空中分解2 #2434の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
見上げると、暗黒から白きものたちが生まれ出ている。 ほんの3m程の上空で。 白きものたちが降ってくる。冷たい。 顔を拭うと、ビッショリと濡れている。 どれくらいの時間が経っただろうか。 電信柱にオマケで付いているような裸電球が、雪を照らしている。 Virgin Snow ホワホワの雪には誰の足跡も着いていない。 時計を見ると、約束の時間を1時間も過ぎている。 急に寒さが耐えがたい程に意識されだした。 あの娘は、もう来ないだろう。きっと約束を忘れたに違いない。 いや、もしかしたら、暖かい部屋で別の男と向かい合っているのかもしれない。 どうだって、いい。 事実として、彼女は来なかった。それだけのことだ。 南の空から、あざ笑っているような三日月が、見下ろしている。 精一杯、冷たく作った笑いを返してやる。 莨に火を点ける。ライターが暖かい。 月に向かって歩きだす。ギュ ギュ ギュ。 踏まれた雪が悲鳴を上げる。殊更に力を込めて足を踏み出し続ける。 月は西へと傾き始めた。こちらも方向を変える。 道から外れる。田んぼのようだ。稲の株が歩くのに邪魔だ。 寒い。歯を食いしばる。月は山に隠れようとしている。 足を取られ、不様に転ぶ。目の前は畔。もう月は見えない。 足を挫いたようだ。ひどく痛む。這いずって、畔に背をもたせ、座る。 うつむいた後頭部に積もる雪が溶け出し、首筋を伝って背中を濡らす。 二日酔いのように、頭がガンガンしてきた。 足の指がしびれている。冷たさは、もう感じない。 背中だけが妙に寒い。眠くなってくる。 首の力を抜く。足の裏が、なんだかコソバユイ。 ウットリと首が右に傾いてくる。畔はズウゥッと続いている。 血のように真っ赤なものが目に飛び込んでくる。ほんの30cm程先にある。 ボンヤリとして、よく見えない。 白い雪と、そこかしこに覗く緑色の名もない草々。 そこに濃く深い赤が染みついている。 手を伸ばし、左手に掴み、むしる。 まじかに見ると、それはケイトウの花だった。 眠い。ケイトウは赤い。地面は白い。足は、もう痛くない。でも動かない。 紅の花が、女性の局部に見えてくる。 いや、これはケイトウだ。いや、この紅のものは・・・ うわああああっっっっ また転んだ。気がつくと、駆け出していた。 動かないと思っていた足が、勝手に跳ねていた。 明かりだ。俺は一体、何をしていたんだ。 熱くなった喉に、冷たい空気は苦しい。足が滑る。思うように走れない。 シャツの下に汗が湧く。 やっとのことでアパートに駆け込んだ。膝がガクガク震えている。 電話が鳴る。 「あ いた ごめん こたつで寝こんじゃったの ひょっとして 待ってた?」 「あ うん あ いいや どうせ そんなことだろうと思ってた」 「ごめんね もう起きたから ねえ ウチに来ない」 「え 今から? もう1時だよ」 「いや?」 「ああん いやじゃないさ すぐ 行くよ」 「・・・・・・ や やっぱり怒ってる?」 「あん なんで?」 「だって こんなに あん こんなに乱暴に・・・」 「怒ってやっしないよ」 「い いや 恥ずかしい」 俺は力まかせに、女の脚を押し拡げ、顔を埋めようとした。 うわあああああっっっっ そこには真っ赤なケイトウが・・・ (了)
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