空中分解2 #1440の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「みなさん、子供パークにようこそ!」 S氏は感激で声を震わせながら見学者たちに挨拶した。 コスタリカの地に計画されていた「子供パーク」が、今年の春、ついに完成した。 S氏はこの「子供パーク」の立案者であり、建設者であった。 本日は、初めての一般公開日である。 S氏は万感の思いで、エサを食べている「子供達」を見つめる。 ああ……。 ついに出来たか。 我がライフワーク、「子供パーク」が、ついに出来た! お客さんもこんなに来てくれている。 おそらく20人は軽く超えているだろう。 なんて天文学的な数なんだ!私の指では、とてもじゃないが数えきれない。 うれしいな、うれしいなー。 ありがとう、客ども! おまえ達が来てくれたおかげで、今日の飯が食えるのだ。 サンキュー、客ども。入場料払ったら、とっとと帰って下さいよ。 案内役であり科学者でもあるS氏は、さっそく見学者たちに説明を始める。 「……この地には子供が2000人はいます。どうぞ、思う存分子供たちを観察して下 さい。この子供パークに放し飼いされている子供達は、「ヒト・ゲノム計画」のたまも のです。我々はヒトの遺伝子を完全に解析し終えました。そのおかげで容易に人間を創 造することが出来るようになったのです。凄いでしょ。」 見学に来ていた農協の団体さんたち(10人以上はいたようだ。)は、みな「子供パー ク」の驚異的な風景に驚いていた。 「確かにすごいべよ。こんなにイッパイ子供がいると、驚くべな。」 「んだ、んだ。素晴らしい眺めだ。」 「子供が動いているべ。あっ、あそこの子供が飯を食ってる。こいつは凄い、まるで夢 の世界のようだべよー。」 「んだな、もういつ死んでも悔いはねえな」 S氏はとある部屋に彼らを案内し、さらに解説する。 「皆さん、この部屋がコントロール・ルームです。このコンピュータを見て下さい。こ れはSENTENGA製の、スーパージェネシスと言うスーパーコンピュータです。こ のコンピュータで「子供パーク」を管理するのです。どうぞ、画面を見て下さい」 画面には、以下のような表示がされていた。 子供の合計 2190 ---------------------------------------------------------------------------- 種別 人数 バージョン ---------------------------------------------------------------------------- 白人 (カトリック) 5 3.3 白人 (プロテスタント) 6 2.5 アーリア(優生思想) 30 0.2 黒人 (キング/マルコムX) 50 3.6 黒人 (トーテミズム) 70 3.2 黒人 (ブードゥー教) 200 2.4 中国人 (仏教) 1480 1.5 中国人 (道教) 70 2.6 ユダヤ人(ユダヤ教) 50 3.1 ユダヤ人(シオニスト) 60 0.3 日本人 (お金) 20 0.2 日本人 (仏教) 3 2.3 日本人 (神道) 70 1.1 中近東 (イスラム教) 50 0.2 中近東 (ゾロアスター教) 6 2.1 インド人(ガンジー) 20 3.8 ---------------------------------------------------------------------------- 合計 2190 「カッコの中は、宗教の分類です。宗教の部分は、「何を信じるか」と言う設定をあら かじめプログラムしておりまして、白人がブードゥー教を信じると言った事態は発生し ません。ですが、将来的にはどうなるかわからないと言うのが正直なところです。基本 的なセオリーは「カオス」と言いましてあらゆる可能性が起こりうるように設定されて いるからです。まあ、確立は低くなるように設定してありますし、住み分けもされてい ますので、突然変異でもしない限りそうした事態はめったに発生しないのです。あとで すねえ、バージョンってのは、子供達の最新バージョンの数値をあらわしています。」 「ふーん、わかったけど、なんだか雲行きが怪しくなって来たような気がするべよ」 「おめえもか。おらも、なんだか落ちつかねえだ。特にイスラム教に関しては……」 「ばっちゃ!それ以上いっちゃなんね!アサシン(暗殺者)がいるでよ!それいっちゃ いかん!」 「大丈夫だって。あのな、マホメットなんてアホなやつはだなあ……ウッ!」 「ああっ、ばっちゃ!額から血が!!ばっちゃが狙撃されちまっただよー!」 「だから言わんこっちゃないんだ。どこかで寝ていれば治るべ」 S死は説明を続ける。 「さて、子供パークのシステムに関しては以上でよろしいですね。次は、外観をゆっく り見学して下さい。子供たちの生態は非常に興味深いです。たとえば、あそこで走り回っている子供を見て下さい。ものすごく足が早いでしょう。今まで、子供は鈍い動きをす ると言う印象がありましたが、あれが本来の姿なのです。草食の子供もいますが、肉食 の子供もいます。獰猛な子供は草食子供を食べてしまいます。恐ろしいですねえ。」 農協の団体さんのまさに目の前で、凶暴な肉食子供が、弱々しい子供の頭にかぶりつい ていた。その風景はゾッとさせずにはいられないものだった。 弱い草食子供は、悲鳴をあげながらも逃げようとする。 「助けて!助けて!」と。 だが、肉食子供の強力な牙は、あっけなく草食子供の喉をかき切った。 肉食子供は、バッタリと倒れた草食子供のハラワタをえぐりだす。 そして、それをおいしそうに食らう。 血にまみれながら「おいしいなあ」とつぶやく肉食子供には、誰もが戦慄を憶える。 まさに弱肉強食。 教育ママなら、これを見てこう思った事だろう。 子供は強く育てなくては。 そうだ、明日からは、「強い子のミロ」を飲ませることにするザマス……。 あと、「カルボーン」でカルシウムを補給しなくてはいけないザーマスねえ。 農協の団体さんも度肝を抜かれ、目の前で繰り広げられる惨劇に、ゲーゲーとゲロを吐 いた。 「まったく恐るべき子供の世界だべ……!」 「……おら、思うんだが、どうもこれは倫理的にマズいんでねーかな?」 「ううむ、むつかしい事はわからんでよお。」 「んだべ、わからん。誰かに相談してみねばな」 「そうだな、子供電話相談室で相談してみるべよ」 何日かして子供電話相談室に一本の電話が入った。 「もしもし。実は「子供パーク」の倫理についてなんですがね。」 「……本当にそんな児童虐待が行われているんですか?」 「そんだって!本当にすごいんだ」 「これは大問題ですよ……。我々が実態を調査してみます。」 その後、「子供パーク」は議論の的になり、ついに封鎖されることになった。 裁判の結果、S氏がギロチンで処刑された事も付け加えておこう。 END
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