りをさました排せ つ物たち・・・。 * 筆者の住むH市は、人口25万人の中都市であるが、下水道の普及率は、わず かに20%足らずであるとか。 − おわり − 2/6
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