空中分解2 #2016の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「砧 泰之さん書留です。ハンコお願いします」 早速封を切って中身を取り出すと、『ル・サイファーNET』と書かれた一枚のデ ィスクと四つ折りにされた説明書が入っていた。 「あん? なんじゃこりゃ」 そう訝りつつも取り敢えず起動させてみる。 聞き慣れたパソコンの音と共にプログラムが起動し始めた。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ |ル・サイファーNET 専用通信ソフト| +−−−−−−−−−−−−−−−−−−+ これから貴方がアクセスしようとしているNETには数多くのSIGが存在してい ます。しかし、そのSIGの全てはありきたりなそれではなく、必ずや貴方の好奇心 を満足させてくれることでしょう。 なにはともあれ、一度アクセスされる事をお薦め致します。その特異性にきっとご 満足いただけるものと確信しております。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 暫く考え込んだ後、アクセスしてみる事にした。 いつもの電子音と共にトップメニューが表示される。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ☆ Welcome to ル・サイファーNET ☆ ★初めてのアクセスの方はトップメニューの[1.ビギナー]をご利用下さい。 Mナー 2.SIG 3.電子メール 4.今週のお知らせ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ビギナーのメニューを開くまではなんの変哲も無い普通のNETだと思っていた。 それまでに混沌と無秩序から排出される開放感をもたらしてくれるNETがあろうな どとは思ってもいなかったのだから。 NETにアクセスしていフ間、泰之は自我をむき出しにする事が出来た。そし て自我の開放は心地好い悪徳を心の中に注ぎ込む。 日に日にアクセスの時間は長くなり寝食を忘れてNETでの活動に心血を注ぐ様にな った。時間の経過と共に自分がNETの中で生活している様な既視感が襲ってくる。 いつしか、もう一人の自分がその中にいるような気がしてくる。ただ、その中にいる 自分はあらゆる意味で純粋である様な気がした。 そうして、どれほどの日数が流れたのかも定かではなくなったある日。 「砧 泰之さんでいらっしゃいますね?」 金色の瞳を持った一人の紳士風の男が泰之を訪ねて来た。 「けど、また今度にしてくれないかな。今忙しいんだ」 「ル・サイファーNETがお気に召した様で当方の喜びもまたひとしお」 「…あのディスクはアンタが?」 「はい、左様でございます」 「で、何の用なんだい? 今更入会料を取りに来たとかいうんじゃないだろうな」 「いえいえ、とんでもございません。私は只、貴方のお手元にあるディスクを頂きに 参っただけでございます」 「ディスクを?」 「はい。回収期限になりましたので、こうしてお伺い致したわけです」 「回収期限?」 ィや、説明書をお読みになっていらっしゃらないのですか」 「説明書?」 「おやおや、これは困りましたねぇ。しかし、一応契約書通りという事になりますの でこれはいただいていきます」 男の手には泰之が使用していたディスクが握られていた。 呆気にとられる泰之を尻目に男はディスクをポケットに入れると帰ろうとした。 反射的に泰之はディスクを男から奪い返そうとして飛びかかった。しかし、身体は虚 しく男を通り抜け、そのまま勢い余って男の前に飛び出してしまった。 「大丈夫ですか? 見たところ随分とおやつれの様子ですが。それに足がふらついて いらっしゃる」 「そのディスクを返してくれ…」 「それは無理b烽フです。期限があって貴方にお貸ししていたわけですから。そ れを知らなかったから返せ、というのはどう考えても筋の通らない話というもの」 「ならそのディスクをコピーさせてくれないか?」 「いいえ、これはコピー出来ないのです。それにコピーをすれば折角の純粋さが失わ れてしまいますから」 「純粋さ?」 「あ、いやこれは口が過ぎましたな。後は説明書でもお読みになってください。では 、ごきげんよう。」 「…」 「ああ、そうそう。お身体は大事になさった方が宜しいですよ…」 ァち去った後、すぐその説明書に目を通した。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ル・サイファーNET説明書 ・ ・ ・ ディスクでNETにアクセスなさった時点から起算して、13週間後に回収に伺い ますのでその場合は速やかにご返却なさってください。 ・ ・ 上記の説明の様にご利用者の魂の純粋な部分をいただくのと引換えにNETではあ らゆるサービスをご満足いただける形で提供するのです。 ・ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 呆然と宙を見据える泰之の耳に男の声が聞こえた様な気がした。 (気にすることはありません。純粋さを失った脱け殻の様な心でも生きていくのには なんの支障もありませんです) (ううっ…誰かに続く…かも知れない)
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