空中分解2 #1118の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
○ 走行中の自動車内 阿倍野が運転し、真知子が助手席に乗っている。阿倍 野がハンドルを切ると車、ラブホテル・『ロマンス』 のあのネオンサインの立て看板の駐車場に入る。真知 子、愕然とする。 ○ ラブホテル『ロマンス』・玄関(夜) 真知子「(ためらって)ここ?」 阿倍野「どうしたの?」 真知子、頭を抱える。 真知子「……ご免なさい。私……やっぱり」 阿倍野「今更どうして?」 真知子、涙ぐむ。阿倍野、ため息。 ○ ジャズクラブ・ソールトレイン 北室がグラスの酒を飲み干す。 北 室「あの野郎、ビンタ食らわせやがった」 川 原「(うんざりして)それはもう聞いたよ」 さらに酒を注ぐ。 ○ 同・数分後 ボトルの中の酒、さらに減っている。 北 室「マスター、ビンタを食らわせやがったんだぜ、ビンタ!」 静 子「お父さん、お先に」 静子、帰る。 北 室「ビンタだぜ、ビンタ」 ○ 同・さらに数分後 一本目のボトルが空になり、二本目のボトルも半分近 く減っている。北室はもうぐてんぐてんになってカウ ンターにうなだれている。 北 室「うーい、…………ビンタを食らわせやがった」 ○ 路上(夜) 北室が川原にビンタを食らわされている。 川 原「おい、しっかりしろ。大丈夫か?」 タクシーがドアを開けて待っている。川原、その中に 正体のなくなった北室を押し込む。 川 原「気をつけてな! 運転手さんに住所は教えといたから」 北 室「うーいっ、あんがと」 北室を乗せたタクシー、走り去っていく。 川 原「やれやれ、別れた女がもう恋しくなりやがった」 ○ 北室の部屋(翌朝) ワンルームマンション。電話の呼出音に北室、起こさ れる。北室、頭痛に耐えながら電話に出る。 北 室「(受話器に)もしもし」 川原の声「無事に帰れたみたいだな」 北 室「何とかね……。痛ーっ!」 川原の声「大丈夫かい?」 北 室「頭が割れそうだ」 川原の声「そうか。じゃあトイレに行きなさい」 北 室「(怪訝な表情)……腹の調子が悪いんじゃねえぜ」 川原の声「二日酔いで頭が痛くなるっていうのはな今のお前さんに 何か悩みごとがあって、それがお前さんにいたずらを仕掛 ける心の病気なんだ。だからまずトイレに入って、その心 の病を追い出す感じで、思い切り出せば、頭いたは直るし、 お前さんの悩みのほんのちょっぴりは解決に向かう筈さ」 北 室「(うんざりして)只の二日酔いの頭痛にそこまで言うこた あねえだろう」 川原の声「とにかく言われた通りにやってみな。それじゃあ」 北室、受話器を置く。頭を押さえながらトイレに行く。 ○ 今内商事・1Fフロア 北室、頭を押さえながら会社に出る。そして公衆電話 で話している阿倍野を見る。 北室、阿倍野に気付かれないようにしながらそっと近 づき、陰に隠れる。 阿倍野の声「……うん、そうなんだ。今日もう一度会って欲しいん だ。頼むよ。大丈夫?それじゃあ八時にいつもの所で……」 阿倍野、受話器を置いて北室に気付かず行ってしまう。 北室、阿倍野を険しい表情で見る。 ○ 同・営業三課室(夕方) 五時になって社員が帰り仕度を始めている。北室、阿 倍野がいそいそと帰るのを見る。 ○ 路上 阿倍野の後を北室が距離をおいて付けている。 ○ 電車内 満員電車の中に阿倍野と、そして少し距離を於いて北 室がいる。 ○ 路上の花屋 阿倍野、そこで花を選んでいる。 阿倍野「(花屋の娘に)何という花だったかな? ちょっとややこ しい名前で………」 花屋の娘「フリージアですか?」 阿倍野「そんな名前だったかな? じゃあ取り合えずそれでいいや。 下さい」 それを遠くから見ている北室。 北 室「花? きざな事を……」 ○ 某高級ホテル・ロビー ソファーに阿倍野が腰掛けている。それを遠くの物陰 から北室がみている。北室、ため息をつきながら、拳 で額を叩く。 北 室「(独り言)俺は馬鹿か!」 そして、再び阿倍野の方を見る。女の方はまだ来ない。 北 室「(独り言)もう真知子とは終わったんだろうが。情けない」 再び阿倍野の方を見るが女の方はまだ来ないので北室、 帰ろうとする。 阿倍野の声OFF「やあ!」 阿倍野の声に北室、振り向き、そして驚く。阿倍野の もとへやってきているのは真知子ではなく阿倍野の元 の恋人の白田夏枝である。北室、怪訝な表情で二人を 見ている。 × × × 阿倍野「久しぶりだね」 夏 枝「本当にね……」 阿倍野「はい、誕生日おめでとう! 君がほしがってた花だよ」 夏 枝「これはフリージアじゃないの。貴方また間違えたわね。私 が言ったのは、ポインセチア! ポインセチアよ」 阿倍野「ごめん、ごめん。花の名前がややこしくてさあ……」 夏 枝「(微笑みながら)……でも嬉しいわ。それじゃあ行きまし ょうか」 × × × 二人、客室のエレベーターに向かう。北室、それを呆 れ顔で見ている。そして振り返り正面玄関の方へ向か う。北室の目の前に一人の可愛い私服姿の少女が佇ん でいる。北室は最初誰だか思い出せない。 ○ 北室のイメージ 駅のプラットホームで自殺しかけた少女を救う北室。 ○ 某高級ホテルロビー 北室、その時の少女が今、目の前にいる少女・白田春 美であるという事がわかったという表情。春美は半ベ ソをかいている。北室、何を見て泣いているのかと思 い、春美の視線を辿ってみると、今にもエレベーター に乗り込まんとしている阿倍野と夏枝の二人に辿り着 く。二人がエレベーターに乗ってドアが閉まると春美、 涙を流し正面玄関へ駆け抜けて行く。それを見ている 北室。 ○ 同・客室 阿倍野と夏枝がベッドで裸で寝ている。阿倍野は煙草 を吸っている。二人、しばらく黙っている。 夏 枝「(急に)他に好きな人が出来たのね」 阿倍野、びっくりして夏枝を見る。 夏 枝「隠しててもすぐわかるわ」 阿倍野「別に隠してたわけじゃあ……」 夏 枝「ちゃんとした彼女がいるのにどうして私みたいな人と付き 合うの?」 阿倍野「……ちゃんとした彼女じゃありませんよ」 夏 枝「ちゃんとした彼女にしたいと思ってるんでしょ?」 阿倍野「…………」 夏 枝「だったら、不誠実な事は慎んで相手に誠意を見せなきゃ駄 目じゃない」 阿倍野「(険しい表情)つまり貴方と別れろって事ですか?」 夏 枝「私達、本当に潮時みたいね。今の今までずるずると付き合 ってきたけど」 阿倍野「もう少し待って下さい」 夏 枝「もう少しって後どれくらい?」 阿倍野「わかりません。はっきりは言えません。とにかくもう少し」 夏 枝「彼女の方に何か問題でもあるの?」 阿倍野、うろたえるが沈黙を守る。
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