空中分解2 #2459の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
★ −−翌朝の銀座、元作詞家はくしくも出勤時間が同じである 「虎人、お前財布をもっとるな?」 「あっ、そういえば−−」 「いくら入っておる?」 「5・6万ですかね」 「それがいかんな、よこせ」 「そ、そんな、だってクレジットカードだって−−」 「いいからよこせ、クレジットカードまで使わぬが、現金は授業料として頂いてお く」 しぶしぶ虎人が財布を差しだした 「むふふ、それでよい。ほれ虎人、いつもこんな早朝に眺めていたろうが、あのカ ラス 「あい変らずですね」 「今朝からあのカラスはお前のライバルじゃよ、あいつらより先に餌箱をしっけい しなきゃいかん」 「なるほど了解しました、あとはなんか気をつける事ありますか?」 −−ビールをラッパ飲みにしている虎人 「調子に乗って飲み過ぎるなよ」 −−クラブのごみ箱の蓋をとり虎人が叫ぶ 「おおっタカさん!若鳥の立田揚げーっ」 「ああ、そこの店のは旨い筈だ。お、おい今食うな、ワシのも頼むぞ」 「正に狩りですね、ここは肉の宝庫だ」 「ああネズミも沢山おる」 「食えますか?」 「バカもの!それは乞食のやる事だ」 「違うんですか−−すいません、まだ初心者なもんで−−えっへっへ」 「困ったもんだ、それにやたらとそう……ものを見つけたとたんに食うな。それに 肉ばっかりだ、バランスを考えろバランスを、野菜はどした。 もう3・4カ所回ったら今朝はおわりだ。ファーストフードは昼、新鮮な酒は深 夜、わかったか」 「…………」 「おいおい虎人!聞えないのか、やたらと食うんじゃない!」 「えっ、あっ」 「次行くぞ!」 「よ〜し!」 すっかり満足をしてゲップをする虎人 「何がよーしだ、次は地下鉄の駅へ行き、新聞を探す」 「……何に使うんですか」 「ホームレスといえども、日経、読売、報知新聞ぐらいは読んでおくのだ、このお 調子者が」 別に調子に乗っている訳ではない、芯から虎人は楽しかった。 何日かその暮しを繰返しても、ホームレスつまり浮浪者、これが一般人が見下げる 社会の底辺だとはまったく思えないのだ。それは恐い程にストレスもなく快適な暮 しそのものなのである。 ★ 今夜は多少暖かいゆえか、焚火のかわりに、蝋燭を四方に立ててあり、その炎が 下方にある水にゆらゆらと映えている−−深夜の有楽城。 例によって二人はしばらくの間、瞑想を続けていた様子だ。 「どうだ虎人、ホームレスの暮しは?」 「文句なしです。タカさんの気持ち、いやホームレス稼業という事でなく、タカさ んの言ってる気持ちがわかり始めた気がします」 「生きてゆく事のなにかが、少しはわかったかね」 「はい」 「虎人、お前がホームレスをやって何かをつかんだように、自分ひとりで高みに昇 れない時は、何かの手を借りるのだよ」 「なにをすれば?」 「なんでもいいんじゃよ虎人、それがプロレスでも絵を書く事でも」 「…………」 「なにかと同調する事によって高みに昇り、そこからおのれの想像力を見つけるの だ、みつけた後にそれをしっかり自分の中に認知するのだ、わかるか?今のお前 ならわかるな?それがわしの言える事のすべてだ」 「−−はい、タカさん、いや羽鷹さん、感謝してもしたりない……」 「そんな事はいい、桃謙に会え!」 「桃謙?ギターを弾けって……何故それを−−」 「内緒にしておったが、昨日順子に会った−−」 「順子に?」 「わしがあずかっておると言ったら、どうしても会わせろと泣いておった。いい女 だ、よりによってお前に惚れるとはな」 「いや」 「いいんだ、素直になれ虎人」 「…………」 「あいつから桃謙の事はすべて聞いた−−行け!−−有楽城が寂しくなるがな」 「……タカさん」 「いいからいけと言っておるのだ、わしをそろそろひとりきりにしてくれんか。 会いたくなったらわしはいつもここ、遠くからお前をみておるよ」
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