空中分解2 #1550の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
以前にUPしたものは、不適当な所がたくさんありましたので、訂正を 兼ねて再度UPします。(^^;) これは新潟の「SIN−NET」内SIG2オ〜ルザットウルトラ小説 から私(Farlia)が書いたものを転載したものです。 Rock´n Roll Cinderella ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ 頭上で目覚し時計の音が、部屋いっぱいに鳴り響いている。 俺は手探りしながら目覚し時計を掴み取ると、その頭に付いているボタン をポンと叩いてやる。静寂が部屋に戻ってくるが、俺の口からは時計の音に 匹敵するほどの大音量で愚痴を漏らしはじめた。 「ったく仕事明けで眠いってのに、いちいちセットした時間に起こすんじ ゃない!」 多少の矛盾を覚えながらも、俺は布団を頭から被ると再び眠りについた。 「……………ZZZzzz」 しかし、その束の間の幸せをぶち壊すかのように、再度目覚し時計の反撃 が開始された。そう、この目覚し時計には二度寝対策として10分間隔で鳴 る仕組みになっているのだ。最近の目覚まし時計は一筋縄ではいかない代物 が多く市場に出回っているらしい。 まぁ俺にとって、それは望ましい事だ。なんといっても、俺自身一筋縄で はいかないのだから。 「う〜んう〜ん」 布団の中から、唸り声が漏れる。 「たのむ〜もう5分でいいんだ…………」 などと目覚し時計にお願いしても、そんな賢い時計があるはずもなく、容 赦ない攻撃が続行される。第一起こすことが仕事の目覚まし時計に対して、 そんなことを言っても聞き入れるはずもない。機械はしっかりと職務を全う しているのにすぎないのだから。 「で〜いい加減にしやがれ、このボケ〜」 そんな働き者の目覚まし時計に、俺は恩を仇で返してしまうのだった。 何をしたかと言うと、布団を跳ね上げ目覚し時計を掴み取ると、壁に向か って投げ付けたのだ。 グァチャー………たいそうな音を立て、目覚まし時計は床に崩れ落ちて行 った。 そんな光景を見ながら、 「だいたい目覚し時計の分際で、俺様の眠りを邪魔する事じたいが間違っ ているのだ」 わはははははっ、と、誰も居ない部屋で俺は一人勝ち誇ると、大声で笑い 出した。 「さて邪魔者は居なくなったし、もう一眠りするかな」 俺は再度布団を被り、横になった。 「ん〜そう言えば、目覚まし時計って何に使うものだったっけ?」 俺は寝ぼけた頭の中で、一生懸命考えていた。 「目覚し時計って確か人を起こすための道具だったような…………って事 は、先程目覚ましが鳴ったのは、誰かを起こそうとしたわけだ。確か俺は一 人暮らしで他に住んでいる奴もいないし…………」 ぶつぶつと呪文のような独り言を漏らし続ける。 「そうか、きっと俺を起こそうとしたんだな。うんうんご苦労さま……… ん?じゃな〜い」 布団を再び跳ね起きると、俺は無残に砕け散った目覚し時計の残骸を見詰 めていた。 「うぅ。今月4個目の目覚まし時計がぁぁぁぁぁ」 自分で壊しておきながら悲しくなった。否、それを片付けるときのほうが もっと悲しい違いない。無意識の行動というのは、本当に恐ろしいものであ る。 仕方がなく俺はベットから起きると、取り敢えず砕け散った時計の後片付 けをして、飯の準備に取り掛かることにした。飯の準備と言っても、コンビ ニで買ってきた安物の弁当をレンジでチンするだけなのだが。 「しかし、何でこんな時間に目覚し時計をセットしたんだっけ」 俺はレンジで温めた弁当を取りだし、テーブルに持っていく。 「まっ思い出すのは飯食ってからでも遅くね〜か」 勝手に納得して、俺は弁当を食べ始めた。 「かー、相変わらずまずい弁当だこと」 ぶつぶつ文句を言いながらも残さず食べ尽くすところが、貧乏が故の悲し い性と言うものだろうか? 空しさに囚われながらも、俺はテーブルの脇に置いてある手帳を捲り始め た。この手帳には、俺の毎日のスケジュールなるものが記入してあるから、 今日の日付を見れば何をすれば良いのか分かると言うわけだ。 「ん〜と十月二十四日と…………あったあった、何々?20:00時、高 崎のおっさんと仕事の打ち合わせ……か。どれどれ時計はっと。………しま ったぁ〜〜〜〜〜〜さっき壊したんだっけぇ。しょうがない、電話電話っと」 俺はプッシュ式の電話の受話器を外すと、時報を確認してみた。 ピッポッパ。プルルルルルルルルル……カチャ。(ピッピッピッピーン… …只今の時刻、20:00時ちょうどをお知らせ………) 冷たい物が俺の背中を流れ、同時に右手に持った受話器が床へ叩き付けら れる。 「やっやばい!急がないと。きっとおっさんカンカンだぜ〜〜」 高崎のおっさんてのは、毎回俺に仕事を持ってきてくれる神様のような存 在だ。と言っても、大抵ろくな仕事は回ってこないんだけどさ。 まぁ背に腹はってなもんで、シブシブ(ってほどでもないが)引き受けて いるんだけどさ。 あっそうそう紹介が遅れたが、俺の名前は『神崎 瞬』二十歳。