空中分解2 #2361の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
終電には間がある。仲間と別れて、W氏はひとりで歩いていた。ビル街も、 酔いざましで歩くサラリーマンの姿がちらほらになった。繁華街の二次会も早 めにお開きになった。次長の転勤送別会だったのだが、今夜はどうみても、お 義理の宴会だった。みんな、やたらに大声で座を賑わしてはいたが、内心は、 白けきっていた。しょうがねえや、古狸で嫌われものだったもんなあ、次長は ・・・不景気で経費削減かあ、タクシーチケットもくれんようになっちゃった、 終電に乗れってか、次長も、まさか、電車ってことはなかろうな・・・W氏は 酔った頭で、そんなことをぼんやり考えながら、駅に向かっていた。 「オニイサン、ワタシト、アソブ、イェース?」 W氏に声がかかった。 ええっ! 深夜でも、ここはオフィス街だぜっ。こ んな目抜きどおりで、客引きなんて・・・とW氏は身構えた。 白人女だ。ひとりで立っている。 「今日は、あんまり、お金持ってないんだ」 「オカネ、スコシデイイー」 「三千円しかないんだ」 W氏は、まだ、街娼を買ったことはない。財布には2〜3万円のカネはあっ たが、かかわりたくなかったので、振り切ろうと歩を早めた。酔っ払いの二人 組が振り返っている。世間に多少は名を知られた会社に勤めているW氏は、街 娼を拾うわけにはいかなかった。だが、女は付きまとってくる。 「ワタシ、カゾク、オカネイル」 「ぼくは、三千円しか持っていないんだよ」 「3000円デイイー、アオカンデヤル」 「ええっ!あおかんって、寒いよっ」 「ワタシ、カゾク、サムイ、ガマンシテル。タベル、オカネ、マッテイル」 「だって、こんなビル街で、そんなことできないよ」 「イイトコ、アル。ワタシ、カゾク、タメ、オカネホシイ」 女はW氏を裏通りの小公園に引っ張っていく。街灯の光もとどかず、小公園 の木立の中に、すべり台やジャングルジムが眠っているようだ。W氏は決心し た。一万円やって、この白人女から逃れようと・・・。 一万円札を押し戻して、女が言った。 「ワタシ、コジキ、ナイ。ハタライテ、カゾク、オカネ、オクル」 けなげな女の言葉に、W氏の決心がゆらぐ。深夜で、ここには俺とこの女の ふたりしかいない。今日は花金、明日あさってと休みだ。終電に乗れなくても タクシーで帰ればいい。あと、二万円は残るから大丈夫だろう。けなげなこの 女に一万円めぐんでやろう。彼女も乞食じゃないと言っているし、初めての白 人女とのセックスもいい経験かもしれん。W氏は一流会社の社員らしく、理屈 をくっつけた。 女は全裸になった。芝生の方に歩いていって、彼をまねいている。 真っ白な、でっかいお尻が暗闇の中でゆれて行く。W氏は頭に血がのぼり、 何もかも忘れて、下半身裸になった。女が脱ぎ捨てた衣服に重ねて、自分の衣 服をポイッと投げた。女の方に行こうとしたら、全部脱げと女が手真似で言っ ている。女の命ずるままに、W氏は全裸になった。寒さなんか感じなかった。 これから、初めての白人女を味わえるのだ。勃起しながら、彼は、さも、場慣 れしているかのように、ゆっくりと彼女の芝生に歩みよった。 W氏が女と重なった時! 暗やみの小公園に、フラッシュの閃光がはしった。 「しまった!」 一瞬にして、W氏は事態を認識した。女から離れるや、脱ぎ捨てた衣服のと ころへ走った。だが、そこには、何にもなかった。財布は覚悟できるが、身分 証明書や名刺、カードは致命的だと、彼は思った。女は裸のまま、反対の方向 に逃げていく。追っても無駄なことは、彼にはわかっていた。俺のサラリーマ ン生活もこれで終わりかと、彼は思った。警察には行けない。第一、いくら真 夜中でも、全裸で街は歩けない。警察署がどこにあるのかW氏は知らなかった し、こんな事件で新聞にでも出たら、彼は会社にはいけなくなると思った。警 察よりも、まず、自宅へたどりつくことだと彼は思った。 タクシーは何台も寄ってきたが、彼をきちがいと見て、逃げてしまった。十 何台目かで、やっと全裸のW氏を拾ってくれたタクシーは、五万円を要求した。 バックミラー越しに、運転手は後部座席のW氏をニヤニヤと見ている。何だ こいつは。まさか、自宅についても、今、カネがないなんて言わんだろうな・ ・・。 やっとのことで、W氏のタクシーは自宅に着いた。深夜とはいえ、近所の人 に見られてはまずい。W氏は運転手に自宅の扉を開けてもらって、うちに飛び 込んだ。W氏の奥さんは起きていて、彼の帰りを待っていた。すっばだかで帰 宅した夫に仰天したが、夫の緊急事態を悟り、黙って有りガネの全部を出して タクシー運転手に口外しないように頼み込んだ。 数日後、W氏宅に宅急便がとどいた。奥さんは包みを解いた。夫の衣服全部 と写真が入っていた。財布もあったが中身はなかった。 同時刻、会社では、W氏に電話がかかってきた。 「Wさあーん、ガイジンさんから電話がはいってますよーっ」 1992−11−15 遊 遊遊遊(名古屋)
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「空中分解2」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE