空中分解2 #2336の修正
★タイトルと名前
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少女は、男の「首」を掲げて微笑んだ。そして、「首」の首筋に接吻をした。貫一に 近づき、その美しい顔を貫一の首筋に近づけて接吻しようとした。 「や、や、やめてくれぇ〜....」 全身の残りの汗が吹き出した。壁にいざり寄り、精いっぱい逃れようとあがいた。自分 のしてきた事を短い時間に振り返ったりした。傘を壁に打ち付けてわめいた。 「俺が..俺が..何をしたって言うんだ!」 が、気がつくと、少女は消えていた。咽が渇いて仕方がない。ズブ濡れの背広から銭 入れを出すと、自動販売機の前までヨロヨロと歩いていった。 「カチャ〜ン」 何度コインを入れても、入れ直しても、コインははじかれてしまう。 「あぁ、それ故障ですねんよ....」 小柄なオジサンが教えてくれた。売店は人だかりで近付けそうも無い。 ポケットの中を探るとシワクチャになったタバコ。その中の最後の一本。相当に湿気 てはいるが幸いに火がつき、吸い込むと「スッ」と頭がスッキリするような気がした。 が、その途端、急にキリキリとミゾオチから背中にかけて痛みだした。締めつけられ る。たまらなく痛い。手で押えてもサッパリ楽にならない。脂汗がタラタラと流れる。 こんな痛みは生まれて始めてだ。もしかしたら、あの嫌味な医者の言っていた「狭心症 発作」とか言う奴か。貫一はアレコレと考えた。が、痛みは全くに軽くはならない。 「助けてくれぇ!助けてくれぇ!助けてくれぇ!助けてくれぇ!....」 声にはなっていなかった。貫一は、そのまま倒れ込み、そして闇に沈んだ。 ★ 声がする。聞き慣れない声だ。 「落ち着いている事は落ち着いてますが....」 「立派な心筋梗塞だよ....心臓の半分がもう駄目だ.... いつ心臓が破裂してもオカシクない....こんなに肥満して.... かなりのヘビースモーカーだったんだから当然の報いといやぁ言える....」 「でも....MRIによると腎臓とか肝臓は充分使えそうです....」 「『脳死作成セット』で脳死判定はクリアだ.... 俺達二人以外には何もしらない....部長とか他の医局員にも.... 脳波とか脳幹反応とか瞳孔反射とかシッカリと確認させる事だね.... クスリで反射は消えるし、リモコンで脳波は平坦って事になる訳ね.... 心臓が破裂する前の活きのよい臓器を御届けしなくっちゃ....」 「先輩....金遣い荒いから....」 「お前だって人の事言えないぞ....」 「奥さんにも愛想つかされてたみたいですね.... 亡くなられたらどうしますかって聞いてみたら.... 『あんな男....殺してください....』だって....」 「おいおい『多冗丸』クン....冗談多いんじゃないかい....」 妻の声がする。 「あなた....佐々木さんがみえてますよ....」 佐々木といえば、俺の足を引っ張ってばかりいる男だ、と貫一は不快に思った。会社 に行かなくては、会社へ行って、役員会議に陪席するのだ。あの資料を示し、あの重要 プロジェクトのための御裁断を得なくては。もがけばもがくほど、貫一の手足は宙を切 るばかりのように思えた。夢だ。夢なんだ。間違っても、今流行の「臨死体験」って奴 じゃないぞ、と貫一は思いたかった。 突然、はたと目が覚めた。ベッドに横たわる貫一の首筋に妻が接吻をしていた。周囲 には、大勢の白衣の男達が何やら話ながら立っていた。 − 了 −
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