空中分解2 #1134の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
飛ぶ人間シリーズ 4 NASAでは日夜宇宙飛行士たちが宇宙への旅に備えて、血のにじむ ような特訓をしていた。今日も宇宙飛行士たちは厳しい特訓をしている のだ。 アメリカ人のグレアム氏も、そんな厳しい特訓に耐えている一人である。 本名グレアム・オルドリン。カリフォルニア出身の、陽気なごく普通の アメリカ人だ。 妻ジェシカと3歳になる娘がいて、今年の2月にもう一人誕生する予定 だ。 趣味はアメフト観戦で、スーパーボウルが近付くと夜も眠れなくなる。 今年、オルドリンは宇宙へ行くのだ。そのために彼は地獄の特訓をして いる最中だった。 「ハアハア、もう駄目だ!!少し休ませてくれ…。」 「だれてるぞ、オルドリン!この程度で悲鳴をあげてるなんて、どうし たんだ」 相棒のアダムスキーが怒鳴った。だが、オルドリンはもう我慢出来なか った。 爪の間に針を刺す特訓は、非常に厳しい。オルドリンはこの特訓が大の 苦手であった。せいぜいマチ針ならなんとか我慢出来る。だが五寸クギ は本当につらい。オルドリンはいつも泣きそうになるのだ。だが、宇宙 に行くのだから仕方がない。それに、もっと苦しい特訓があるのだから これだけで音をあげるのでは宇宙飛行士失格であった。 例えば、爪をはがす特訓などはこんなものではない。そしてはがしたと ころに塩をすりこむ特訓も非常につらかった。針にしたってまだマチ針 だから、そんなに苦しい段階ではないのだ。それに針はサビていないの だから破傷風の心配もなく、そのへんはオルドリンの心を落ち着かせた。 かつてのNASAではサビた針を特訓用に使っていたものだが、最近で は新素材の針なので安全なのだ。さすがNASAの技術だけある。 オルドリンは、電気イスから立ち上がって言った。 「どうも胃腸の調子がすぐれないんだ。」 「どんな感じだ、痛いのか?」 「いや、痛いと言う事はないんだが…。」 「気をつけてくれよな。宇宙に行く大事な体なんだから。今日は電気イ スは終わりにしよう。ゆっくり休んで、健康になってくれよ。」 アダムスキーはウインクした。話せるやつだ。 「ありがとう、アダムスキー。腹が治ったら五寸クギにレベルアップし てもいいぜ」 「オーケー、オーケー。今日のところはゆっくり休め。おだいじに、な。 」 その日、オルドリンは早く帰った。途中で医者に寄ったのだが、なにも 問題は無かった。 胃の手術以来、どうも腹の調子が悪い。痛むと言うわけでもないのだが、 変に落ち着かないのだ。 「本当に大丈夫?あなた…。」 妻のジェシカが心配してベッドで横になっているオルドリンに話しかけ る。 「ああ、大丈夫さ。手術はうまく行ったんだから。医者だって問題はな いと言ってくれたしね。」 「でも、あんな大手術をしたんだもの。きっとその後遺症よ…」 ジェシカの目に涙がたまって来た。 「あなた、宇宙飛行士なんてやめて!お願い!」 「何を言いだすんだ、突然」 「だっておかしいわよ!おなかの中に水素エンジンを埋め込むなんて、 異常だわ!NASAだからって人間の体をいじる権利なんて無いはずで しょ!?」 「これはぼくが望んでやってもらった事なんだ。だから、悔いはない。 」 「だって、だって…。」 「安心して、ジェシカ。きっとぼくは戻って来るから。」 二人は抱き合った。 「あなた…。絶対戻って来て…。」 オルドリンは、きっと戻って来るとジェシカに誓った。 「ぼくは、きっと帰ってくる。月の石を君と我が娘にあげるために…。 」 オルドリンの特訓はまだ続き、さらに過酷なものとなっていった。五寸 クギはなんとかクリアした。電気椅子にも三角木馬にも耐えた。チェー ンソーで首を切り落とすのにもなんとか耐えた。その様子をみた人々は みな、彼の超人的な体力に驚き、オルドリンを誉めたたえた。 発射の日は刻々と近付き、ついに打ち上げの日となった。 アダムスキーが言う。 「よく耐えたな、オルドリン!おまえみたいなタフネスは、見た事がな いぜ。」 「おせじはよしてくれ、アダムスキー。それより、軌道計算をしっかり 頼むぜ。」「まかしとけ。さて、おしゃべりはこれまでだ。オルドリン、 いいか?」 「オーケー。腹の調子は最高だ。」 「10、9、8、7、6」 発射台に立っているオルドリンは猛烈な勢いで液体水素を燃焼させて、 いまにも飛び立とうとしていた。だが、彼の心はもう宇宙に飛び立って いた。 「5、4、3、2、1、ファイヤー!!」 オルドリンの体がゆっくりと宙に浮かび、どんどん加速して行った。 彼は宇宙へ向けて飛び立った。NASA管制塔から歓声があがる。 「やったー!」 「ブラボー、オルドリン!」 遠くで見ていたギャラリーも、喜びの声をあげた。 「おめでとう、あなた…。ついに念願の宇宙に行けるのね。」 ジェシカは、宇宙へ向かう一筋の光を目で追ってつぶやいた。 だが、悲劇はその時起こった。 オルドリンの腹の具合いが急に悪くなったのだ。 「アイテテテ…」 「どうした!オルドリン」 「腹の具合いが悪い、どうも液体燃料がもれているようだ…」 「なに!?冷たいのか?腹は冷やしてはいけない!緊急ハラマキをはや く!」 「わかった、いま装着する」 爆発が起こった。一瞬の出来事であった。オルドリンの肉体は四方に飛 び散り、その姿は天空を舞う龍を連想させた。 みな、何が起こったかわからずあっけに取られた。 喜びが悲しみに変わり、悲鳴があがった。 ジェシカは、その様子を一部始終呆然と見ていた。 「あなた…」 見上げるジェシカの目に涙がたまる。 空には、宇宙へまっすぐ向かう白い煙が残るだけであった。 調査委員会によると、事故の原因はストレスによる胃酸過多で、そのた めオルドリンの胃袋に穴があき燃料がもれた、と言うことが判明した。 今後の教訓として生かされることであろう。 END (ちょっと書き直しました。)
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