空中分解2 #1114の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
○ ジャズクラブ・『ソールトレイン』(夜) カウンターの椅子に腰掛けている真知子。 真知子「私達もう駄目かも知れないわね」 その隣の北室が険しい表情で真知子を見る。店内は暗 く、内装が凝っているモダンなカフェバー。店の奥に ピアノが一台置いてあり、女性ピアニストが緩やかな 曲を弾いている。カウンターではマスター兼バーテン の川原正二(61)が皿を洗っている。 北 室「仕事が忙しくて会えないだけだよ。愛が覚めちまったよう な言い方するなよ」 川 原「喧嘩かい?」 北 室「(笑って)最近機嫌が悪くてね」 川原、カウンターの奥に移動する。 真知子「愛が覚めたわけじゃないわ」 北 室「そうだろ?」 真知子「…………初めから愛なんてないのにそれが冷めるわけない でしょ」 北 室「(うんざりして)またその話か」 真知子「私はいつも貴方の事を想ってたわよ」 北 室「じゃあそれでいいじゃないか」 真知子「…………私は見返りが欲しいの」 北 室「……俺も君の事を想ってるよ」 真知子「……自分の心を偽って?」 北 室「(ため息)愛し合っていないカップルなんていくらでもい るさ」 真知子「貴方ってロマンチストなのにこういう事だけは最低ね」 表のドアから新しい客が入ってくる。それは阿倍野の 姿。阿倍野は自分より年上の三十代の女(白田夏枝・ 37)を連れている。阿倍野と夏枝、テーブルのシー トに腰掛けようとした時、阿倍野、カウンターの北室 と真知子を見る。 阿倍野「(夏枝に)ちょっと待ってて」 阿倍野、カウンターの方へ行く。 阿倍野「(二人に)やあ、お二人さん」 北 室「よう」 真知子「あら、昼間はどうも」 北 室「偶然だな。いつもこの店に?」 阿倍野「いや、たまたま寄っただけだ。そっちは?」 北 室「(川原の方に少し視線を送り)常連さ。会社の近くでこん な雰囲気のいい所はないからね」 阿倍野「いいカップルには打って付けの場所だな」 北室と真知子、お互い顔を見合わせる。少し白けた表 情。 北 室「一人?」 阿倍野「ん、いやあ、ちょっとね」 阿倍野、夏枝の方を見る。 真知子「もしよろしかったらお連れの方も御一緒にこちらでお飲み になりません?」 北 室「そうしよう」 阿倍野「いやあ、そうしたいけど、やっぱりお邪魔はしたくありま せんからね。向こうで飲んでますよ」 北 室「そうか……」 阿倍野「それじゃあ。(真知子の方を向き)また会社の方へでも… …」 真知子「(好意のこもった目で)ええ!」 阿倍野、真知子と離れるのが名残惜しそうに去ってゆ く。真知子、阿倍野がテーブルの夏枝の横に座るのを 見送る。 北 室「年上の女だ」 真知子「そうみたいね」 北 室「噂は本当だったな」 真知子「何の事?」 北 室「(質問には答えず)奴の事が気に入ったか?」 真知子「……まあ、少しね」 北 室「男だったら誰でもいいのか?」 真知子「ええ、少なくとも貴方よりはね!」 阿倍野、遠くから北室と真知子が争っているのを見守 っている。そして真知子に見とれている表情。夏枝、 肘で阿倍野をつつき、睨んでいる。阿倍野、夏枝の肩 に手を回し、夏枝、阿倍野の肩に寄りかかる。阿倍野、 まだ北室と真知子が争っているのを見ている。 ○ 某駅前・(真夜中) タクシーが止まり、阿倍野が車からおりる。中にいる 夏枝が話す。 夏 枝「終電は間に合う?」 阿倍野「余裕だよ。おやすみ」 タクシー、走り出す。 ○ 走行中のタクシー内 夏枝が乗っている。 ○ 白田家・外 タクシー、門の前に止まり、夏枝が降りる。夏枝の家 は一戸建ての立派な家で周りは同じような家の集まり の高級住宅街。 ○ 同・中 二階の部屋の窓から外の様子を白田夏枝の娘・春美 (駅で自殺しかけた少女)が覗いている。春美、階段 を降りて行き、玄関で夏枝を迎える。 春 美「お帰りなさい」 夏 枝「あら、まだ起きてたの」 春 美「あのね、ママ……」 夏枝の夫である白田伸夫(47)が居間から出てくる。 伸 夫「夏枝、ちょっと話がある」 夏 枝「(冷たく)ええ」 春 美「ママ、あの……」 夏 枝「(春美に)明日の朝聞くわ」 夏枝と伸夫、居間に向かう。春美、階段を途中まで上 ったところで立ち止まり、両親の話に聞き耳を立てる。 夏枝の声「離婚手続きの事?」 春美、険しい表情 ○ 同・居間 伸 夫「(冷静に)ああ、私としてはあまり気が進まないがね」 夏 枝「世間体をはばかっでしょ?」 伸 夫「(呆れて)春美の事が可愛そうなんだよ」 夏 枝「貴方は私を許さないんでしょ?」 伸 夫「しかし、まあ、……いざ離婚となるとね…そうもいかない」 夏 枝「私達もう終わりよ」 伸 夫「私はこうして償いをしてるよ。後は君があの青年と別れて くれればそれですむんだ」 夏 枝「(ヒステリックに)貴方って……、私がどうして貴方を許 さないのかその理由が全然わかってないのね」 伸 夫「わからないねえ。君の浮気を知っても私はこうして冷静に 君の言い分を聞いてるじゃないか」 夏 枝「(泣き叫ぶ)だから!……それよ!……それが原因なのよ! 私達の事を真剣に考えてないから冷静でいられるのよ!」 ○ 同・春美の部屋 春美が暗い部屋でベッドに顔を伏せて泣いている。 ○ 今内商事・営業三課室(昼) 正午の時報が鳴り、社員、欠伸などしながら机を立つ。 ○ 同・社員食堂 社員達が食事をとっている。北室は一人で食事をとっ ている。そこへ定食のおぼんを持った阿倍野がやって くる。 阿倍野「よう!」 阿倍野、北室の前に座る。 阿倍野「話があるんだけどいいかな?」
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