空中分解2 #2374の修正
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「よお 何 深刻な顔しとんで 家庭訪問は成功やったか」 「ん うん」 「・・・やっぱり あの娘も同じ夢とったんか」Mは急に声をひそめた 「ああ 見とった ほれに・・・」 「ほれに どしたんぞ」Mは身を乗り出してきた 「ほれに それ1回だけやのおて 色々見とるみたいなんや」 「どんな?」 「ほれは解らんけど・・・ なんか その 俺の登場する夢を まだ別に・・・」 「ほおか・・・」 「俺 考えたんやけど」 「ん 下手な考え 休むに似たり てな なんぞ 言うてみいや」 「あのな いや 夢って 未来の事も見るもんか」 「あーん 何?」 「いや 予知夢とかいうの あるんやろ」 「ああ 見るんやない ほやけど・・・」 「ほやけど 何?」 「いやな 一応 夢いうんは 自分が心に浮かべたもんを 寝とる間に見ることになっとるけど 日本の古代では 相手が自分のことを強く思うことによって 自分の夢に相手が登場するってことになっとたんや 生き霊みたいなもんよ ほれ ほおゆう歌も よおけ残っとるやん」 「ど どおゆうことや」 「ほやけん その女の子が お前のこと強く思うたけん おまえの夢に登場したんよ その女の子の思とることが 女の子の夢に出て ついでに お前の夢に入り込んで・・・」 「ほ ほんな事あるんかっ」 「無いとは 言いきれまいが」Mは真面目くさった顔で言い放った Mは言葉を続けた 「月を植民地にして 地球は一部の海底を除いて全て征服できた ほやけど 相変わらず人間の中身のことは よお解ってないらしいやん ほれとな ワシ お前の次の質問にも答えたろ思とんよ」 「な 何? 俺の次の質問て・・・」 「お前の夢については 今言うた通りや やけど 何故 その女の子が お前を知っとったかいう疑問が残る」 「ほ ほおよ なんで 恵子が 俺のこと知っとたんぞ」 「偶然 ソックリな奴を登場させ 自分の欲望に奉仕させた・・・ なぁんて事は言わん これじゃ ワシも納得できんしな ほやから ワシも考えた」 「もったいぶるなや」 「思い付いた事があるんよ 何か 言うとな 記憶も遺伝する いうことや」 「き 記憶が 遺伝する ・・・どおいう事や」 「言葉通りの意味や 記憶も遺伝するんよ 勿論 普通は 具体的な記憶は どっかに仕舞い込まれとる 印象とか漠然とした感情 ほんなんは確かに 遺伝しとる ほして ほんの偶に ひょんな事で 具体的な祖先の記憶が 心に浮かんでくるんや」 「ほたら何か 俺と恵子と 前世で因縁があったいうんか」 「ああ 無いとは言いきれまいが ほれと もし そおやったら お前の方の 遺伝的記憶も いつ蘇ってくるかもしれん 覚悟だけはしとけや ほやないと ショックで心臓止まるかもしれんし」 「え 縁起でもない」 「あん あ ああ あはははは 冗談 冗談」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「先生 質問があるんですけど」 俺の気持ちも知らないで 恵子は屈託の無い表情で 話しかけてきた 「ん 何?」極力平静を装った 「あの 英語のことじゃないんですけど・・・ あの 先生のヒイヒイおじいさんって 軍人さんだったんですか」 「え 何? さ さあ ヒイヒイじいさんて 100年くらい前の事やろ 1920年か30年くらいだから まあ そおだったかもしれんなあ」 「将校さんだったんでしょ 刀ぶらさげてる」 「そういや 田舎の蔵に軍刀があったなあ 先祖伝来の日本刀を 軍刀に仕込んだとかいうのが」 「憲兵の隊長だったんでしょ 大尉だから」 「いや え そんな事俺言ったっけ 詳しくは知らないなあ 軍刀があるから 将校だったのかもしれないけど」 「ふうん ありがとうございました」 恵子は お義理なお辞儀をヒョイとすると立ち去った 呼び止めて 何故そんな事を知ってるか 問い詰めたい衝動にかられたが 人目が気になってできなかった それに 予想通り 夢で見たから と答えられたら どうしていいか解らない しばらく 廊下に立ちつくしていた チャイムが鳴った 俺は慌てて職員室へと向かった ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「よい 俺の家ん蔵で 刀とか 昔の軍服見たことあるやろ」 「うん あの憲兵大尉のやろ 刀なんか業もんやったで 軍刀に仕込んでなかったら ガイな値のつく代物やった 柄を抜いたら 刀身には きっと 銘なんか彫っとるで」 「な なんで 憲兵大尉じゃなんか 解るんで」 「夢に見た」 「えっ なっ なんっ?」 「冗談よ あの軍服 記章とかフル・セットで残っとったやん そりゃ 解らいや」 Mが大学で日本近代史を専攻していたのを思い出し 安心した そして 不安になった 何故 恵子は 正確な事実を知っていたのか 「ほやけど お前の ご先祖さん 戦争で 死んだんやのおて 事件で死んだんやないか」 「な なんで?」 「蔵にあった拳銃はモーゼルと南部14年式やったろ」 「ほおやったか」 「ほおよ やけん お前の先祖は南部14年式が使われだした後で 太平洋戦争が終わるまでの間に死んだってことになる」 「どおして」 「やって ほおやん ベビー南部を持っとるいうことは それが使われだした後にも軍人をしとったいうことやし 憲兵の軍服が残っとったってことは 太平洋−亜細亜戦争終了時には死んどったいうことや」 「なんで?」 「ほやけん 戦争が終わるまでは憲兵いうんは のさばっとったわけよ 革命が成功したら 前政権の秘密警察は 民衆に どお扱われる? 最悪の場合 袋叩きの私刑で殺されるんやぞ ほやけん 戦争に負け体制が変わったら 憲兵やった証拠は 燃やすなりして 隠滅するもんなんよ ほれに 軍服は血で汚れてない 病気か死んだか ひょっとしたら 首でも絞められたのか・・・」 Mの話は空想を繋ぎ合わせたおとぎ話に過ぎない 脅かそうと思って わざと こんな話をしているに違いない 「証拠は?」なぜだか喉が渇き 声はかすれていた 「学生の頃 昔の新聞記事読みよってな 5・15事件関連の記事やけど 捜査に当たった憲兵隊の大尉が謎の死を遂げた いうのを見たことあるんや 商社ビルの屋上で 首を絞められて 死んどったんよ 憲兵大尉ともあろうものが 抵抗した形跡もないまま 殺されとって しかも 事件の捜査中やったもんで 派手な見出しが立っとった その大尉の名字 お前と同じで 名前も1字 お前と同じなんよ お前ん家の蔵で軍服とか見せてもろた後やけん ひょっとして お前の ご先祖さん かなと思てな」 「ビルの屋上で・・・ 首を絞められ・・・」 「まあ 偶然に偶然が重なっただけかもしれんけど」 (続く)
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