空中分解2 #1319の修正
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南方に行っていた息子が復員してきた。長い間待っていた一人息子だ。 「ただいま」 玄関に立つ男は、昨日もその前もこうして帰ってましたよ、というように自然だった。 微笑しているその目は、そうそう確かに息子だ。 「おかえり」 母はそう言って出迎える。ほーら、やっぱり帰ってきたじゃないか。 「もうすぐ、晩ご飯だからね」 息子は茶の間に入っていく。 六畳の茶の間はすでにいっぱいだった。 みんなテーブルのまわりにぐるりと座って、テレビを見たりしている。 その内何人かは、入ってきた男に気付き、軽くあいさつする。 「やあ」 「ただいま」 その男達の顔は全く似ていない。その数は、日に日に増えていく。 息子は毎日帰ってくる。 母はそのたびに我が子を、優しく迎えていく。そりゃそうだ、長い間その帰りを待ちわびた息子だもの。 彼女の息子の遺骨はジャングルの奥深くで朽ちていく。 茶の間の息子は、いつまでも増え続けていく。 「おかえり、もうどこへも行くんじゃないよ」 母は穏やかな微笑を浮かべている。 終
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