空中分解2 #1551の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
* * * チャリーン。バスの乗車賃を払うと、俺は身震いしながら寒空の中、家路 なんといってもこの季節にもなれば寒い!子供は風の子かもしれないが、 大人まで風の子って訳じゃない。まぁ例外もいるが…… 俺の足は、否応なしに早くなっていく。ん?目の前にコンビニが『おいで おいで』と手招きしているではないか。 「ん〜そうだな。一人じゃ寂しいけど、酒でも買って体を温めるか」 俺は誘惑に負け、なけなしの金をはたいて二級酒一本片手にレジへと向か った。 「ありがとうございましたぁ♪♪♪」 レジのお姉さんの可愛らしい声を背に、俺はコンビニを後にした。 すっかり軽くなってしまった財布の中身を確認しようと、俺は財布を開い てみる。俺の財布に残っている全財産の合計は、なんと112円……しかな かった。 「むぅ」 吹き付ける風も寒いが、どうやら財布の中身も寒いらしい。 これで部屋も寒かったら洒落にならないだろうなぁ、などと馬鹿馬鹿しい 事を考えながら家路を急いだ。 * * * 俺のマンションは、街からかなり離れているから買い物などには苦労する が、その見返りといってはなんだが、とても環境がよい。もちろん夜中に暴 走族などが爆走することもなく、いたって静かである。 俺はここがとても気にいっていた。何と言っても気の休まるところでなけ れば、家など意味のないものな訳で…… ”ただ、家賃が高いのが難点と言えば難点なんだよなぁ” 俺の不安定でしかも安い収入から考えると、ここはどう考えても不釣合の マンションである。 定職に就けばなんとか暮らしていけるのであろうが、俺は今の生活が性に 合うらしく、取り敢えず定職に就くつもりはこれっぽっちもなかった。。 大体縛られるのが嫌いなので、職に就いたところで長続きしないだろう事 は目に見えている。 そんな事を考えながら歩いているうちに、俺はマンションに着いてしまっ て、その目の前で真剣に考え込んでいるのだった。 「外見は綺麗なんだけどなぁ」 自分のマンションを見ながら、評価してみた。 「ん〜。外見から俺のごみ箱のような部屋は、想像できないだろうなぁ」 自室を思い浮かべ、ふぅと、溜め息を一つ漏らす。 「お手伝いさんでも、雇えればなぁ」 自分の財布の中身と相談して物事を考えれば、それが叶わぬ夢である事は 一目瞭然なのだが…………まぁ夢を抱くより、素直に自分で片付けたほうが 手っ取り早いし第一金が掛からないので、遠い将来俺が大金持ちにでもなっ たときにでも雇うことにしておいた。。 「さぁてと、考え込んでもしょうがねぇか。無理なものは無理!諦めが肝 心ってね」 本当は諦め切れないのは山々なのだが、取り敢えず寒いので部屋に戻るこ とにした。 * * * 俺の部屋は三階にあるので、階段を使って部屋まで行かなければならなか った。このマンションにはエレベーターもあったが、若いうちは出来るだけ 歩かないと体が鈍ってしまう。だからよほど疲れていない限り、俺は階段を 使う事にしているのだ。これは健康的な老後を迎える為の一つの作戦であり 、腰を曲げながら苦しそうに歩く老人の姿を見て、このようになりたくない という思いからこの作戦が開始されたのだ。 「さぁて、鍵鍵っと」 自分の部屋の前で、俺は鼻歌交じりでポケットから鍵を取り出すと、鍵穴 に鍵を差し込む。 カチャカチャ……………ん? 鍵が空回りしている。 「…………………」 ”まずい。そう言えば、急いでいたもんだから、鍵を掛けるのを忘れてい たような気がする…………” それに最近は物騒になっているから、空き巣に入られている可能性もある。 「えっと、盗まれそうなのは…………パソコン各種、ビデオ、テレビ、バ イク……ん?あれは外か。それにこの間倒されて、ドック入りしてるんだっ け」 被害にあってもいないのに、なんとなく被害者 にでもなった気分になって きた。俺は気を取り直すと、部屋に入いってみる事にした。 「ただいまーっと!………空しい。……ん?電気も付けっぱなしか。まっ たく、俺ときたらだらしがないんだからなぁ」 自分で言っておきながら、悲しかった。 ”ここで女の子の出迎えでもあれば、幸せなんだろうなぁ” まったくもってその通りなんだけど、世の中そんなに旨くいかないものな んだよなぁ。鳴呼何と世間様の厳しいことよ。 しかし、ここで俺の度肝を抜かす一言が部屋の億から聞こえてくるではな いか。 「あっ、おかえりなさーい」 部屋の奥から聞こえてきた声の主は、何と女の子。 理想的な展開だ、と、心の中で呟いてみるが、どう考えてもおかしい。 「すいませーん。部屋を間違えたみたいで」 俺は右手で頭を掻きながら、いそいそと扉を閉めた。 「あっ、ちょちょっと………」 パタン。 ”ふぅ。このマンションにも、女の子が住んでいたんだなぁ” このマンションで会うのはむさくるしい男ばかりだった。 後で挨拶に出向こうと考えながら、俺は自分の部屋に向かって歩き始めた。 二・三歩歩き、俺は立ち止まる。 「………………………おかしい?」 疑問符が、頭を過っていく。 階段を出て、最初の部屋が俺の部屋のはずだ。普通の人なら、間違わない はずである。 俺は先程の部屋の前に、引き返してみた。部屋のナンバープレートは「3 01」その下には「神崎 瞬」と名前が書いてある。確かに俺の部屋に間違 いないようだ。 カチャ。 自分の部屋でありながら、さながら泥棒にでもなったような手つきで、静 かに扉のノブを回した。 「あの〜すみません……」 今にも消えてしまいそうな小さな声で、奥にいるであろう女の子を呼んで みることにした。 「は〜い♪」 部屋の奥から、可愛らしい声と共に女の子が出てくる。 部屋を間違ったという思いが、再び俺に襲いかかってきた。 「あのぉ。ここは神崎っていう人が住んで居たと思うんですがぁ」 自分の部屋で、自分について聞くのも何か変な気分だ。 「何言ってるんですかぁ。ここはあなたのお部屋でしょう?」 何馬鹿なこと言ってるの?とでも言いたそうな顔をして、女の子は応える。 「まぁそりゃそうなんだけどさ。あの〜そのぉ、何で俺の部屋にいるわけ ?」 最大級の疑問について、俺は聞いてみることにした。俺は孤独な一人暮ら し。女の子がいるはずがない。 「あら。ごめんなさい。勝手にお部屋に上がりこんじゃって……てっきり 高崎さんから聞いているものとばかり思っていたものだから」 おっさんの名前が出て、始めて俺に思い当たる節がでてきた。 「えっ?じゃあ君が…」 「そう。あたしが依頼人の『結城 舞』です。よろしくね」 「あ…」 口を開けて惚けている俺に向かって、舞がニッコリ微笑んで一言。 「あの、立ち話も何ですから……って、あたしの部屋じゃないんですけど」 まぁそれもそうだ。何も、自分の部屋に入る事に遠慮する必要はないのだ から。 「ああ、そうだな」 俺は部屋に入ると、早速依頼の件について聞いてみることにした。
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