空中分解2 #1192の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「我が社は長い事日本の企業を研究し、なぜ日本企業があんなに強いの かを、あらゆる面から分析してきた。そしてその分析の結果、現在のよ うな研修システムとなった。この研修は関係者にも好評で、カミカゼ気 質の育成に大変役だっている。」 …会社のパンフレットより抜粋 「貴様らよくこの研修所に来てくれたな。貴様らは今日から、「株式会 社カミカゼ」の社員だ。貴様らのような社会のクズが我が社に来れると は、まあ言ってみれば奇跡である。 今日からは徹底的に、ビシビシ鍛えるのでそのつもりで。まあ腕の1本 や足の1本はなくす覚悟をしてもらいたい、ウム。保険が効くので安心 して骨折するようにな、ワハハ。」 研修日の第1日目は、ミスター・ジョーンズのこんな挨拶で始まった。 私は、どうも嫌な予感がしていたのだ。 入社以前は、「待遇も良いから是非来てね」とか、「この会社なら安泰 ですよ」なんて言っていたミスター・ジョーンズ。 研修旅行に来たとたん、この挨拶だ! (こ…これは、とんでもないところに来てしまった……!!) 私はそう思った。 私の隣に座っている女性の新入社員も、緊張した顔つきでこのスピーチ を聞いていた。 「これはマズイぞ!」 その場にいた誰もがそう思っているようだった。 「では、さっそく特訓を開始するが、その前にまずは遺書を書いてもら う。今紙を配るから。ハイこれだ。これにサインするだけで良いのだ。 よし…。みんな書いたな? その紙に私は自分の名前を書いた。でかく「遺書」と書いてあるのが印 象的だった。 「私、イヤです!」 隣に座っていた女性がサインを拒んだ。私もいやだったので、心の中で 彼女に声援を送った。 「ホホオ、イヤだっていうのか、このアマ」 「は…はい、こんな、遺書なんてイヤです」 「ヘエヘエ、遺書なんてイヤです…だあ?てめえよくそんな事が言えた もんだな、この口でよおお」 「イ、イヤ、ヤメテエー!!グガガガア!!」 ミスター・ジョーンズは力まかせにその女性の口を引き裂いた。 彼女の口は耳元まで裂けて、赤い鮮血がほとばしった。私のYシャツに もその血が飛んできて、思わず失神しそうになった。昔から血を見るの は大の苦手だったのだ。 「ギャー!」 「わめくな!いま声出したやつ!ちょっとここへ」 「イイ、いやだ!」 「そうか…残念だが死んでもらう」 ジョーンズは懐から拳銃を取りだし、何のためらいもなく発砲した。 バキューン!と言う銃声が私の耳元で起こったため、しばらく耳がキー ンとした。 「ウッ」 拳銃は命中し、悲鳴をあげた男はバッタリと倒れた。 会場は、水を打ったように静まりかえった。口を裂かれた女性と撃たれ た男性は、そのままどこかに連れて行かれた。 「ええー、いま死んだ社員は始めからここにはいなかった。いいな?そ うだな?私も証拠隠滅に努力するから、君達も見なかった事にするのだ。 わかったな!」 「ハ、ハイ」 「声が小さい!」 「ハイ!」 私を含めた誰もが、こんな会社今すぐやめてやる、と思っていたことだ ろう。 「さあ、みんなサインを書いたようだな。では、まず毒ガスに耐える特 訓から始める。みんなそこでジッとしてるように」 「ナ、ナニー!?待てコラ!」 ミスター・ジョーンズは部屋から飛び出して、すぐに鍵をかけた。 パニックになった。 新入社員はみな席から立ち上がり、入口に殺到した。中には血だらけに なりながらもドアを叩く者もいた。 「開けろ、開けろお!出せえ!」 「開けろ!オイ、早く開けろ!」 ドンドンとドアを叩いても全然反応は無かった。そのうち、天井から毒 ガスがシュウシュウと出てきた。 「ヒ…ヒイイイ!」 「キャアアー!」 みな狂わんばかりにドアを開けようと必死だったが、ドアはびくともし なかった。毒ガスはどんどん部屋に入ってきて、みなバタバタと倒れて 行った。新入社員は、阿鼻叫喚の地獄絵図を見た。彼らは一人、二人と アワを吹いて倒れて行き、ついにその部屋で動く者はいなくなってしま った。私も呼吸困難のため気分が悪くなり、その場にしゃがみこんだ。 いよいよ肺が苦しくなって血を何回か吐いた時、ミスター・ジョーンズ がゆっくりと部屋の中に入って来た。 「生存者いるか!?」 ジョーンズは床に倒れている人間を一人一人調べて、まだ息のある者を 探した。 「なんだなんだ!ふがいない!おまえも死んでるのか!なにが体育会だ、 バカバカしい。全然体力が無いじゃないか。おおっ、おまえは生きてる じゃないか。さすがZ大学、ホネがある。なんだなんだ!女は全滅か! まったくふがいない!」 私は意識がモウロウとしていたが、何とか生きていた。かなり血を吐い たがそれでも何とか生きていたのだ。その時、本当に生きていて良かっ たなあと思った。 「ムウ?貴様も生きていたか。早く立て、いつまでも寝てんじゃない」 「グググ…」 私は無理やり立たされた。 一人では立てなかったので、誰かの肩をかりた。 「近ごろの若者は、だらしない!半分になっちまうとはどういう事だ、 まだまだ特訓は続くと言うのに!死んだ者良く聞け、おまえらはだらし が無いぞ!罰として火あぶり。」 私はそんなミスター・ジョーンズの言葉を聞くうちに、本当に気分が悪 くなり気を失った。その後の事はまったく記憶にない。だが、どうにか 生き延びる事が出来た。残念ながら、目が覚めた時には手も足ももぎと られていてすでに無かったが、それでも命があるだけ良かった。 こんな風に考えるのは、私が弱い人間だからかも知れない。 私の同僚の何人かは、いつでも命を捨てていいと言うスピリッツを持つ までになった。 彼はカミカゼ・スピリッツを得たのである。 今、彼は専ら「ビル飛び降り」を専門にやっている。もちろん地面にマ ットなんてない、コンクリートの地面に飛び降りるのだ。たいした度胸 だ。確かに立派な仕事だが、私にはそんな恐ろしい真似は出来ない。 そんな自分の性格が原因で、私は会社を辞めた。最後に、私の少ない社 会経験からこのことだけは忠告しておこう。 会社は慎重に選ぶように。 END
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