空中分解2 #2447の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
信州の山奥で、おじさんがひとり。 彼は白樺の大木に抱きついて、「何か聞こえるかな?」と耳を幹にくっつけた。 そしたら・・・・ 「Nさん、あったかいね」 「えっ! 君はしゃべれるの? どうして僕の名前を知っているの?」 「言葉は使わないけど、君と話できるよ。君の名前どころか全部分かっているよ」 「テレパシーみたいなもんかな?」 「人間は付き合いにくいね、そんなことはどうでもいいじゃあないか」 「ゴメン! 僕は N といいます。55歳になるおじさんです。よろしく」 「やあ! 僕は500歳ぐらいかな、ちょうど N さん と同じくらいの白樺お 驕@じさんです。 あっちこっちとだいぶ傷ついてるだろう」 「ウン! 幹も裂けているし、枝葉も少ない。頭が薄くなってきたというところか な風雪に耐えてきたんだね。」 「そう! 地震、嵐、大雨、大雪、日照り・・いろいろあったなあ。全部体にきざ んできたよ。でも、子孫はつくったし、今は体力も落ちてきたし、俺もやがて枯 れるんかなと思う年ごろになったよ」 「似たような心境だね。ところで、こんなところで立ち続けて、一生を終えるなん て つまらなくはないの? 淋しくはないの?」 「人間は付き合いにくいね。浅はかな人間の物差しですべてを見るから、嫌になっ ちゃうよ!情報交換はしょっちゅうやっているから、この近辺はもとより、向こ うの尾根、さらに向こうの尾根、いや、北海道や九州で起こっていることだって 知っているよ。 淋しくなんかないね」 「フーン! じゃあ 人間のことをどう思う?」 「鹿や熊や猿らと違って、変な動物だね。同族なのに集団で殺し合いをやるからね。 450年くらい前だったかな 武田軍の落武者が血だらけになって、ここまで逃 れてきて僕の根元でバッタリ。織田・徳川連合軍に追い詰められたらしいね。僕 はその遺体をこやしにしたよ。そう君が立っているその当たりだったよ。今は跡 形もないがね」 「フーン! じゃあ もうひとつ質問。 君らにも男女の愛はあるのかね?」 「どうしょうもないね人間ってやつは!君は錢勘定ばっかりやっていて自然界を見 ていないのかね? 春から夏にかけての野山を見てご覧!動物も植物も生きてい る喜びに満ちあふれ、セックス満開だろうが」 「君はどうなんだね!」 「ちょっと落ちてきたねえ」 「じゃあ 僕と同じだね。 半分じいさんのおじさん同士だね」 「老兵は消え去るのみ! ってのに近付きつつあるね」 「同感!」「暗くなりかけたから、もう、行かなくっちゃあ。もう会えないかも」 「いいよ! 人間は100年も生きられないし、それに N さんは貧乏人みたい だから、ここへまた、旅してこいとも言えないし・・・」 「ありがとう 君のおかげで今日は楽しかった。 さようなら」 「・・・・・・・・・」「ちょっと待て! Nさんっ」 「エッ」 「君は、何をしに、ここまでやってきたのかね?」 「何をって・・・・・そのおー」 「僕を、もう一度、見ろよっ。満身創痍だろっ。でも、生きている。自然体でね。 僕みたいに生きてみたら・・・・・・・・」 「うん! そうしてみようかな」 1992−12−08 遊遊遊遊(名古屋)
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