空中分解2 #2318の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
人影は去っていった。まったく、近頃は変わった人が多いわね。手紙を引き抜く。 スッ。何かしら。あら。英語だわ、エアメール。えーと、あ、真実子、真実子から だわ。まあ、日付が半年も前じゃないの。どういうことかしら、船で来たってこん なにかからないわよね。あら、可愛い便箋。真実子の字だわ。えーと、二枚ね。 Hellow mammy!お母さまお元気ですか。もちろん真実子は元気です。 ホームスティ先のサンローマン夫婦はあんまりいい人じゃなくて、真実子を掃除を させられたり洗濯をさせられたり、まるで真実子がメイドみたいなひどい扱いをす るの。まったくやんなっちゃったわ。朝だって眠いのに早く叩き起こして学校に行 かせようとするしね。でも、いい人も沢山いるのよ。意地の悪い人はどこにだって いるわよね。アメリカ人にだって悪い人はいるわ。うふっ、真実子はちょっと大人 になったでしょ。それでね、真実子はいまスティ先を出て親切なデバーグさんのと こにお世話になってるの。近所の人はみんなデバーグさんのことを悪く言うけど、 本当はとってもいい人なのよ、こんなにいい人のことを悪く言うなんてあったまき ちゃうわ。まったくもう。この家では真実子はとっても大切に扱ってもらってるの よ。彼ったらほんとに紳士で私をプリンセスマミコなんて言ってひざまづいて手の 甲にキスしたりするのよ。真実子はそんなことされるととっても恥ずかしいんだけ ど、でも、とってもカイカンなの。プリンセスと言えば本当にそんな感じなの。こ こは本当にお城みたいに大きくて立派なお屋敷なの。彼ったらいままでここにひと りで住んでたんですって。びっくりしちゃっわ。あ、メイドはいるわよ。料理がと っても上手なの。クリスマスに食べた七面鳥なんてもう最高。全然パサパサしてな かったわ。朝もゆっくりしてられるしね。そうなの、真実子日本語学校やめちゃっ たの。ごめんなさいね。でもね。英語の勉強ならここでだってできるのよ。デバー グさんは私専用の家庭教師のようなものなの。日本人ばっかりの日本語学校なんか よりずっと勉強になるのよ。それにただだしね。美人て得よね。そう、日本じゃあ んまりもてなかった真実子だけど、こっちじゃまるで正反対よ。もてもてなの。歳 だってうんと若くみられるしね。こっちの男はみんな優しいわ。日本人の男も見習 ってほしいもんだわ、まったく。夜がちょっと面倒だけど、まあ、それくらい我慢 しなくちゃね。最近はお勤めも楽しくなってきたしね。じゃ、今日はこんなとこで ね。また手紙書くわ。Byebye。 英語は最初と最後だけね。仕事ってなにかしら。まあいいわ。元気そうね。よく わかんないとこもあるけど、もうすぐ帰ってくるんだから、その時ゆっくり聞けば いいわよね。 「さあ、缶を開けましょ。よいしょ」 アルコールの匂いがぷんとたち昇った。中に、黒い髪の毛が見えた。真実子の母 はそれを鷲掴みにして、引き上げた。真実子の生首だった。大皿の上に置き、真実 子の母はぼんやりとそれを眺めた。やがて、口を開いた。 「まあ、おいしそうなトマト」 真実子の母はナイフを手に取り、それを一口食べてみた。 「おいしいわ。そうだ、シチューにしましょう」 真実子の母である私は立ち上がり、鍋に湯を沸かそうとキッチンに入った。 「彼にご馳走しましょう。きっと喜んでくれるわ」 やがて、シュチューができ上がった頃、 「ピンポーン」 玄関のチャイムが鳴った。 「はーい、どなたですかー」 私はいつもより少し高い声で言った。 玄関に急行すると、摺りガラスの向こうに背の高い男の影があった。その隣にも なにか大きなものがある。 「あら、どなたかしら」 私は鼻にかかった声で言った。ドアのロックを解き、チェーンを音を立てて外し た。ドアを開けた。 すると、思いがけない高い位置から白人男性の顔が覗いた。金髪の頭に王冠を被 っている。 「ハロウ、マミコ。ワタシアメリカから来ました」 「ハロウ、オマチシテマシタワ」 「じゃお邪魔します」 「ドウゾカムイン」 「あ、お気遣いなく」と白人男性は流暢な日本語で言った。そして、茶の間まで ずかずかと上がり込んだ。 「ハイヨーシルバー」 男の掛け声とともに、大きな白馬があらわれ部屋のなかに入ってきた。 「あ、足元ルックアウト」 と私はあわてて言った。骨折でもされたらかなわないもの。 「ご面倒おかけします」 と、白馬は言いながら狭い玄関のなかに入ってきた。全身は入り切らず、頭と長 い首は茶の間になった。 「ア、イマアナタノタメニ、テリョウリヲツクッテタンデスノヨ」 「いやー、すいません、どうもどうも」 「お口にあうかしら」 私はトマトシチューを彼にすすめた。金髪の彼は煮えたぎったシチューをがぶが ぶと飲んだ。 「おいしいです。どうもごちそうさまー」 「まあ、ハッピー」 私はほっとした。 会話は和やかに進んだ。一時間経過。 「あ、そういえば、ミマコはどこにいますか」 「まみこさんですか。いますよ。はーい、まみこさんどうぞー」 と男は言った。すると玄関のドアが開き誰かが入ってきた。白馬の下を四つんば いになってくぐり抜け、茶の間に入ってきた。それは真実子だった。 「まあ、あんたかえってきてたの」 「なに言ってんのよ母さん。ここはアメリカよ」 「エ、ナニ」 「ここはアメリカよ。決まってんでしょ」 真実子は能面のような無表情な顔で言った。 「母さん彼と結婚したんでしょ」 「あ、そうなの、アンタニモ話そうと思ってたんだけど」 「ばかばかしいわね。まったくそれでもあんたそれでも親なの」 「なんですって」 「だから、あたしたちはもうアメリカなのよ。もうアメリカじゃないとこなんて どこにもないのよ」 「え」 「そうですねえ、洋子さん。私はあなたを幸せにしますよ」 白人の男は立ち上がり、不意に洋服を脱ぎ捨て全裸で直立した。そして、アメリ カ国歌を歌いだした。白馬シルバーがメロディーを担当している。 真実子は私の見てる目の前で、同じように全裸になると、アメリカ国歌斉唱をは じめた。私も負けてはいられない。私も裸になり「星条旗よ永遠なれ」を声をかぎ りに歌った。 やがて、国歌斉唱が終わると。シルバーの伴奏が終わるのを待って、真実子は言 った。 「母さんのからだとってもきれいよ」 そして、私の胸を包み込むように愛撫しはじめた。 「あ、まみこ。あんた…」 「イエースハッピイニューイヤー」 男はおでこにマジックでアメリカと書き言った。 「アメリカが一番です」 そして、毛むくじゃらの手で私の肩を抱いた。ああ、ひさしぶりだわ。 「私もアメリカになれるのね」 「決まってるじゃん馬鹿ね」 真実子は私の乳首を強く噛んだ。イタッ。 「幸せとはそういうものです」 と金髪の男は言いながら私に覆いかぶさってきた。 「週二回にしてね」 と私は口走りながら急速に溶けていった。 終
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