空中分解2 #1116の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
○ ジャズクラブ・『ソールトレイン』 マスターの川原の他にその娘である川原静子(18) が店の手伝いをしている。カウンターの前には真知子 が一人でカクテルを飲んでいる。 真知子「(独り言)あいつが寂しがるわけな いじゃない!」 静 子「(川原に耳打ちして)今日は北室さん来ないの?」 川 原「何か事情があるみたいだよ」 そこへ阿倍野がドアを開けて入ってくる。 真知子「あら!」 阿倍野「やあ、どうも!」 ふたり、しばらく見つめ合う。その二人の姿を川原と 静子、キョトンとして見る。阿倍野、真知子の隣に腰 掛ける。 阿倍野「隣、いいですか」 真知子「(微笑みながら)どうぞ」 二人、並んでしばらくの間、沈黙。 阿倍野「……あの……」 川原と静子、二人の成り行きを見守っている。 ○ 今内商事・1Fフロア 阿倍野がそこに佇んでいる。そこへ北室が来る。 阿倍野「(びっくりして)北室!」 北 室「(不思議そうに)何だよ。その驚きようは」 阿倍野「どうしてお前がここにいるんだ?」 北 室「どうしてって外回りからの帰りだよ」 阿倍野「だってお前、今日から三日間名古屋 へ出張の筈じゃあ……」 北 室「(呆れて)何言ってるんだ。もうとっくに俺の代わりに他 の者が行く事に決まったじゃないか」 そこへ真知子が阿倍野の背後からやってきて北室と顔を合 わせてびっくりする。 真知子「進悟!」 北 室「真知子! どうしたんだ? 今日会うなんて聞いてなかっ たぞ」 阿倍野「いや、違うんだ。そのう……」 真知子、阿倍野のそばに来る。二人並んで立っている。 阿倍野、ばつが悪そうに頭を掻いている。 真知子「(ためらいながらもきっぱりと)私、今日は阿倍野さんと 約束があるの」 北 室「…………なるほど…………それで俺が名古屋に行ってて会 社にいないと思った日にここで待ち合わせってわけか」 阿倍野、頭を掻きながら北室に近づき、肩に手を回す。 阿倍野「ちょっときてくれ」 阿倍野、北室を廊下の角まで連れていく。 阿倍野「黙ってたのは悪かったよ」 北 室「言い分を聞こうじゃないか」 阿倍野「聞けばお前は真知子さんと別れたそうじゃないか。いや正 確に言えば別れてるそうじゃないか」 北 室「…………」 阿倍野「真知子さんは言ってたぞ。お前は昔から彼女の事を本気で 愛してたわけじゃなかったってな」 北 室「…………」 阿倍野「彼女を一人にさせておいて……可愛そうだとは思わないの か」 北 室「なるほど、それで黙って見ていられなくなったってわけか」 阿倍野「北室……」 北 室「お前さんは前に俺から彼女は盗らないって言ったよな。確 か」 阿倍野「そこの所を誤解するなよ! 俺はお前からは何も盗っちゃ いないぞ。お前は……(怒りがこもる)事もあろうに彼女 を捨てたんだぞ! そして俺は!……お前の捨てた物を拾 って自分の物にした。ただそれだけの事だ」 北 室「ほおう、……拾得物横領罪だな」 阿倍野「(ため息をつき)真面目な話だぞ」 北室の口元に笑みが走る。そして微笑みは段々と顔全 体に走っていく。そして、しだいに笑い声まで上げて いく。阿倍野、それを唖然と見ている。 北 室「本気にしたか?」 阿倍野も段々微笑みが広がっていく。 阿倍野「(苦笑して)一杯食わせやがって」 北 室「心配するな。俺はなんとも思っちゃいねえよ。お前の言っ てる事は正しいしな」 阿倍野「北室……」 北 室「ただ一つ聞いておきたい事がある」 阿倍野「何だい?」 北 室「あの女は前に俺と付き合ってた女だ。それに拘りは……」 阿倍野「(きっぱりと)ないね」 北 室「そうか。それともう一つ……」 阿倍野「ああ、」 北 室「お前さんが付き合ってる例のあの女の事だが……」 阿倍野「もうその事は気にしなくていいんだよ…………俺の方も別 れたよ。きっぱりとな」 北 室「そうか、それならいいんだ」 阿倍野「お前こそ本当にいいんだろうな。後で返せなんて泣き言を 言うなよ」 北 室「……お前さんはいい奴だよ」 二人、真知子のいる所へ戻る。 阿倍野「和解成立!」 真知子、微笑む。 北 室「(真知子に)まあ、しっかりやりな」 真知子「(ニヒルな笑い)……うん」 北 室「(阿倍野に)お前さん、思ってたより嫌な奴じゃなさそう だしな、安心したよ」 阿倍野「(微笑んで)ありがとう」 北 室「喧嘩なんかして俺に心配かけさすんじゃねえぞ。しっかり した交際をするんだ」 真知子「(笑って)まるで私のお父さんみたいな口の聞き方ね」 三人、笑う。 ○ 同・部長室 北室がドアをノックする。 北 室「北室ですが」 増田の声「入り給え」 北室、入室する。 増 田「(書類を整理しながら)何かね?」 北 室「大事な話が……」 増 田「後五分で重役会議があるんだがね」 北 室「すぐにすみます」 増 田「手短に頼むよ」 北 室「例のサンディエゴの件ですが……」 増 田「(驚いて北室を見て)うん……!」 北 室「もし私で良ければやらさせて頂きたいと思いまして」 増 田「(喜ぶ)そうか! そうか! いや良かったよ。君以外に 適任者がいないから困っとったんだ」 増田、北室の手をとる。 増 田「早速上層部にこの事を伝えなければな。君は外国生活の準 備をしてもらわにゃいかん。君の恋人は連れて行くんだろ うね?」 北 室「いえ、それが……」 増 田「ん?」 北 室「今はもうフリーの身なもんでして」 増 田「まさか今度の事が原因なんじゃ……」 北 室「いえ、それは違います。まったく個人的な事でして……」 増 田「そうか。それは残念だったな。しかし外国で一人暮らしと いうのは寂しいだろう。前田のようになりかねんかもしれ ん」 北 室「私に限りましてはそのような事はないと思います」 増 田「それはそうだとは思うが……それならどうだろう? 前に 君が断ったお見合い、あれをもう一度考えてみる気にはな らんかね?」 北 室「それはそうと部長。もうそろそろ重役会議の時間が……」 増 田「そんなもん後でもいいんだ。(机の引き出しを探し始める) 確かまだ残ってた筈だぞ。ええと……あった! あった! これだ。見給え、君。最高の美人とは思わんかね」 部長、見渡すと、もうそこには北室の姿はない。
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「空中分解2」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE