空中分解2 #0719の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
年老いたシマウマは知っていた。 風下から若いライオンが彼をねらっていることを。 飢えて 飢えて ギラギラした力が、自分に向けられていることを。 そのライオンは、まだほんとに若く ちょっと気を付けて探せば産毛も ちらほら見つかりそうなくらいだった。 かなり長い間食べていないようだ、哀願するような焦りの表情 息使い を感じる。 他の仲間達はまだ気付いていない。 彼も何事も無い様に草を喰み続けた。 若いライオンが低い姿勢で一歩一歩近づいて来る。 ああだめだ、そんなに強く草を踏んでは、すぐに皆に気取られてしまう。 年老いたシマウマの思いの通り、隣の仲間が未熟な天敵の存在に気付き 一目散に逃げ出した。 その情報は、瞬時に群れ全体に広がり すべてが一斉に逃げ始めた。 ただ彼だけは、ほんの少しだけ間をおいて走り始めた。 まだダッシュする体勢も作っていなかった若いライオンは、突然の群れ の動きに戸惑いながらも最初のねらい通り 全速力で彼を追った。 地を馳せるすばらしい筋肉の塊は、群れに遅れている一頭のシマウマに みるみる近づき、そして襲いかかった。 太く頑丈な前肢と爪が、皮膚を裂き 肉にくい込む。 シマウマは、たまらずその場に押し倒される。 すかさずその頚部を強力な顎が絞めつける。 まるで抱きかかえる様に。 スマナイ・・ スマナイ・・・ イインダ・・ イインダ・・・ やがて空腹を満たしたライオンは、さっき喰った肉の中から 年老いた シマウマの持っていた記憶を取り出して、それをゆっくり反芻していた。 次の空腹まで 彼は、あのシマウマと同じ目で サバンナを遠く見渡す。 久野利乙
メールアドレス
パスワード
※書き込みにはメールアドレスの登録が必要です。
まだアドレスを登録してない方はこちらへ
メールアドレス登録
アドレスとパスワードをブラウザに記憶させる
メッセージを削除する
「空中分解2」一覧
オプション検索
利用者登録
アドレス・ハンドル変更
TOP PAGE