空中分解2 #0728の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
1 なんとなくすることがなくて教室の窓から空を眺めていると。 空はパステルで描いたみたいなみごとなスカイブルーに輝いている。 ふわふわと、綿菓子のような雲が風に流れて行く。 どこからとも無く鳩の大群が飛んで来て、どこへとも無く飛んで行く。 そんな翼を羨ましくとも思いながら。 鳩達を、目で追って行く。 空色は希望の色「「。 誰かが言っていたけれど。 鮮やかなスカイブルーを眺めていると、なんとなく納得できるような気もした。 視線をゆっくりとグラウンドへと写すと中等部の連中がサッカーをしている。 何人もの人が小さなボールを追いかけて。 小さなグラウンドを急がしそうに駆け巡って行く。 ゆっくりと視線を動かし智広を探す。 特に背が大きい訳でもないし、目立って足が早い訳じゃないけれど。 わたしにはどこに智広がいるか、すぐにわかった。 目が自然と動き、智広の姿を認めたのだ。 まあ、生まれた時からの付合だから、わからないわけがないんだけれどもね。 幼馴染「「腐れ縁? よくわからないけれど。 今のままの微温湯のような関係が一番いいな。 とは思っているんだけどね。 なんだか心にひっかかるものはあるんだけれど。 あえて無視するように、それが何なのか考えないことにした。 ★ 寒いのが苦手なわたしは。 ポカポカとした冬らしくない陽気に少し感謝しつつも、智広と取り留めの無い会 話をしながら家路へと向かう。 「そういえば俺さ、ワープロ通信始めたんだ」 「ワープロ…通信?」 ワープロはわかるけど、通信って何だろう? そんな疑問を頭の片隅によぎらせながら、キョトンとした顔で智広を見る。 「そ、ほら、俺さあ、この間ワープロ買っただろ?、それをつかって、一種のリア ルタイム的な伝言板みたいなことをするんだ」 「ふうん、よくわかんないけど、それって面白い?」 「ああ、本当にいろんな人がいてさ、面白いよ、後で家にきたらみせてやるぞ」 「うん、わかった」 「んじゃ、後でな」 智広に手をふって別れると、歩くスピードを少しはやめる。 いくら日差しが暖かいとはいえ、海からふいてくる風はとても冷たい。 「冬なんてなくなったらいいのに…」 とか言って、本当に冬がなくなったらやっぱり困るけどね。 だって、クリスマスもお正月も冬だもんね。 プレゼントやお年玉貰えなくなったらやっぱり悲しいし…。 家につくと階段をにぎやかにかけ上がり、鞄をベッドの上にほうり投げると、素 早く着替えた。 階段をかけ降りるとダイニングキッチンに置いている冷蔵庫からジュースを取り 出して飲み干す。 ママがみてたら「お行儀が悪いっ!」て目をつり上げて怒られただろうな。 思わずそんなことを想像してしまい、苦笑してしまう。 ゴミバコにぽいっとジュースの缶を放り込むと、パーカーのついたハーフコート を着込んで家を出た。 空を仰ぐと、いつのまにか、パステルで描いたような淡いスカイブルーからブル ー系のカラーインクで描いたような透き通った青空になっていた。 冬って言う季節も。 寒くなければ好きになれたかもしれないな。 なんてことをぼーっと考えながら歩いていると、智広の家が見えてきた。 ドアのチャイムを鳴らしてしばらくすると、ガチャリとドアが開き、智広が顔を 出した。 「あ、由美か、入れよ」 「おじゃましまあす」 わたしはお行儀良く、靴を揃えて脱ぐと智広の部屋へと向かう。 智広の部屋は男の子のわりにはまとめられている。 そして部屋の隅には、いつのまに買ったのか、まるで飛行機のコクピットのよう なコンピュータ用のラックに収められたワープロ器材一式が置いていた。 「これがワープロ?」 「うん、SRHAPの新しいヤツなんだ」 「ふうん、でさ、通信て何?」 智広はラックの片隅から小さなプラスティックのカードみたいなのをワープロに 差し込むと、電源のスイッチをいれた。 ウィーンという、微かな機械的な音が響く。 「ん、まあ口でいうより見たほうが早いだろ」 ワープロの画面になにか文字が写ると、智広はたどたどしい手つきでキーボード を打ち始める。 そして、しばらくしてからラックの下のほうに置いていた小さな箱から甲高い音が 響き渡った。 「ほら、繋ったよ」 画面を覗き込むと小さな文字で“CONNECT”と表示されてる。 そして、数秒立ってから、文字の洪水が画面に溢れ出した。 ★ 「ここはさ、ぷらんにんぐBBSって言うネットワークなんだ」 「ぷらんにんぐNET?」 「うん、ほら、『ぷらんにんぐ・どりぃむ』って言う芸能事務所しってるだろ?」 「えーと……歌手の伊集院鈴子とかがいるとこかな?」 