空中分解2 #1349の修正
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雨が静かに降り続いている。辺りはそのために霞んでいる。対岸に佇む老婆がこちらを凝視していた。私はそれに気付かぬふりをして、その河に沿って河原を歩いていく。しゃがみ込んで雨に濡れた石を拾った。丸くてすべすべした小石、それを私は澱んだ河面に投げ込んだ。それは小さく波紋を広げて沈んでいった。何の音も立てなかった。私はそれを不快に思った。河原には沢山の塔が積まれている。気の遠くなるような時間をかけて、小石を一つ一つ積み上げ、作られた供養塔。幾千も、幾万も、見渡す限り散在している。私はそれを片っ端から壊して歩いた。足で蹴飛ばし、拾った棒で突き崩す。その間、ずっと老婆の視線を頬に感じていた。どれくらい過ぎたろうか、気が付くと橋のたもとまで来ていた。それはこの河に架かった唯一の橋。とても古くからある木造の橋。これまでずっと此処にあって、これからもずっと此処に架かっているのだろう。私は向こう岸に渡りたくなかった。私は何時迄も此方側に居たかった。だが、何百年も、何千年も、雨に濡れて河原に佇む自分。やはり、それも厭だった。小石を積み続ける子供達に囲まれてうずくまり、雨に打たれ続ける。ああ、決して歳をとらず此処から何処へも行けない哀しい子供たちよ。私は顔を上げた。ポケットの中で硬貨を握り締める。雨が降り続いている。ぼんやりと霞む向かい岸の老婆が笑ったような気がした。渡っていく橋の上から、脱衣爺がゆっくり身を起こすのが見えた。 終
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