空中分解2 #0688の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
この作品を読むであろう、わが友よ 「俺」はお前ではない。 =============================== 「ごめんなさい」 彼女はそう言い、振り向いて俺から逃げるようにして離れていく。 振られた・・・。 同じ高校の女の子に交際を申し込んだんだ。勇気を振り絞って。 なのに、振られた、断られた。 はじめての・・・失恋。 寒い、急に寒さに体が震える。 空を見上げる。どんよりと曇った、雪が降りそうな空模様。 ハン! 俺の心にピッタリだな。 空を見つめる俺の目から涙が流れる。 なんてことだ、たかが女に交際を断られたぐらいで泣くとは。 俺は自分を叱咤する。 それでも涙は止まらない。流れ続ける。 どこからともなく聞こえてくるクリスマス・ソング。 ああ・・・明日はクリスマスイブ・・・だ・・・な・・・。 家に帰った俺は自分の部屋に閉じこもった。 何故だ!? どうしてだ!? この俺を振るなんて。何が気にいらないっていうんだ! 俺はこんなにカッコイイのに、あんなにやさしくしてやったのに、 あんなに楽しそうに俺と話していたのに、あんなに俺と楽しそうに 遊んでいたのに! そうだ、彼女がいけないんだ。俺は悪くはない。彼女がすべてい けないんだ。 俺は全てを彼女のせいにした。責任転換。 誰か俺を助けてくれ。 誰か俺の話を聞いてくれ。 誰か俺を慰めてくれ。 でなければ俺は心が醜くなる。 誰か・・・ダレカ・・・。 電話がなる、突然に。 母が受話機を取る。二言、三言の受け答えのあと俺を呼ぶ。 「尾崎君から電話よー」 尾崎? 尾崎 順か? あいつは俺のクラスメートでひょうきんな遊び友達だ。 尾崎には今日のことは前もって言ってあった。 察するに結果を聞くために電話してきたのだろう。 他の奴なら居留守を使うつもりでいたが尾崎なら好都合だ。 俺は部屋を出て母から受話機を受け取る。 母は俺の顔を見ると心配そうな表情になった。 母には今日のことは話していないが、なにかがあったと分かるも のらしい。 どうしたの? と目で聞いてきたが俺は気付かない振りをする。 身内に話す気になどなれない。 母も尾崎が待っているからか、それ以上は聞かずに気を利かして 俺から離れてくれた。感謝。 受話機を顔に近付ける。 「もしもし、尾崎か?」 『ああ、俺だよ。どうだった? 彼女に交際は申し込んだのか?』 最初から一番辛い質問をしてきた。 「ああ、申し込んだよ」 『で?』 「そのことについて少し話があるんだ。今暇か? そうか・・・。 じゃ、明日は?」 俺達は明日、隣町の駅前の喫茶店で2時に落ち合う約束をした。 次の日。 駅前の店のあちこちから楽しげなクリスマス・ソングが聞こえて くる。 けれども心の病んでいた俺は耳を傾けることもなく喫茶店を目指 した。 2時30分、俺は喫茶店のドアを開ける。 また遅刻してしまった。 でかける準備に手間取ってしまうからか、約束の時間を守れたこ とがない。 ま、時間を守らなかったからといって罪悪感を感じる俺でもない が。 (こんなことだから「あいつ」に怒られてしまうんだな。) 俺はふと、「あいつ」の怒っている顔を思い出して苦笑した。 店内に入ると暖かい、煙草の煙が混じった空気が肺に入ってくる。 10人も入れば一杯になってしまいそうな店内を見渡す。 尾崎を捜したが見つからない。まだ来ていないのか。 尾崎も時間にルーズだからな。 俺は道に面した大きなガラス窓の前にある二人用の席に座った。 ここなら尾崎が来たら見つけられる。 「いらっしゃいませ」 ウェイトレスが水とおしぼりを運んできた。 もう冬だというのにコップには氷が入っている。 俺はコーヒーを注文すると窓の外に目を泳がす。 見たくもない光景が目に入ってきた。 楽しそうに腕を組んで歩いているカップル。買い物をしているカ ップル。話し、笑い、ふざけあう。 どうして俺にはそれが手に入らなかったんだ。 スベテカノジョノセイダ。カノジョガコトワルカラ。 可愛さ余って憎くさ100倍 その言葉を俺は今身をもって実行しようとしている。 誰かに止めてもらわなくては・・・自分だけではもう止まらない。 誰に・・・? 「待たせたな」 思考を中断させる声、尾崎だ。 いつの間にきたのだろう。気付かなかった。 「どうせおまえも今来たところだろう?」 言いながらコートを脱いで俺の前に座る。 こいつもコーヒーを注文した。 「で、どうだった?」 ニヤニヤ笑いながら聞いてくる。 見て分からないのだろうか? こんなに落ち込んでいるのに。 「駄目だった。断られたよ」 小さな声で言う。意識してやっているわけではなく自然になって しまう。 「・・・」 途端、尾崎の顔からニヤニヤが消える。心配そうな表情。 「どういうふうに申し込んだんだ?」 「?」 質問の意図が分からない。 だが俺は逐一漏らさず昨日のことを尾崎に話した。 とにかく今は話していたかった。 話し終えるとあきれたように尾崎が言った。 「それじゃあ、駄目に決まっているじゃあないか」 そして講義を始める。 場所はそんなところじゃなくてこういうところにするべきだった。 申し込み方もこれこれこういう具合にすべきだった。 ああすべきだった、こうすべきだった。 始めは素直に聞いていた。 けれど途中で気が付く。 どんどん心が落ち込んでいっていることに。 何故だ? 尾崎がいっていることは正しい。俺が反省すべき点を明確に指摘 してくれている・・・反省? この俺がか? この俺がなぜ反省しなければならない! 悪いのは彼女なのに。 俺を振った彼女が悪いのに・・・。 ガタン! 俺は立ち上がる。 不愉快だ! これ以上、尾崎の話を聞いていると余計に心がすさ んでしまう。 俺は財布から自分のコーヒー代を取り出しテーブルの上に乱暴に おいた。 「悪いな、急用を思い出した」 ポカンとしている尾崎を横目に俺は喫茶店を出る。 くそっ! 余計に気が荒立ってしまった。
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