空中分解2 #2052の修正
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「ん?何かあった様だが、無事に済んだか」 早瀬は一人呟くと、目の前に積み上げた武器の山を再び物色し始めた。 そう、先刻の沙織を救った謎の影は、いわば早瀬の分身とも言えるもので、早瀬達 クラブに所属した者はニンフと呼んでいたが、伝説や何かに出て来る精霊とは関係の 無い、一種の分身術の類だった。 人間が持つと言われる能力のほぼ全てを持っている早瀬にとってこれは日常的な能 力に過ぎなかったが、数キロ離れた場所での現実に対処出来る能力はこればかりでは 無かった、もっとも本人が感知出来ぬ場所での出来事にまでは無理であったが・・・ 武器の山からリボルバーのマグナムとグレネードランチャーの小型の物を選び出す と早瀬は「かまきり」に代価を払って部屋を出た。 「奴の情報は入らないか?」 通路を歩きながら問いかける早瀬にかまきりの答えは変わらなかった。 「さっきから、アニキと一緒してるじゃないですかぁ」 「ならば、さっさと調べて来い!」 早瀬の言葉と気迫に押されたかまきりは、早瀬を事務所から送り出すとすぐにどこ かへ消えてしまった。 次に早瀬が足を向けたのは、警視庁だった。 「貴様!何年警官をやってる、俺達が普通の警官じゃ無い事位もっと理解したらど うだ?こんな単純なミスしやがって」 草薙 鏡児は、部下のミスに苛立っていた、彼も早瀬と同様にかつてクラブに所属 し、四聖天と呼ばれた4人の一人であったのだが、今は警視庁公安部特別調査課と言 う表向きには存在しないはずの部署に席を置いていた。 そこへ早瀬が訪ねて来たのが、決して偶然で無い事等は草薙に取って推理する程の 事でも無かったが、一応問いかけた。 「来る早々にごたごたですまんな、所で何の用で来たんだ?」 「ミスターの所から使いが来て、妙な連中が俺の大事にしてる人間に危害を加え様 としてると言うんだ」 「それで?」 「そいつらの一人と手合わせをした」 「ほう・・・」 早瀬による戦いの状況説明に草薙は驚いた、彼等に匹敵する敵が存在する事すら信 じ難い事実であった。 「それで、そいつについて調べろって訳だ」 「クーガー、昔馴染みだ頼むよ」 「良いだろう、お前には何かと借りもあるしな、但し24時間待て、いくら俺の今 の地位でもそれ以上早くは調べがつかん」 草薙の言葉を了承した早瀬は、翌日の同じ時間に再来する事を告げると出て行こう としたが、その後ろから草薙が呼び止めた。 「ウルフ、お前もしかして四聖天全部に聞いて回るつもりか?」 早瀬は、その問に目だけが冷静な独特の笑いで答えた。 「商社マンをやってるタイガーは、巻き込む訳には行かないだろうが、お前さん同 様に新宿で警官やってるジャガーには協力して貰おうと思ってる」 「そうか、で?お前独自の情報源は」 「勿論、総動員さ」 草薙にとって早瀬のその何気ない言葉が、かえって事の重大さを痛感させるのだが 早瀬は知らん顔をしていた。 早瀬により2度の撤退を余儀なくされたパルドは、予想以上の苦戦に作戦の変更を 迫られていたが、もとより単独作戦である事が幸いして予想以上に早い立て直しを完 了していた。 「奴らは、通常空間の間に真空の空間を作り出し物を切断する時空刀を得意とする とは聞いていたが、火炎放射まで簡単に使うとは、情報不足だった様だ」 一人呟いたパルドの後ろに、人影が寄り添うと話しかけた。 「パルド、本当に一人で大丈夫なのか?」 男言葉を使ってはいるが、その容姿は明かな女性だった。 「お前も俺も男であり女でもある、心配してくれるのは有り難いが雌雄両体の我々 に取って恋愛感情は無用の長物だ」 答えたパルドの冷たい言葉に、女の姿をした一人はムキになって応えた。 「ふんっ、貴様など四聖天の餌食にでもなれば良いわ」 「ふふっ、そう簡単に負けるものかよ」 パルドの不敵なまでの自信が何処から来る物か、余程の作戦を組み立てる事に成功 したのか、それとも自分の力による物なのか判断しかねた相手は引き下がった。 家に帰り着いた沙織は、その日はすぐに寝てしまったのだが翌朝になるとやはり気 になって、早瀬の家に電話をしようとして、今まで番号を知っていながら早瀬に電話 をした事が無いのを思い出して、親友であり共に早瀬を知る美樹に電話をする事にし たのだった。 「なによぉ、こんな朝早くからあんたが電話して来るなんて」 朝の苦手な美樹は不機嫌な声で電話に出たが、沙織の話を聞くと簡単に乗って来た。 「えっ、早瀬ちゃんってそんな過去があったの、只者じゃ無いとは思ってたけど」 美樹の驚きがかえって沙織にとって不思議だった、沙織は何の抵抗も無く早瀬の過 去を受け入れる事が出来たからなのだが、自分が何故に簡単に事実を受け入れたのか 疑問が沸き上がるのだった。 暫くの間、電話での話を続けた沙織は、大まかな説明と昨夜の出来事を報告し終え ると電話を切って、独り言を呟いた。 「早瀬の奴、本当は何者なんだろう?」 自身を守る事の出来る只一人の人物こそ早瀬であるとまだ知らぬ沙織は、早瀬に対 して疑惑の目を向け始めていた。 1992/08/15 QUB38517 【神奈川】 グレイ
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