空中分解2 #2067の修正
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ある朝喫茶店の窓ガラス越しに街を行き交う人達をぼんやり眺めていると一人 の男が私の眼をえぐるように見た。私は直感した。 あれは狂人の眼だ。 きっとあの人はこっそり病院から抜け出したばかりであの眼では今に暴れ出す かもしれない。けれど大丈夫、私は喫茶店の中に居るのだから、中に居るという 事はその建物に守られているという事だから。 その人は雑踏を遠くへ泳いでいった。 次は女の人、その人はぼんやり眺める私の顔をまたえぐるように見る、狂人の 眼で、けれど大丈夫、私は喫茶店の中に居るのだから、一体どうしたのか、今日 は狂人の休日なのか。 ああそういえば、今日は日曜かも知れない、違ったかな、それにしてもどうし たというのかさっきから通る人通る人皆私をえぐるようにしか見ないで、ほらあ そこの若い人も年老いた人も、何故だ。 表情が悪いのかな、笑って、いやそれでは変だ、ならば微笑をしようか、いや 口の端には既に浮かべている、単に私の顔があまりに疲れ切り脱力しているから かもしれないけれど、私は確かに、微笑を浮かべている。 私と眼を合わさず笑いさざめきながら通り過ぎる二人連れの少女達。その二人 はまるきり私に気付かずあの眼もしない、さっきまでのは気のせい、いや違う。 やはり、今一瞬片方の少女と眼が合い、その眼はえぐるように。 全ての人が、私を殺そうとしている。 けれど私は私自身の異状に気付いている。やがてこれはゆっくりと確実にある いは既に異常へと向かう、私を置いていく。私は少しづつ確実に狂っている、狂っ ていくのだ、何故なら、今。 私を、殺してくれ。 喫茶店の中に居るのではなくもしも私がショーケースの中に閉じこめられてい るのならば。 1989.06.25. 1992.07.15.12:55 終 楽理という仇名 こと 椿 美枝子
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