智広は相変わらず画面を見ながら。 「そそ、あそこの社長が開いてるネットなんだ」 なんとなくわかったようなわからないような……うーん。 とにかく、基本的には駅の伝言板をワープロでやってるようなものだっていうの はわかった。 しばらく見ているうちに「通信」というものに不思議に魅了されて行く自分に気 がついた。 「ねえ、通信ってさ、ワープロもってないとできないの?」 智広はやっと、通信が終わったみたいで、くるりとこちらを向いた。 「まあ、基本的にコンピュータの方が使いやすいらしいけど……少なくともコンピ ュータかワープロ、それからモデムが必要だな」 「コンピュータはパパの事務用にって買ったヤツでいいのかな?、それからモデム ってなに?」 「うん、確か由美んとこのコンピュータは使えたと思うよ、それからモデムって言 うのは、簡単に言ったらコンピユータの情報を音にして、電話を通して情報交換す る機械なんだ」 良くわからないけど、それがないと通信できないのね。 「ん…、それっていくらくらいするの?」 「えーと、安いヤツでも1万はするだろうな……」 1万……ちょっとキツイかな? ママにおねだりして買ってもらえる値段でも無いしなあ。 智広は少し考えてから。 「そうか、確かクラブの先輩がモデム買い変えたとかいってたからさ、聞いといて やるよ」 「えっ、ほんと?」 現金にも曇りかけた顔をぱっと輝かせながら。 「うん、じゃあさ、連絡ついたら渡してやるよ」 「わあい、ありがとっ」 2 智広の先輩からゆずり受けたモデムを四苦八苦しながらも。 お店の事務用にと買ったコンピュータと電話線に接続し終わった。 試しに智広から聞いておいた番号で、ぷらんにんぐBBSにアクセスすることに した。 教えられた通りの手順で操作するけど。 コンピュータは思った通りに動いてくれない。 いらいらしながら画面を見ていると。 突然辺りは七色の光の洪水におそわれたと思うが早いか、頭のなかをなにかがす り抜けて言ったような感覚におそわれた。 「え……?、今のなに?」 辺りを見渡すと、全ての物が七色に輝いていた。 ふいに目の前を二つのソフトボール大の光の固まりが現われる。 『驚かして御免なさい、あたしたちは機械の妖精プチとポポ』 『時空の狭間に挟まったところをうまいタイミングでお前が道を開けてくれたって 訳さ』 わたしは非現実的な風景にあぜんとしながらも、その二つの光の固まりを眺めて いた。 『それで、助けてくれたお礼に貴方にプレゼントがあるのよ』 「……プレゼント?」 ふたつの光の固まりは次第に輝きを落としして行く。 『魔法だよ』 「魔法?」 『ええ、このリングを受け取って』 コンピュータの画面の向こうから小さなリングが飛び出してきて、腕にはまった。 何でできているのかは良くわからないけど、キラキラと光ってとてもキレイだ。 「これは?」 光の固まりは次第に輝きをおとして、やがて二匹の子鳥になっていた。 『それは魔法のリング、それをつかって変身できるんだ』 「変身?」 『「ルチノウ」っていってみて』 「……ルチノウ」 リングの輝きが増したかと思うと、突然空中にバトンが現われた。 わたしは、それを素早く手にする。 『それから「マジックパラレルドリイムアクセス」って言うんだ』 「えと……まじっくぱられるどりーむあくせす……」 バトンから虹色の光の洪水に溢れ出したかと思うと、わたしの身体を包み込んだ。 一瞬立ち眩みのような感覚におそわれ、次の瞬間神経を逆撫でしたような感覚が 身体中を走り抜けた「「。 「これは?」 軽く頭を振って鏡を覗き込むと、そこにはわたしでない、わたしがいた。 『それはあなたのイメージの投影、そうね、言ってみれば理想のあなたね』 「……理想のわたし?」 もう一度鏡を覗き込んでみた。 年はおそらく18〜9位という所の、ぱっと見人目を引くような、不思議な魅力 を持った少女に見える。 『そう、要するに深層的なイメージを具象化して三次元的空間に疑似投影している 訳なんだ』 「へ……?」 さ……三次元的空間……ねえ。 SFって苦手なんだよなあ。 『まあ、心を鏡に写したと思ってもらえればいいわね』 「ふうん……」 とにかく不思議なことにほとんど冷静に二匹の妖精(?)の話をきいていた。 とりあえず、魔法に対する制限は人に絶対見られないこととだそうだ。 人に見られればどうなるかは良くわからないそうだけど、確か中途半端な状態で魔 法が凝固してしまい、取り返しのつかないことになってしまう……らしいんだけど、 良くわからなかった。 とにかくわたしは『魔法』と言う名の力を手に入れたのだった。 (つづく)
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