空中分解2 #1422の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
<グッ・・誰だ、私の可愛い僕を殺したのは・・・・> 暗闇の中で、一人の女が宙に静止しながら苦悶の表情を浮かべている。 <この力・・・聖なる力を感じる・・・・誰だ!> 突然女の目の前が歪んだかと思うと、外界の姿を映し出す。そこには 人が二人映し出されている。一人はラークであり、もう一人は少女であ った。 <あの男か・・・・むっ側にいるあの娘は!> 女はクックックと、喉を鳴らすように笑い出した。 <そうか、遂に見付けたぞ・・ふふっ、これで私も完全になる・・> 陰りを帯びた顔に妖しい笑みを浮かべ、女は闇に紛れていた者達に命 令を下した。 <私の可愛い僕達よ・・・・あやつらを・・・・殺せ!!> 泉に戻って来ると、馬が心配そうな顔をして近付いて来る。大きな顔 を近付け、顔を擦り付けくるのだ。 「待たせたね」 俺は銀のたてがみを撫でてやると、少女を木陰に寝かせる。 馬は少女に顔を近付け、不思議そうに首を傾げる。 「この子かい?ちょっと怪我をしていてね、手当をしてやろうと思っ てさ」 ラークは括り付けてある荷物から、薬草と布切れを取り出すと少女の 手当にかかった。もっとも手当といっても、たいした事をする訳ではな い。薬草を擦り潰し傷口に当てて、布で縛るだけの簡素なものである。 それに浅い傷であるので、これくらいの手当で十分なのである。後は 少女の回復力に任せればいい。 「んっんん」 少女が静かに瞼を開ける。 「おっ!起きたかい?」 ラークは少女の顔を覗きこむ。 「キャアア!!!!」 少女は驚き、顔には脅えた表情を浮かべながら悲鳴をあげ、後退って いく。 (なんかこの子、勘違いをしているのではないだろうか・・) ふと、ラークは心配になった。感謝されるのならわかるが、悲鳴をあ げられる覚えはないからだ。 「おいおい、助けてあげたのにそれはないだろう?」 ラークは、わざとおどけて見せる。 「あなたは、私を追ってきた人の仲間じゃないの?」 少女は脅えた声で尋ねかえす。 「あぁそうだ。あいつは、もういないから心配することはないよ」 「そう・・・」 少女はそう言うと、黙り込んでしまった。 「まだ名前を聞いてなかったね。俺の名前はラーク、君の名前は?」 「・・・・・」 「何故、あいつに追われていたんだい?」 「・・・・・」 「ふぅ・・・やれやれ」 ラークは溜息を漏らす。 「わからないの・・・」 少女が一言ポツリと話す。 「私の名前も・・・何故追われていたのかも・・・私自身の事さえ も・・・・わからないの」 目には、涙をいっぱい溜めている。きっと瞬き一つで溢れ落ちてく るだろう。 (俺はこの手のやつには弱いんだよなぁ) 「そいつぁ困ったなぁ、なんにも思い出せないのかい?」 少女は無言で首を縦に振る。もう既に大粒の涙が少女の頬を伝っ ていた。 「まぁ、なるようになるさ!」 言って直ぐに後悔した。 (何言ってんだ俺は。それは、俺の考え方じゃね〜か) 右手で頭をポリポリとかきながら、引きつった笑顔を少女に返し た。 (ここで泣かれたら手が付けられん) そう思うとラークの背筋は寒くなる。 「そうね・・・なるようにしかならないのかもしれないわね」 意外な応えが返ってきて、安堵する。 「そうそう。これから少しずつ思い出していきばいいんだしさ・・ ・・ん?」 サササッ、何かの気配がする。 (ふん、懲りずにまた来やがったか・・) ラークは剣を掴み構える。 「どうしたの?」 心配そうな表情を浮かべて、少女はラークに尋ねる。 「どうやら、ゆっくり話しも出来なくなったようだぜ」 前方から、4体の泥人形が浮かび上がる。手に剣を持ち、ゆっくり こちらに近付いて来る。 「いいかい、俺があいつらを引き止める。その間に君は出来るだけ 遠くに逃げろ」 「でも、それではあなたが・・」 「いいから早く逃げろ!」 ラークは言い放つ。 少女は「はい」と応え、ラークとは逆方向に走り出した。 ラークは振り向き、少女が逃げるのを確認すると、切り掛かってい く。しかし泥人形達は攻撃を受ける事なく、ラークの頭上を飛び越え ると、少女の逃げる方向へと全速力で走ってゆく。 「しまった!!」 ラークが振り帰ると、少女が泥人形の剣によって切られる瞬間であ った。 「きゃあぁぁぁぁ」 悲鳴をあげて少女は倒れた。 「なっ・・・・・きさまらぁぁぁぁ!!」 ラークは走り出す。しかし泥人形達はラークの姿を確認すると、少 女を抱えて、いつの間に出来たのか空間の歪みの中へ逃げ込んでゆく。 「にがさねぇ!!」 ラークは走り込み、徐々に小さくなってゆく空間の歪みの中へ飛び 込んでいった。 谷底へ落ちていく感覚に、ラークは襲われていた。 それとも暗い、漆黒の闇の底に落ちていくとでも言えばいいのか。 <私の聖域に入り込んでくるとは・・・・貴様何者だ> 女の底冷えのするような声が、暗闇に響きわたる。 <この娘に関わらなければ、死なずにすんだものを・・> 女の側には、少女が横たわってピクリとも動かない。 「おまえが、泥人形を操っていたのか」 <僕達よ・・その者を殺せ・・> ラークの問いには応えず、女は泥人形に命令する。 「くっ!」 流石にラークも、4体同時の攻撃には苦戦をしいられる。 いたる所から攻撃を受け、時を追うごとに傷が増えていく。 「おまえは一体・・・なぜあの子を殺した!」 泥人形の攻撃を受けながら、ラークは叫んだ。 <この娘は、私の心の中に閉じ込めてあった人としての優しさが少 女の姿となったもの・・・この娘を殺すことにより、私の人としての 迷いが消える。そして私と僕達だけが、ここで新しい世界と時間(トキ) を創るのだ> 女の高笑いが、こだまする。 (たったそれだけの事で・・) 「たったそれだけの事で、この子を殺したのか!」 怒りが頂点に達っしていた。 「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 突然ラークを中心として爆風が起き、爆風を受けた泥人形達は崩れ 砂となり宙に舞っていく。 <いったい何が起こったのだ・・・> 崩れ落ちていく泥人形を見つめ、女は信じられないという顔つきを している。 <・・・・貴様は、もしや・・・・> 爆風の中には、黄金の翼を身にまとい憤怒の表情を浮かべたラー クの姿が映し出されていた。 「ゆるせねぇ、絶対に!」 翼を拡げ羽撃き、ラークは光の矢と化す。そして次の瞬間には、 ラークの剣が女の腹部を刺し貫いていた。 <ぐぅぅぅぅぅぅ貴様はいったい・・・そうか・・やはり、おま えは・・> 悲痛な声をあげ、女はラークを睨みつける。 「消えろ!」 <ギヤァァァァァァ> 絶叫と共に女は吹き飛んでゆく。 そして───────────── 今日も強い太陽の陽射しが、荒野に降り注いでいた。 「今日も暑いな」 手で汗を拭いつつ、馬上の少女をラークは見つめる。 「さぁ行こうか」 「えぇ!あなたと共に、どこまででも」 少女はコクンと頷き、微笑んでみせる。 ラークは馬の手綱を引き、歩き始める。 遥か彼方を目指して──── <おわり>
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