空中分解2 #2379の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
お母さまと この洋館の留守番に来て もう 1ヵ月が過ぎた アタシは 私生児で お母さまが引っ越す度に 学校も替わり 友達なんか いなかった お母さまがやっている小料理屋の手伝いを 最近 はじめてから 気が紛れるようにはなったけど この 館で暮らし出し はじめて お母さま以外の 話し相手が見つかった この絵の 美しい西洋の女(ひと) この絵の女 なんだか お母さまに 似ている 色白で 目がパッチリしてて 優しそうな表情 店に来てた お客さん達は アタシが お母さんに 似てるって 言ってくれてたけど アタシの痩せた体は こんなに 豊かじゃない アタシも お母さん位の歳になれば こうなるとは思うけど・・・ アナタのように 刀で 男の人の首を 斬り落とすのも・・・ そうするのも 確かに イイかもしれないけど アタシだったら もっとゆっくり もっと優しく 殺してあげる 男の人に 跨がり 首を 柔らかく 絞めつけていって・・・・・・ 上気した 男の人の顔が 浮かぶ なぜだか 上下に動いている ジワジワと 指に力を入れていく アタシを 思い詰めた表情で 見つめている 親指から 徐々に 絞り込むように 力を込めていく 男の人の顔の動きは止まり 堅く目を閉じ 痙攣するのが 見える その 瞬間 アタシは まるで 宙に浮いているような いえ 奈落の底に いいえ 底無しの 真っ白い世界に 落ちていく アタシの白昼夢に出てくる 男の人は いつも 同じ 中学校の帽子を被り マントをはおった 18位の人 顔立ちは 賢そうだけど いつも 怯えた表情か 思い詰めた表情か 苦しそうな表情か ウットリした表情しか 見せない どこの人だか 解らない 会ったことのない人 でも なぜか 名前だけは 知っている コレヨシ どんな 字を 書くのかは 解らない でも その人の夢を初めて 東京に 来てから 初めて 見たとき アタシ その人のことを コレヨシさん て呼んでいた いつか きっと この男の人には 会えるような 気がする なんだか そのうちに・・・ 初めて この夢を見たのは 5年前 まだ 12の頃 その日 髭を生やした 偉そうな おじさんに 呼び止められ その人の ウチに 連れていかれた おじさんは アタシの靴下を 脱がせ 足の指を 足の裏を ふくらはぎを 何度も 何度も 舐め回した 怖かったけど くすぐったくて 変な気持ちがした しばらくして おじさんは 苦しそうな顔で おなかの下を 押さえた その途端 おじさんは 呻き声を上げ ピクピク震えた かと思うと がっくり と倒れた アタシ ビックリしちゃって おじさんっ おじさんっ て揺り起こしたの おじさんは 疲れきった顔で 目を開け 荒い呼吸のまま 「大丈夫だよ お嬢ちゃん そうだ お願いが ある お嬢ちゃんの 靴と靴下 私に譲ってほしいんだ いや 勿論 新品の 同じものを 用意してあるから 取り替えっこ してほしいんだ」 確か そう言ったわ アタシ 別にイイと思って そうしてあげた その晩のことだった 初めて コレヨシさんの夢を見たの 今日の昼下がり いつものように アナタの前で コレヨシさんの 首を絞めてたら お客さまを玄関まで 送って行った お母さまが 部屋に入ってきて 気分でも悪いの って アタシに聞いたの アタシ なんだか 恥ずかしくて 黙ってたの そしたら お母さま 心配なさって 何度も 本当に 大丈夫 って聞いてきたの とうとう アタシ コレヨシさんのこと 話したの お母さま すごく 驚いてた そのとき きっと お母さまは コレヨシさんのことを 知ってるって 思ったの 夕方になって また お客さまが おみえになったわ 今度は10人くらいだった 館の1室に閉じこもってた お茶を出してきた お母さまが 部屋に入ってきて 電話をかけたの 憲兵隊に ナントカ主義者が館に 集まってる って通報してた ちょうど その時 アタシ コレヨシさんの 夢で遊んでたの 電話をしてる お母さまの姿が ボンヤリしてきたわ 替わりに 朦朧とした 意識の中で アタシの目の前には 確かに コレヨシさんが いたわ お母さまの声は ちゃんと聞こえてたけど 姿は見えなかった 見えているのは コレヨシさんだけ 「そうです 無政府主義者が はい 早くいらして下さい 館には あたしと娘しか はい はい お願いいたします」 ガチャッ 「これで 惟義さん お困りなるわ 憲兵隊には 惟顕さんがいらっしゃるから・・・」 確かに お母さまの声が コレヨシさん て言ったのよ アタシ コレヨシさんの首を いつものように・・・ 「あっああっ けっ恵子っ なにをっ んんんんっっ けっ恵子っ」 どこからか お母さまの苦しそうな声がしたわ 「恵子っ あなた そうなの・・・ わかったわ・・・ いいわ あなたも・・・ これで これで 惟義さんも・・・・・・」 苦しげな喘ぎと共に お母さまの声は またしても コレヨシさん て言ったのよ コレヨシさんは いつものように 上気した顔を痙攣させ 動かなくなったわ あたしも 白く 深い 深い 穴に いつ止まるともなく 落ちていったの 揺り起こされて 目を開けると そこに コレヨシさんが 軍服を着て座ってるの 驚いて アタシ 驚いて 何がなんだか 解らなかった 気がつくと アタシの横で お母さまが・・・ アタシ お母さまを 殺してしまったの コレヨシさん とばかり思って アタシ どおしてイイか 解らなくなったわ コレヨシさんの前で 取り乱しちゃったわ でも 警官も憲兵も帰って 落ち着いて こうして アナタと話していると 段々 解ってきたの お母さまが アタシに 自分を殺させたのよ ううん 違う アタシの中に お母さまが 入り込んじゃったの アタシの体の中には アタシと お母さま 2人がいる お母さまの体は なくなっちゃたけど アタシ 寂しくないし それどころか お母さまが 以前より 近く感じるもの だから アタシ 自分のしなくちゃならないことが 解るわ まず あの 憲兵の コレヨシさんに 手紙を出すの それから先は 解らない とにかく コレヨシさんに 会わなくちゃ きっと その先のことは その時になれば お母さまが 教えてくれる ねえ ユウディット あなたが その男を殺したとき どんな感じだった ・・・とぼけても 無駄よ ちゃんと 顔に 書いてある 気持ち ヨカッたんでしょ ものすごく きっと アタシも コレヨシさんを 本物の 肉体を持った コレヨシさんを・・・ (続く)
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