空中分解2 #2523の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- -=-=-=-=-=-=-=-=-=-= chapter 2 備後の後先 ソノ1 -=-=-=-=-=-=-=-=-=- -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- 想定キャスト: 侠客 助駒の城蔵 佐藤 蛾次郎 金貸 借金屋総司 地井 武男 侠客 江島の初治 金子 ゆかり 浪人 羽方 香之介 長門 勇 浪人 都築 祐次 三遊亭楽太郎 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- 史朗の先祖は、備後の国の人。元をたどれば、「助駒の城蔵」というヤクザというか 女衒というか、飯盛り女なんかの口入れを稼業とする親方だったみたいである。結構に 手広く商売をしていたみたいなのである。彼の住んでいたあたりは、その土地柄からか 、パーティーが盛んであり、余興の為のゲームの発祥の地でもある。皆さんも 「 備後〜 」 とかいう掛け声を御聞きになった事があると思う。揃っていないのに揃ったというと、 「 チョンボ〜 」 と言われるし、この物語の作者なんかは、生まれてこの方、ず〜っと 「 ビンボ〜 」 なのである。 ある時、助駒の城蔵は旧知の友である総司に逢いに旅に出た。昔、無頼仲間であった 総司も今は、 「 貸金業 」 を営んでいる。こちらから貸してやるのではなく、客が借りる訳だからといって、 カリガネヤ 「 借金屋総司 」 という看板を上げている、という事だ。 旅の途中、旅篭の玄関で足を洗ってもらっている城蔵。すると横から声がかかった。 「 よ〜 助駒の〜 」 すると、城蔵は、やたらに大げさに驚いてみせた。 「 あ〜〜〜〜っ あ〜〜〜〜っ あ〜〜〜〜っ あ〜〜〜〜っ あ〜〜〜〜っ 」 スケコマ 「 よぉ、久しぶりだなぁ 助駒の〜 」 ハガタ 「 本当にご無沙汰してました 羽方の旦那 」 ハガタキョウノスケ スケコマ シロゾウ タコ イカ スミロク 浪人の名は羽方香之介という。以前、助駒の城蔵が蛸烏賊の墨六親分の処でワラジを 脱いでいた頃、丁度そこで用心棒をしていた。口髭を蓄え、でっぷりと太った様は貫禄 充分である。 「 おいりゃーせんのう 」 ノタマ 相変わらずの科白を曰う。そのせいかは知らないが、蛸烏賊の親分とソリが合わなくな ったとかならなかったとかで、その後、江島の初治てぇ親分さんの処の用心棒になった とか風の噂に聞いた。 「 あの〜 そこの旦那は? 」 ツヅキ ユウジ 「 拙者、都築祐次でござる 」 香之介は苦笑して言った。 カシコ 「 そう畏まる柄じゃないんだけどよっ 」 城蔵は江島の親分が大の苦手であった。顔を合わせる度に、何かしら小言を言われて、 すくみ上がる。しばらくは、 「 アッチの方 」 まで駄目になってしまう様な気がした。出来れば顔を合わせない方向で済んで欲しい、 と城蔵は思った。 丁度、その時。5〜6人の浪人者がバタバタと旅篭の入口の土間に駆け込んで来た。 城蔵の足を洗っていた女中は、ビックリして外の通りへ飛び出した処で転んで顔を酷く 打ち、足腰萎えてへたりこんでしまった。 「 やい!お前は城蔵だなっ! 」 「 へい・・ 」 と答えを聞く間も無く、いきり立って叫んだ浪人は抜刀して切りかかる。足をば洗って ダシ いたタライを出汁の出たぬるま湯ごと放り投げて、間一髪で城蔵は身をかわした。丸腰 ツヅキ の築木は当て身をそいつに喰らわせて投げ飛ばしたが、タライからこぼれた湯が板の間 に流れた処で滑って転んで、後頭部をしこたま打って倒れてしまった。手慣れた奴らで あるのだろう。その瞬間を少しも逃さず、錆の出た刀を短く持ってはミゾオチから心の 臓を一突き。 「 う・・ 」 短く呻いて築木は動かなくなった。羽方香之介の形相が変わる。こめかみの血管が怒張 して「ウネリ」を形成している。ゆで立ての蟹もあれほど赤くは無いだろう。 「 お〜の〜れ〜 」 刀を抜いたのか、抜かないのかわからないまま、若干たるんだ腹が左右に揺れるくらい にしか見えなかったのだが、6人の浪人者は一瞬のうちにバタバタと次々に倒れた。 「 まだ 死んではおらんと思う ちょっと人手を集めてくれんかの〜 」 顔は未だ赤いままだが、落ち着きはらった様子で陰で様子を見守るばかりであった小者 に申しつけると、刀を振って半紙で拭い鞘に納めた。城蔵は言う。 「 ふ〜っ 危なかった・・・ しかし 流石は羽方の旦那だ 」 「 わしな〜 抜くのは 早いんじゃて 一瞬よ 一瞬 痛くも無いわ・・ 」 羽方は何でもなさそうに言う傍ら、築木の側に寄り、胡座をかいて座り込んだ。 「 お前を狙ってきたんじゃな〜 助駒の〜 」 振り返ってニンマリ笑うその顔には、二筋の涙が伝っている。 「 あっしには 身に覚えの無いこって 」 「 叩けば埃の出る躯よ お互いにな お互いに 」 汚れた着物の袖で目を拭って鼻をかむ香之介。 ヒトイクサ 「 幸せ薄い祐次の奴め 今夜は久しぶりに飯盛りと一戦とか申しておったのに 」 玄関からの夕日の照り返しが眩しい。 「 まぁ お前の分までわしが頑張ってやるから 成仏せいや 」 目を細めて香之介は言う。 「 お〜い 女中 」 「 は はい 何でしょう? 旦那 」 顔は土埃まみれの女中が玄関から 「 酒持ってこい 酒! それと 漬けもん 何でもえぇぞ! 」 「 は はい 」 「 あっ それとな わかっとると思うが 番屋へは届けんでえぇからな 」 今までに、出入りの修羅場は何度も踏んではいるが、最後まで抜かない部類に城蔵は 分類される。親知らずが疼く様な気分がして、それでも飲まずにはいられない気分に 城蔵はなっていた。顔が煤けたままの女中が酒と大根の漬物を持って来ると、 「 おぉ ありがと お前さん えぇ尻しとるなぁ 」 と言って撫でようとするので、 「 キャァ 」 といって女中は奥へ下がった。この旅篭の女主人は、お伊勢参りの講へ行っていて留守 であって、折悪しく番頭も所要で不在であった。築木の骸、そして瀕死の浪人6名が転 がったまま、一家の手のものが来るまで、2人は酒を酌み、涙を流し、昔話に花を咲か せていた。
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