職業、不 明………否、一応仕事はしているんだけど、その仕事ってのがまた多種多様 なんでもござれってなぐあいで、おっさんの持ってくる仕事によって変わっ てしまうんだなこれが。 今までだって、皿洗い・家庭教師・新聞配達・呼び込み・土木関係の仕事 など。etc.etc.数えたら本当に切りがない。 「おっしゃあ、いくか」 急いで服を着替えると、俺は部屋を後にした。 * * * 俺はバスを二度乗り継ぎ、目的の街へと着いた。 街は道行く人々でごった返しており、そのほとんどがカップルで占められ ているのだ。幸せそうなカップルを横目で見ながら、俺は怒りを抑えていた。 ”人がこれから仕事だっつ〜のに、いーきなもんだ。だいたい、何で俺に は彼女がいないのだろうか?” 後ろに忍び寄って頭をこづいてやろうという誘惑にかられながらも、俺は なんとかこれを理性で抑えると、一路目的の店へと急いだ。 「ここだな」 目的の店は、案外簡単に見付けることが出来た。 街の裏の路地に、こじんまりとした喫茶店がある。華やかな表の街の雰囲 気とは対称的なこの店が、おっさんとの待ち合わせ場所というわけだ。 俺は店の看板と、手帳に記入してある店の名前とを照らし合わせる。『喫茶 黄昏』手帳に書いてある店の名前と同じのようだ。 「間違いないようだな」 俺は扉を開け、店の中へと入っていく。 店内は小さいながらも綺麗にまとめられていて、なかなか好感が持てる。 所々に鉢入れの花が飾ってあり、それが店自体を柔らかくしているのだろう。 俺は小さな店内を端から眺めるように目線を左から右へと移していくと、コ ーヒー片手に新聞を読んでいるおっさんの姿をカウンターに見付けることが できた。 「よう、高崎のおっさん。待たせたな」 俺は悪気をまったく見せず、軽快に声を掛けながらおっさんに近付いた。 気のせいか、おっさんの手が震えているように見えるが、ここは一つ気が 付かない振りをすることにした。 「いやぁ、悪い悪い。道が込んじゃってさぁ」 白々しい嘘をつきながら、俺はおっさんの横の席に座る。 カウンター越しに店のマスターが注文を聞いてくるので、俺はおっさんと 一緒のコーヒーを頼むことにした。コーヒーサーバーからコーヒーカップへ と店のマスターは手際良く注ぐと、皿に乗せて俺の前に差し出してくれる。 一口コーヒーを口に含むと、先程から沈黙を守っているおっさんに、話し 掛けてみた。 「怒ってんのかい?まぁ些細な事を気にするおっさんじゃないって事は分 かっているけど、一応謝っておこう」 俺はなんとか笑って済ませてしまおうと、賢明な努力を試みていた。おっ さんが怒っているのを十分に承知した上でこんなことを言うとは、俺もなか なか勇気があると思う。 「って訳でだな、おっさん。今回の仕事は何なんだ?」 俺はおっさんが怒っていないことを無視前して、聞いてみることにした。 「……………………貴様」 ぼそっと、おっさんが一言。 ”やべ〜。こいつぁかなりキテるな” それを証拠におっさんの頭には、図太い青筋が乱立している。俺は逃げ出 したいという思いに狩られたが、明日の生活のために敢えて耐えていた。 「俺はなぁ。待たされるのがで〜きれ〜なんだ。それを承知の上で貴様、 三十分も遅れて来やがったのか?」 「だから、それは道が込んでいてだなぁ……」 嘘を正統化しようと、俺は頑張ってみた。 「まぁいい」 おっさんから返ってきた言葉は、意外であった。 ”嘘でもいいから、ついてみるもんだなぁ” 俺は本当にそう思った。が、しかし、次のおっさんの一言で、いとも簡単 に崩れ落ちてしまうのだった。 「貴様にくれてやるはずだった仕事は、他の奴にくれてやったわ」 「なっ…………おっさん、俺の今月の生活をどーしてくれるんだ」 「知らんわ。遅刻した貴様が悪い」 「ぐっっっ」 返す言葉がなかった。 しかし、こちらにも生活がかかっているのだ。何としてでも仕事を貰わな ければ、明日からの生活に困ってしまう。 「なぁおっさん、機嫌直してさ。ちょっとでいいんだけど、仕事ないかな」 手を擦り、まるで商売人にでもなったような素振りをしながら俺はおっさ んに擦り寄った。 「ない!貴様にくれてやる仕事なんぞないわ」 おっさんは俺を押し退け立ち上がると、レジへと歩いて行く。 「そっそんなぁ。おい、ちょっと待ってくれ」 俺の言葉を無視しながらレジの前で勘定を払い、店の扉を開けて出ていこ うとする寸前におっさんは、 「冗談だ。そのうち依頼人の方から貴様の所に出向くだろう。まっ貴様好 みの良い仕事だからな。しっかりやれ」 と、振り向きもせず、おっさんはそれだけ言うと、さっさと帰って行った。 「さんきゅ!おっさん。感謝感謝」 まったく人の悪い奴だ。でもちゃんと仕事だけは面倒見てくれるし、やっ ぱり俺にとっては神様のようなものだ思う。 「俺好みの仕事か…………なんだろ?」 今までが今までだけに余り期待する事は出来なかったが、仕事が入っただ けでもめっけもんてことで、よしとすることにした。 「さて、後は依頼人をマンションで待っていればいいって訳だ」 俺は一服だけすると、喫茶店を後にするのだった。
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