空中分解2 #2050の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
早瀬は沙織達への説明にたいして時間をかけなかった、自分が庸兵であった期間が ある事、そしてパルドがおそらくは庸兵である事は話したが、自分がどんな能力を持 っているのかやパルドの目的が沙織の命にある事は黙っておいた。 店を後にした早瀬は、かつての人脈を頼りに情報を集めようと、とある広域暴力団 の事務所へと足を運んだ。 組事務所へ足を踏み入れた早瀬をチンピラ達が迎えて怒鳴っていた。 「てめぇーは、何者じゃぁー、ここは普通の人間が来るとこじゃねぇぞー」 妙に間延びしたその声は、まともな判断力が残っている様には感じられ無かった、 だが奥から掛かった一声にピンピラ共の表情が一変した。 「何を騒いどる、何ぞあったのか」 奥から出て来たその男は、早瀬の顔を見ると懐かしそうな表情を作ると、とてもヤ クザ者とは思えない声をあげて、早瀬に飛びついて来た。 「ウルフのアニキ、生きてたんか、てっきり死んだとばかりおもっとった」 妙な何処のなまりともつかぬ言葉を黙殺すると、早瀬は用件を切り出した。 「おまえさんに手伝って欲しい事がある、調べ事なんだが?」 「何です、アニキの手伝いやったら何だってしたりまっせ」 早瀬は、手短にパルドの事を男に話すと情報の収集を依頼した、早瀬の事をアニキと 呼んではいても、早瀬の名等この男は知らなかったし、早瀬自身もこの男の本名は知ら なかった、ただ裏世界で「かまきり」と呼ばれる男である事しか・・・。 早瀬が切り落としたパルドの腕は、沙織達との騒ぎに早瀬が手を取られている内にそ こに偶然かどうか居合わせたレオンの手によってクラブの極東支部のラボに運び込まれ ていた、早瀬もこの事実には気付いていたが、黙殺していた。 レオンはラボでの解析を終了すると、支部長のミスターの元へ報告に出向こうとして 通路で他のソルジャーに捕まった。 その女はビショップと呼ばれ、かつては早瀬の指揮下にあって現代の般若等とあだ名 される程の強者であり、現在も1,600名の部隊を率いていた。 「ウルフの所へ行ったんですって、何の目的で?」 「作戦機密だ、所轄外の者にはたとえ指揮官でも口外出来ん。」 「そう、その気になれば調べ様はあるのだけれど・・・」 「・・・・・」 レオンは「先日発覚した組織に関する件だ」とだけ言うと、その場を離れようとした がその後ろからビショップの一言が突き刺した。 「ウルフを戦列に復帰させるつもりなら、彼が愛する女性を巻き込むのは得策では無 いと思うけど」 含み笑いの中で語られたビショップの言葉にレオンはギクリとさせられた。 局長室に入ったレオンは開口一番ビショップの言葉をミスターの伝えた。 「そうか、ビショップが感づき始めたか」 「どう致しましょう、ミスター?」 「そのままにして置け、敵対組織が行動しているのは事実だし、あの女を巻き込んだ のも我々では無い、ただし我々がウルフの復帰を促す為に他の作戦行動を控えているだ けでな」 「それは、そうですが・・・」 「それより、敵性組織の残存物件の分析結果はどうなっている?」 「はっ!これが分析結果であります」 レオンの差し出した報告書に目を通したミスターは、予想していたのか、さほどの驚 きは見せなかった。 「ごきぶりに蝉そして甲虫・・・発覚しただけで6種類の昆虫か、それで再生能力の 発生源は判ったのか?」 「おそらくは、は虫類系の再生細胞が含まれるのでは無いかと」 「確認は取れないのだな」 「申し訳御座いません」 「まぁ良い、死体でも手に入れば全てが解明するだろう」 何を隠しているのか、ミスターはそれ以上を語ろうとはしなかったが、レオンの背筋 には何か寒い物が走っていた。 沙織は、釈然としないまま午前3:00を回った町並みを家へと急いでいた。 「何よ、早瀬の馬鹿、人の気も知らないであんな奴等と事を構えて」 早瀬が聞いていたら、気を悪くしそうな発言ではあったが、早瀬が狙われていると思 い込んでいる沙織にとっては無理からぬ事であった。 沙織も実は、早瀬の想いに勝とも劣らぬ程の思いこみで早瀬の事を想っていたのだが きっかけが掴めないでいるのだった。 そんな沙織の後ろに、着かず離れずに見え隠れする影の存在があった。 早瀬に良く似たその影は、常に周囲に気を配る様子を見せながら沙織の後を追ってい る様に見えた。 前方の暗がりから一人の女性が歩み寄って来るのに沙織は気が付いた。 「こんな時間に女性一人じゃ不用心じゃない」 自分の事を棚に上げた沙織のそんな呟きが聞こえたのか女性は立ち止まって言った。 「あなたは、御自分の心配をされた方がよろしいのじゃない?」 「どこかで御会いしましたっけ?」 沙織の問いかけに女性は、口の端だけで笑って見せると、無言のまま飛びかかって来 たのだった。 そこへ、沙織の後ろから火柱が飛んで来て、飛びかった女の鼻先をかすめ攻撃の矛先 を変えさせた。 無言のままに数分の激闘が展開された。 常人の目には止まらぬ程の早さで動く彼等を、沙織は逃げる事も出来ずに眺めていた が、周りに風を巻き起こし、ブロックの塀を破壊するに至って、初めて悲鳴が口をつい て出た。 その悲鳴に驚いた近隣の住民が起き出して来るより早く、二つの影と化した彼等はど こかへと消えていた。 後へ残った沙織は、悲鳴に起き出して来た住民達への説明もろくに出来ずに苦労をし たが、事無きを得て自宅へと帰り着いたのだった。 1992/08/14 QUB38517 【神奈川】 グレイ
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