空中分解2 #1208の修正
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第二章 傷ついた小鳥 1 それから一週間後、亜紀子は精一杯の笑顔で二人に言った。 「あたしね、ふられちゃったの」 「ん?そうだったの?」 「松永君たら、ひどいの。あたしに返事もくれないの」 「・・・・」 「ね・・ひどいでしょ・・・、知美、麻子」 二人は、亜紀子の目から流れ落ちる涙を見て、どうすることもできなかった。 次の日、二人は夜の町に遊びにいくことにした。 とは言っても、ただ、麻子が古い友達のパーティに誘われたので、一緒に行くことにしたのだ。 パーティ会場はディスコだった。 亜紀子は、そんなところ行ったこともないので、精一杯派手な服を着て行ったのだが、それでも会場に行ってみると地味な方だった。 「この子は亜紀子、で、こっちが知美」 麻子が二人を紹介している。 回りを見ると、みんな二十歳くらいの人ばかりだ。 そして、麻子はすぐ踊りに行った。 「あたしたち、ちょっとこの雰囲気には乗れないね」 知美が言う。 「そうよね、やっぱり大人の雰囲気ってやつじゃない?」 そう話しているとき、二人の男の人が二人のとなりに座って言った。 「ねえ、君達、もっと飲みなよ」 「いえ、私たち、まだ・・」 「未成年だって言うんでしょ、わかってるよ。大丈夫だって。少しくらい飲めるんでしょ」 そういって、カクテルを二人の前に出した。 「カンパーイ・・」 いままで飲んだことのないカクテルは、亜紀子の体をしびれるように熱くさせた。 「亜紀子、あなたも踊らない?」 頬を上気させた知美が、亜紀子を誘う。 「うーん、やめとく。あたし、ここにいるから、踊ってきていいよ」 「ったく、亜紀子は。じゃ、気が乗ったらおいでね」 そういって、知美は、二人の男をつれてホールにいった。 時間がたつにつれて亜紀子は何かさびしくなってきた。 「あーあ、一緒に行けばよかったかな・・・」 ふと横を見ると、横の男と目があった。 その男は背が高く、ピンクのシャツを着て金のネックレスをかけている。 いかにも、ここに似合いそうな男だ。 そう、亜紀子が考えていると、その男が亜紀子のとなりに座った。 「あの二人に、おいてきぼりか・・・」 「あの二人が帰ってくるまでのもうぜ」 「・・・」 「カクテルか・・・。俺がおごるから、ウイスキーにしよう」 「あの・・・、あたしもうお酒は・・」 「いいから」 そういうと、男は、ウイスキーの水割りを二つ頼んだ。 しばらくして、ウイスキーの水割りがきた。 「さあ、飲もうぜ」 初めて飲むウイスキーは苦くて、喉にしみた。 「ウイスキーも飲めないのか・・・」 そう笑う男にばかにされたくなくて、亜紀子は無理にウイスキーを喉に流し込んだ。 「俺は、浅野宏。大学2年だ」 「私は・・・」 「上村亜紀子だろ?さっき聞いていたよ」 「はい」 「こんなところお嬢ちゃんのくるところじゃないぜ」 「・・・」 「ま、いいさ。あれ、もう飲まないのかい」 そう男にせかされて、もう何杯飲んだだろうか。 そんな亜紀子を見て、浅野が言った。 「踊ろう」 「いえ・・・」 浅野は、そういう亜紀子を無理につれていった。 亜紀子は、かなりのアルコールのせいで、抵抗できなかった。 もう、そこからはよく覚えていない。 何曲踊っただろう。 チークも踊ったような気がする。 2 気がつくと、亜紀子は車のシートに乗っていた。 運転しているのは浅野だった。 「あの・・・。おろして下さい」 そういっても、浅野はニヤニヤ笑うだけで、車を止めようともしなかった。 「浅野さん。帰ります」 そういったとき、車は止まった。 けばけばしいネオンの前だった。 身の危険を感じた亜紀子は逃げようとした。 しかし、酔っているのか力が入らない。 そんな亜紀子の手をひいて、浅野はそのまま、その建物の中に入っていった。 気がつくと、亜紀子はベッドに寝かされていた。 「お目覚めかい。お嬢ちゃん」 笑いながら、上半身裸の浅野が言った。 亜紀子は逃げようとしたが力が入らなかった。 そして、そんな亜紀子をニヤニヤ見ながら、浅野は亜紀子のボタンをはずし始めた。 「やめて・・・下さい」 そして、浅野が亜紀子のブラジャーに手をかけたとき、亜紀子は渾身の力をふりしぼって浅野の急所を蹴った。 「ううっ・・、この・・」 そして、亜紀子は逃げた。 気分が悪くて今にも吐きそうだった。 バッグを置いてきたのにもかまわず走った。 ドン! 角を曲がったとき、亜紀子は何かにぶつかった。 そして、そのまま、気を失った。 3 気がつくと、亜紀子は公園のベンチに寝かされていた。 「あ、気がつきましたか。よかった」 「あなたは・・・?」 「あ、僕は通りすがりの学生です。いやー、びっくりしましたよ。突然、ぶつかってきて、倒れちゃってそのまま動かないんですからね。それにみたら、服は乱れてるし・・」 それを聞いて亜紀子はあせって服を見たが、ボタンはきちんと止められていた。 「あ、動かないほうがいいですよ。飲み過ぎたんでしょ。今、何か飲みものでも買ってきますから」 そういえば、吐き気は止まっていたが、喉が灼けるように乾いていた。 ベンチから起きあがってみると、頭の中心がズキッと鈍く痛んだ。 「はい。これでいいでしょ」 と、その男の子は缶ジュースを差し出した。 亜紀子はそのジュースを味わいもせずに飲み干すと、この男の子に迷惑をかけたことを思い出した。 「ごめんなさい。いろいろ、ご迷惑を・・・」 「あ、いいんですよ。気にしないで下さい」 「あの、あたしは上村亜紀子。あなたは?」 「神谷淳、と言います。今高校2年です」 「あたしと同じなのね」 「え?そうなんですか」 「はい・・・」 「それで、さっきはあんなに走ってどうしたんですか」 淳は亜紀子の顔色が変わったのを見て、この話題がまずかったのを知った。 「あ・・、それで、家はどこなんですか?」 亜紀子は話をそらしてくれたのでほっとして、家の住所を言った。 「えーっ?そこなら、歩いて帰れる距離じゃありませんよ」 亜紀子は、バッグをホテルに置いてきたことを思い出した。 「・・・・・」 「タクシー呼びましょう。タクシー代は僕がもちますから・・・」 「・・・、ごめんなさい。必ず返しますから」 そう言って淳から住所を聞いて、亜紀子はタクシーで帰った。 親には、盛り上がった、と言うことで何とかごまかした。
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