空中分解2 #1432の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
演技派 俺はタクシ−を止め、裕子を車に押魴込んだ。運転手はすこし不機嫌そうな顔を している。早く、行先をいえとばかりに。 「で、裕子さんのお住いは?」 まだ、裕子に聞いていなかった。俺は裕子に合わせるつもりだった。たとえ、埼玉 だろうが、千葉だろうが送って行くつもりだった。 「あの、深川なんですけど...。」 すこし恥ずかしいそうな感じでそう呟く。俺は「深川」という地名は知っていたが、 実際、どこいらが「深川」なのか皆目見当もつかなかった。 運転手に「深川」と、行先を告げた。運転手は返事もしなかった。感じの悪い奴だ った。車は急発進し、夜の沈黙をひきさいた。 「あ、ここでけっこうです。」 と裕子。えてして、女は自分の家の前に車を着けない。そのくらいは知っている。 「あ、そう。じゃ電話するよ。気をつけてね。」 「おやすみなさい」 と、裕子、手を振っている。俺も手を振る。 「運転手さん、悪いけどここで降りるよ。」 と、裕子が降りた所から、2、300メ−トル離れた所で、俺は車を降りた。 このまま別れたら、もう2度と裕子に会えないかもしれない。(女が本当の電話番号 を教えてくてたかどうか....。けっこう、デタラメな番号をいう女がいる。) 俺はあるプログラムを実行することにした。思いつきだが、急に腹が痛くなったから、トイレを貸してくれと頼む。まさか、ことわれないだろう。もし、ことわられたら、 俺はあきらめるつもりだ。トイレを借りることを口実に彼女の家に闖入する。まぁ、後 はいつもの通り成行きまかせで、きめる覚悟だ。(実際、2人前の生カキを食べたせい か、少し腹が痛い。) 俺は車から降り、すぐに彼女の降りた所へと、走った。裕子はすぐに見つけることが できた。 「裕子さん、裕子さん。」 裕子、「びっく」としたような感じで、俺の方を振り帰る。びっくりしたような顔 をしている。 「風さん...。」 気がどうてんしてか、言葉が出てこないみたいだ。 すかさず、俺は迫真のジェスチャ−を交え、腹が痛いので、トイレを貸してくれと、 うっすらと涙さえ浮かべて彼女に哀願した。俺の演技に圧倒されたのか、彼女はなにも 言えなかった。(心のなかで、俺はVサインを出した。あと、1歩だな) 腹に手をやり、よろよろと彼女について行くと、3F建てのマンションともアパ−ト とも区別がつきがたい小さな白いビルの前で彼女は足を止めた。俺は腹の痛みを誇張す るべく、そこにしゃがみ込んだ。 「大丈夫ですか?」 と、裕子は困ったような、なんとも表現できない複雑な顔をしている。今日、始めて 出逢った男を自分の部屋へ−−、どうやって追い返そうかときっと思案しているのだと 俺は思った。(「今日は君の部屋に留まっていくの」と、俺は独り呟いた。)
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