空中分解2 #2295の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
1 はじまったとき、私は何も気付いていなかった。幸運なことに。 私の心を占めているのは、愛車HONDA SPADAの4サイクルエンジンの快調 なエキゾーストノート、ほとんど対向車もなくどこまでも続く道路、心地よいが次第に 深刻になってくる空腹感、昨夜頭に刻み込んだ富良野−函館間の国道と通過する町の名 前が全てだった。 朝6時に富良野のライダーハウスを出発した。今夜は函館に止まる予定である。距離 にして370キロ余り。順調に行けば夕方には到着する。 237号線を走りはじめて1時間弱。次第に登り坂が多くなってきている。海岸線を 走る235号線に突き当たるまでに、いくつか峠を越えなくてはならない。朝食はとっ ていないのでそろそろどこかで何かお腹にいれておくべきである。 私は空を見た。少し雲が出ているが、青空が広がっている。両側にはまだ人間の手の 触れない自然が残っている。そして舗装されて以来、渋滞などという悪夢を体験した事 もない道路。こういう道でバイクを走らせていると、自分が都会のOLであることを忘 れてしまいそうになる。 対抗車線を走ってくる車がある。私はスロットルをほんの少し戻した。北海道を走っ た最初の日に、スピード違反で捕まりそうになって以来、慎重になっている。 やってくるのは自衛隊の車両だった。北海道ではよく見かける。はじめのうちは物珍 しかったが、もう慣れた。 だが今回は少々興味をひかれた。車両はいままで見たように1台ではなく、5台続い ていた。しかし、私の好奇心を刺激したのは運転席の自衛隊員の表情だった。まるで敵 地に侵入しているかのように真剣で緊張した顔をしていた。 「戦争でも起きたのかしら」私はつぶやいた。バイクで一人旅をしていると、知らず 知らずのうちに独り言をいうくせがついてしまう。 5台の自衛隊車両はかなりのスピードで私のバイクとすれ違っていった。明らかにス ピード違反だった。私は自衛隊もスピード違反の対象になるのかしら、などと考えてい た。 それが最初の兆候だった。
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「空中分解2」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE