空中分解2 #1028の修正
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「待て、待つんだ」 「ふん、いやだね。捕まえられるものなら、捕まえてみろ」 僕の前を走るこの男は、小柄できゃしゃな割にはすばしっこい。こいつなら僕でも捕まえられるだろうとナメていたのがまずかった。少しずつではあるけれど、差が開いていく気がする。 「僕の話も聞いてくれ。君はまだまだ裏切られなければならないんだ。その方が君のためなんだ。」 息を切らせながらも僕は必死で叫んだ。彼は軽く振り向いて口の端で冷たい笑いを浮かべて言った。 「君のためだと?! 笑わせるな。うまいこと言って騙そうとしたって無駄だ。誰だって安全で確実な方がいいに決まっている」 「いや、それは間違っている。頼む。待ってくれ。考え直してくれ」 「御免だね。俺はもう傷つくのは沢山だ。じゃあな」 「おい、待て、待ってくれ」 僕は何とか彼を説得しようとしたけれど、もはやそれは無駄だろう。気のせいではなく、実際に彼と僕との差はどんどん拡がっている。おまけに彼はさらにスピードを上げたらしい。 駄目だ。もう僕の足では追いつけない。限界だ。このまま走り続けたところで、それは自分への言い訳にしか過ぎない。 僕は彼を追いかけるのを諦めた。苦しい。心臓が破裂しそうだ。頭がぼうっとして、足が棒のように堅く張っている。 僕は、どんどん遠くなって、しまいには点になってしまった彼の後ろ姿をただぼんやりと眺めていた。とうとう彼を引き留めることは出来なかったのだ。彼の姿を見ることは、おそらく二度とないだろう……。 僕は大きく深呼吸をした。彼は間違いなく、例の「夢の島」へ行く筈だ。そこには、僕が引き留め損なった人達が何万人もいるのだ。 (終)
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