空中分解2 #1123の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
○ 同・外・(夜) 春美が北室が出てくるのを待っている。そこへ小さな 女の子を連れた親子三人連れがやってくる。親子はと ても幸せそうで、手をつないで楽しく笑っている。春 美、それを羨望と悲哀が混ざった表情で見て、ため息 をつく。そこへ北室が出てきて春美を見るとその状況 に気付き、同じようにため息をつく。北室、悲しみに うなだれている春美をしばらく見ているが、やがて春 美のそばに歩み寄り、春美の肩に優しく手をかけてや る。春美、北室の方を向く。北室、春美を元気づけよ うと微笑む。二人、しばらく見つめ会っているが、や がて正面を向いて歩き出す。 ○ 白田家・外観(夜) 春美の家の前でタクシーが止まる。そこから北室が先 に降りて、先に乗った春美を降ろしてやる。 北 室「ここがお前さんの家か。いい家じゃないか」 春美、無言のまま、うつむいている。その春美の肩に 手をかけてやる。 北 室「大丈夫かい?」 春美、うなずく。 北 室「……まあ、気をしっかり持ってな」 春美、顔を上げ、北室を見つめる。 北 室「それじゃあここで……」 春 美「北室さん」 北室、きょとんとして春美を見る。 春 美「本当に申し訳ありませんでした」 北室、微笑む。 北室「もう馬鹿な真似はするなよ」 春美、うなずき、名残惜しそうにまだそこに佇んで北 室を見つめている。 北 室「さあ、もう行って」 春美、仕方なさそうにゆっくりと玄関に入っていく。 北 室「何か話したい事があったらさっき渡した名刺に住所と電話 番号が書いてある。電話なり手紙なりよこしな。いつでも 相談にのるよ」 春 美「(泣き顔と微笑みが混ざった表情)……はい」 北室、春美が中に入って行くのを見届けようとしてい る。春美、それに気付いてドアに向かう。北室、それ を見届けてからタクシーに乗り込み、タクシー、走り 去ってゆく。春美、ドアから玄関の門まで引き返し、 北室を乗せたタクシーを見えなくなるまでいつまでも 見送っている。 ○ 某高級ホテル・ロビー 前に夏枝と阿倍野が待ち合わせたホテル。夏枝が先に 来ていて腕時計をチラと見る。正面玄関から阿倍野が 花束を持ってやってくる。 夏 枝「遅かったのね」 阿倍野「…………」 夏 枝「(阿倍野の花束を見て)それにこれはポインセチアじゃな いわ。また違う花を買ってきたりして……。これはシクラ メンじゃないの。私が言ったのはポインセチア! ポイン セチアよ。……どうしたの?」 阿倍野、無表情で黙っている。 ○ 同・客室内 ダブルベッドで阿倍野と夏枝が裸のまま並んで横たわ っている。 阿倍野「いよいよ別れなきゃならなくなった」 夏 枝「…………」 阿倍野「もう終わりにしよう」 夏 枝「この前もそう言ったじゃないの」 阿倍野「今度こそはもうけじめをつけようと思う」 夏 枝「言っておくけど本当にそう決めたのなら私達、これから絶 対会っちゃいけないのよ」 阿倍野「わかってますよ」 夏 枝「本当にそうかしら? 本来なら私達もうとっくに別れてな きゃならないのよ。それなのにこうして会ってるじゃない の」 阿倍野「…………」 夏 枝「私はいいのよ。別れてあげるわ。私には主人がいるもの。 貴方だってこんなおばあちゃんといつまでも一緒にいるわ けにはいかないでしょ」 阿倍野「別にそんな事……」 夏 枝「私が恐いのはね、私が元通りの家族になった時、また貴方 が私の生活の中に入ってくる事。それが一番恐いのよ。一 度直りかけた傷がまた抉られたりしたら、もう二度と修復 不可能になるわ」 阿倍野「僕が傷をつけてるって言うんですか」 夏 枝「言葉の綾でしょ。とにかく別れるんだったら本気で別れて ほしいの。貴方がもう私に会わないんだったら私から貴方 に会いに行ったり連絡したりする事はないわ。絶対に」 阿倍野「…………」 夏 枝「はっきりして。貴方男でしょ? 私達本当に別れるの。別 れないの? 決めるのは貴方よ」 阿倍野「…………」 夏 枝「貴方が決めて。私達、どうするのか?」 ○ 北室の部屋 北室、ベッドに横たわっている。そこへ電話の呼出音 が鳴り、北室、受話器をとる。 北 室「もしもし、北室ですが」 電話の春美の声「もしもし、あの……私、白田という者ですけど… …」 北 室「春美ちゃんか?」 春美の声「はい!」 北 室「北室だ。よく電話くれたね」 春美の声「(悲しそうな声で)どうしてもお話したくなっちゃって ……」 北 室「(険しい表情)どうかしたのか?」 ○ 白田家・ダイニングキッチン 春美が受話器を握りしめて半泣きになっている。 春 美「ママがまたあの阿倍野という人に会ってるんです」 北室の声「それは確かなのか?」 春 美「ええ」 北室の声「お前さんの思い過ごしとかじゃないんだね?」 春 美「ママがまた電話で呼び出されたのを聞いたんです。間違い ありません」 北室の声「全くなんてこった……」 春 美「ママは電話を切ったら夕方から出かけて行ってまだ帰って こないんです」 北室の声「大丈夫か?」 春 美「私、もうどうしていいかわからない」 春美、泣き出す。 北室の声「気をしっかり持つんだ、春美ちゃん」 ○ 北室の部屋 北 室「(受話器に)お前さんが泣いたって始まらないだろう。と にかく落ちつきな」 春美の声「私どうすればいいの?」 北 室「お前さんはただお前さんが本当にやらなければならない事 をしてればいいのさ」 春美の声「それって学校の勉強の事?」 北 室「勉強だってなんだっていいさ。とにかくあまり思い詰める な」 春美の声「そんなの無理です」 北 室「例え今自分が苦しくてもそのエネルギーを何か他の事にぶ つける事によって報われるんだよ。……そしてお前さんの 想いがいつかお袋さんに通じてきっとわかってくれる時が 来るはずさ」 春美の声「でもママは……」 北 室「あのバーのマスターも言ってたろう……お母さんにはお母 さんの人生があるさ。厳しい言い方だけどお母さんの人生 を変えるのにお前さんがしてやれる事は何もないんだ」 春美の声「何も出来ないの?」 北 室「ああ、それは神のみぞ知る所さ」 ○ 白田家・ダイニングキッチン 春 美「神様?」 北室の声「ああ、俺はそんなもん信じちゃいないけどな……」 春美、泣きながら笑う。 北室の声「でもお前さんは信じてな。その内何とかなる筈だよ」 春 美「……本当にそうかしら?」 ○ 北室の部屋 北 室「大丈夫。何とかなる。何とか……」
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