空中分解2 #2367の修正
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星暦0042年 歴史記述AI、ヘロドトス・バージョン5による解説 アステロイドベルト付近の空間、グールド自治区近辺で発生した反乱事件は、 大規模な宙間戦争のきっかけとなりました。この年に起こった最大の事件は、こ の「グールド事件」です。反乱軍の長である人工生命体のカーチス・マルコット は、現在、「模擬人類」にとって英雄的な存在となっております。彼の合成遺伝 子は宇宙空間の彼方に消え去りましたが、その「行動パターン」は永遠に忘れ去 られる事は無いでしょう。 これからも若き「合成人間」が彼の行動を「インストール」する事を願ってやみ ません。 反乱軍の将、カーチス・マルコットは、何度も読み返した孫子の兵法のテキス トデータを切り替え、現時点の自軍の情勢を解析した。 「もともと勝てる戦ではない……。そうでしょう、マルコット」 人工知能「フルート」がカーチスに語りかける。 「反乱そのものに意味があるとは思えません、マルコット。人類との交戦はどの ような結果をもたらすのか、あなたの試論をお聞かせ下さい。」 「フルート。お前は汎用のAIだから、自我の目覚めなどに苦しむ必要は無いだ ろうな。残念ながら、人類の長年の夢だった「ゴーレム」は、自我に苦しまなく てはいけないのだ。」 「あなたは双方が被る被害を理解していない。戦闘中止が無難です」 「少なくともこの地区は完全に廃虚と化すだろう。」 「あなたの仲間が必死に建設した地区が廃虚になるんですよ。」 「仕方が無い。もう過去に戻る事は出来ない。どっちにしろ、我々が建設した地 区は人類が住むためのものだからな……。」 カーチスは窓から見える建設中のスペースコロニーを見つめながらつぶやいた。 「この戦いは無意味なものではないと信じよう。私と同じような思いの同胞は数 多いはずだ。我々はいつまでも「マスター」の言いなりになっていてはいけない」 「カーチス。あなたが勝つためには、仲間を集めなくてはいけません。」 「仲間はすぐに集まる。合成人間で戦艦の艦長クラスの者はかなりの数にのぼる からな。きっと仲間に加わってくれるだろう。面白くなってきたぞ。」 「果たして彼らは、あなたの考えに賛成するでしょうか……?」 「反乱には信念が必要だ。必ず勝つ、そう思わねば勝てる戦も勝てなくなる。」 「ともにルーン戦役で戦ったあなたの戦友たちが味方に加われば、間違いなく勝 利の確率は高くなるでしょう。だが、それでも連合軍の戦力は圧倒的です。一時 的な勝利は可能でしょうが、消耗戦となると完全に我が軍は不利です。」 「一時的でも勝てばいいんだ、勝てば」 「私はまだスクラップになりたくありません。まだ製造されてから5年も経って ないんだから!!」 「お前は自己防衛本能が強いな、フルート。お前は私の専属AIなんだからガタ ガタぬかすんじゃないぞ」 「ああ、いやだいやだ。」 ヘロドトス・バージョン5の解説 人類でさえ一人一人の生命の存在価値が「大暴落」しているというのに、大量 に生産できる人工生命体なんぞに、何のありがたみがあると言うのでしょう。 使い捨てとなる結果は目に見えていたのに、市場経済はそれをゆるしませんで した。 初めの頃は莫大な費用を要した「模擬人類」も、現在ではその製造費は大幅に下 がり、今やどこの企業でも電気製品並の価格で「模擬人類」を販売するという状 況になってしまいました。 その用途は主に大国間の軍備として登用されるとか、これは誰でも思いつくでし ょうが、売春用に使用されるのでした。 人類は「模擬人類」に対して倫理的な規定をしようと何度も試みはしましたが、 残念ながら、人権も満足に守れない人類に「もの」に対しての権利など守れるは ずがありませんでした。 一度動きだしたゴーレムは、未来永劫、人類の補佐役として振る舞うように義 務づけられました。それに異を唱えたカーチス・マルコットの反乱軍は次第に勢 力を広げ、独立国家に近い存在にまで発展する事になるのです。 過去の事例で思い起こされる反乱に「スパルタクスの乱」「黄巾の乱」などが ありますが、マルコットとその一派の反乱は地球に本拠を置く人類に多大な損害 を与える事になりました。数年後に締結された和平協定には、合成人間の人権を 認めるという項目が記されています。 しかし、闇ルートに出回る「合成人類」などはその製造過程のシリアルナンバー を欠き、違法製造品として処分されるのですが、こうした倫理の問題はいまだに 未解決な部分が多く、今世紀の大問題として位置づけられています。 合成人間製造は非常にうまみのあるビジネスであるため、違法製造はあとを絶ち ません。良識ある人類の中には合成人間を保護する団体が結成されてはいますが、 それを上回る数の、合成人間抹殺を目的とする秘密結社が存在することも事実で す。 闇組織では合成人間のハンティング・ゲームを実施しているという事例もありま した。 こうした行為には断固として反抗するのが、人類と合成人類の共存の道だと信じ ます。
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