空中分解2 #1120の修正
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★内容(1行全角40字未満、500行まで)
○ ジャズクラブ・ソールトレイン(夕方) カウンターで川原と北室が話している。 川 原「それでその阿倍野って奴が前のその年上の恋人と会ってた ってわけかい」 北 室「あの野郎、きっぱり別れたって言ったのに……」 川 原「とどのつまりは前の女が恋しくなったってことかな。(北 室を上目使いで見て)まあそういうのはよくある事さ」 北室、バーボンに集中している。 川 原「でもそれってあんたにとってはチャンスじゃないかい?」 北室、答えない。 川 原「真知子さんとよりを戻すチャンスなんじゃないのかい?」 北 室「……」 川 原「だってそうだろう。前の恋人と会ってるって事を真知子さ んに言ってやればさ、真知子さんと阿倍野は喧嘩して別れ る。そうしたらお前さんが真知子さんとまた結ばれるって わけさ」 北 室「……」 川 原「……おーい」 北 室「……」 川 原「聞いてるかい!」 北 室「ん? 何だい?」 川 原「……それでお前さん、どうするんだい?」 北 室「このままほっとく訳にもいかないしな」 川 原「ほっとく訳にもいかないってどうするの?」 北 室「直接本人に言うさ。それが一番手っとり早い。それにもう 現に当の本人にここで会う約束をしているんだ。何もかも 話してやる」 川 原「ここに来る? 直接本人が? それで何もかもバラすつも りなのかい?」 北 室「ああ」 川 原「それはいくら何でもまずいんじゃないかい」 北 室「どうして? 当の本人の一番の問題だろう?」 川 原「そんな……いくら私がさっき言ったからって……」 北 室「真知子の為にも仕方がない」 川 原「何もわざわざ事を荒立てなくてもいいじゃないか」 北 室「事を荒立てようなんて思っちゃいないさ。ただ忠告をして やるだけさ」 川 原「お前さんの口からかい?」 北 室「(不思議そうに)そうだよ。他に誰が言うっていうの?」 川 原「あんたが言ってしまったら喧嘩になるに決まってるじゃな いか」 北 室「喧嘩なんかする筈ないだろう。理性ある大人同志だ」 川 原「わたしゃあね、お前さんの気持ちはそりゃあわかるよ。た だやり方がまずくないかって言ってるんだ」 北 室「何故だい?」 川 原「もしこの事を真知子さんに話してやればそりゃあ、阿倍野 君と真知子さんの仲はまずくなるさ。でもだからといって お前さんとよりを戻せるとは限らないだろう。それにかえ って……」 北 室「(不思議そうに)一体何わけがわからないを言ってるんだ い?」 川 原「だから! かえって真知子さんがお前さんの事を軽蔑しや しないかっていってるんだよ。そんな告げ口みたいな真似 をして……」 北 室「何か勘違いしてるんじゃないのかい? おっ、来た来た。」 川 原「えっ?」 川原、入り口を見ると阿倍野がやって来る。 川 原「あー、当の本人て野郎の方か」 阿倍野、北室の隣に座る。 阿倍野「どうしたんだ。急に呼び出して」 北 室「阿倍野、俺は前に言ったよな。真知子と付き合っていくん だったらその前に付き合ってた女とは手を切れってな……」 阿倍野「(動揺する)ああ、それがどうした」 北 室「実はな……俺は偶然見たんだ。お前が前の恋人とホテルで 会ってる所をな……」 阿倍野、顔がひきつる。重苦しい沈黙。 阿倍野「……わかったよ。お前の言いたい事よくはわかった。で、 お前はどうするつもりなんだ?」 北 室「俺は別にどうもしない。ただもう一度前の女と別れるよう に忠告するだけさ」 川原、安心した表情。 阿倍野「……この事は真知子さんには言ったのか?」 北 室「まだだ」 阿倍野「言うつもりなのか?」 北 室「お前さんがこれ以上真知子を裏切るようならね」 阿倍野「…………」 北 室「お前は真面目な男だ。まさか始めから二股かけるつもりで 真知子と付き合っていこうなんて思ってるわけじゃないだ ろう?」 阿倍野「それは……違うよ、もちろん」 北 室「にもかかわらず二股かけるって事は真知子の事も本気で愛 してないって事だよな」 阿倍野「それは違うよ」 北 室「何が違う?」 阿倍野「本気で愛してないのは俺の方じゃない。彼女の方だ」 北 室「……責任転化するつもりか?」 阿倍野「そうじゃない」 北 室「そうしてるじゃないか」 阿倍野「(じれったそうに)わからないのか?」 北 室「何が?」 阿倍野「(腹立たしく)彼女はまだお前に未練があるって事だよ」 重苦しい沈黙。 北 室「彼女がそう言ったのか?」 阿倍野「口に出しては言わないさ」 北 室「当て推量を理由に昔の女とまだ付き合い続けるつもりなの か」 阿倍野「お前が別れろっていうんなら別れてやるさ。でももし彼女 の心がやはりお前にあって、お前がそれを利用するような 事をしてみろ。ただじゃ済まさないぞ」 阿倍野、席を立って出ていく。阿倍野を見送ってから 川原、クスクス笑っている。 北 室「(怒って)何がおかしいんだよ」 川 原「いや、なにね。世の中いろいろ偶然てのはあるんだなあと 思ってね」 北 室「何の事だよ」 川 原「お前さんが阿倍野君の密会の現場をよく偶然に見る事が出 来たなあってことだよ」 北室、何か反論しようとして、口を開きかけるが、す ぐに悔しそうな表情でムスッとしてしまう。 ○ 路上(昼) 阿倍野、帰社の途中。防寒の為の白いコートを着てい る。その遥か後ろからセーラー服姿の白田春美が後を 尾行している。 ○ 今内商事近くの路上 春美、まだ阿倍野の後ろを尾けてきている。やがて阿 倍野、会社のビルに入る。そして春美も一緒に入るが その中で見失ってしまう。そして中を探すが見つから ない。 受付嬢「何か御用ですか?」 受付嬢の言葉にびっくりし、春美、首を振って出てい く。そしてビルから少し離れた物陰から入り口を見張 る。そして学生鞄の中の一通の封書と登山用のナイフ を見る。
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