空中分解2 #2753の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
仕事がくそ忙しい時間に電話がかかってきた。それも自分の部で はなく隣の部にかかってきたというのだから、なんということか。 取り次いでくれた人がこう言った。 「それが、ちょっと変な電話なんです」 「なに、それ」 「年が30代の人で****(僕の本名)さんいますか?。そうかか ってきているんです」 「なんじゃ、そりゃ」 僕の本名はありふれた名前なので、同じ会社に同姓が六人いる。 しかし、その中で30代といえば僕しかいない。 「女性なんですけど、なんか変。とにかく代わってもらえません か」 隣の部の人が僕を案内して受話器を手渡す。とにかく時間がない。 電話なんぞに応対している暇はないのだが、気になるので出てみる。 「はい。代わりました」 「****さんですか?」 「そうですけど。どなたですか」 僕の質問には答えずに、いきなり自分の質問を継いでくる。 「先週の金曜日に高宮駅でお会いした****さんですよね」 「金曜日ですか。何時ごろ?」 「夜です。午後八時から」 まったく心当たりがない。その日は仕事をしていたので完全にア リバイがある。名前違いで別の****ではないのか。 「違いますね。人違いでしょう、僕は金曜日会社で仕事していま した。高宮には行っていません」 きっぱり答えたので電話を切り上げようとしたら、すかさず 「あ、やっぱり、そうでしょ。だって話し方が似てるもん」 と言われてしまってすっかり調子が狂ってしまった。似てるもん、 といわれても困る。 「残念ですが、人違いです。会社には****という名前の人がたく さんいますから、僕でなくてほかの****さんの可能性はありますが、 少なくとも僕でないのは確かですね」 「けっこう冷たい言い方するんですね」 つめたいもなにもない。ああー、はよう切り上げないと、時間が なくなってしまうではないか、暇なときなら、なんぼでも相手をし よう。相手を捜してやってもいい。しかし、今だけは勘弁してもら いたい。あと15分しかないのだから。 「あの。いま忙しいんです。申し訳ないけど、切っていいですか」 「本当にあの時の****さんじゃないんですか?話し方が本当に似 ているんです」 「その高宮で会った****さんは、自分で****会社の****と名乗っ たんですか」おせっかいにも尋ねてしまった。 「はい。そういいました」 「名刺とか貰いましたか?」 「いいえ」 「その日会ったのが初めてだったんですか」 こうなりゃ、やけ糞である。どんどん聞き出したる。 「はい。駅で会って、お茶を飲んで」 「会ったその日にですか。そりゃ、ナンパされたということです ね」 「はあ、そうですね」 そうですねーじゃないよー。俺はあんたをナンパもしてないのに、 なんでそのとばっちりをかぶって、電話で時間つぶさないかんねん。 誰か****の名前でもって、こいつをナンパしやがったのかな。 「とにかく僕じゃありません。その日は仕事でしたから」 「あやしいなあ」 あ、あ、あのねえ。残り時間が十分を切る。最も忙しい時間に机 の前を離れているので、遠くから上司の視線を感じるではないか。 もう、これ以上は相手はできん。 「それで、申し訳ないけど、いまとっても忙しいんです。とにか く僕ではないことだけは、はっきりしています。他の****さんたち は、みんな40代以上なので、あなたが捜している****さんは、う ちの会社にはいないと思いますが。それじゃ、また」 いつもの癖で、それじゃ、また。なんて言ってしまって、電話を 切った。 あー、なんてえ変な一日なんだ。変な女だったなー。誰だろうな、 けしからんナンパ野郎は! 変な電話で変な女だったなあ。一日たって再び会社にやってきて、 机につくなり思い出していると、隣の部の人が僕を大声で呼んでい る。 「****さーん、電話ですよー」 ふと、いやな予感がした。 (以下次回)
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