空中分解2 #0646の修正
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「先ほど、この騒ぎが起きた理由の中で、最後に訳の判らないことが起きたと言っ てたわね。それについて、詳しく話してくれないかしら?」 「はい。それが、何とも不思議なことで……。フハ村で刃向かった者らしい二人連 れを見つけたのはいいんですが、そのうちの一人が女だったんです。そしたら、そ の女の体が急に光り出して、警備の者を弾き飛ばしたんです。そして、驚いた兵達 を脅して、牢の鍵を全部開けさせてしまったんです。生まれてこのかた、そんなも のを見たことなかったもんで、気が動転してしまって……。」 「へえ、面白い話ね。体が白く光って、人を弾き飛ばすなんて。あたくしも、この 目で見てみたかったわ。」 「ル、ルーラ様。そんな恐ろしいこと……。」 「あら、何が恐ろしいの? あなたも聞いたこと、あるでしょう。王様のお城に巣 喰っていた悪魔を退治してくれた女神様のお話。その女神様も体が白く光り輝いた と聞いているわ。なんだか、すごく似てると思わない?」 「いや、しかし、まさか……。」 「もっとも、その女神様は姿を消してしまわれたというから、たぶん違うんでしょ うけど、でも、すごく興味があるの。だから、その人ともお会いしてみたいわ。」 「あの、それでしたら、そこにいる女がそうですが……。」 長官は、そう言って、あたしの方を指した。 「まあ、あなたが? あの、ちょっと、こちらにいらして頂けないかしら?」 その女性は、あたしの方を見て目を見開いた後、声をかけてきた。 ちょっとギクッとしたけど、康司の方をチラッと見ると、康司がうなずいたので、 あたしはその女性のそばに行った。 「あなた、体を光らせて兵士達を脅したって聞いたのだけど、本当なのですか?」 「え、ええ。」 「ちょっと、やって見せてもらえませんかしら?」 あたしは首を振った。 「ごめんなさい。駄目なんです。危険が迫った時とかでないと、力が発揮できない んです。それに、とても疲れるし……。」 「そう、できないの。それじゃ仕方無いわね。警備兵!」 急に言葉が硬くなる。 「は、なんでしょうか?」 さっき牢屋の中で出会った顔が何人か寄ってくる。 「すぐに、この娘を取り押さえなさい!」 その女性は激しい口調で命令を下した。 警備兵達は、一瞬ビクッとしたあと、あたしの方を見て、ちょっと後退る。 康司とスクルトが急いで寄ってきて、警備兵に向かうと、あたしを守るようにし て身構える。 しかし、警備兵達はおびえたように動かなかった。 「ルーラ様、お願いです。誰か他の者にやらせて下さい。我々にはとても取り押さ えられません。」 警備兵の一人が、どうにか言葉をつむぎだした。しかし、その懇願の言葉の端々 は、可哀そうなくらいに震えている。 「まあ、やはり、本当のことだったみたいね。」 後ろから、元の静かな口調で話しかけられた。振り向くと、その女性は微笑みを 浮かべていた。 「試すような真似をして、ごめんなさいね。あたくし、ルーラと申しますの。この 街の領主でもあるフロール家の長女ですわ。実は、あなたに本当にそんな力がある のか半信半疑だったの。でも、彼らがおびえたところを見ると、どうやら本当のこ とらしいわね。ねえ、今夜は、あたくしの家にいらして頂けないかしら?」 「ええっ?」 「あたくし、あなたの力に、とても興味があるの。それに、お父様とお母様にも紹 介して差し上げたいわ。ね? いいでしょ?」 あたしは、ちょっと迷った。確かに魅力的な話ではあるのだけれど……。 困って康司の方を振り返ったら、康司が隣に来てくれた。 「つまり、フロール卿の所に来いってことか?」 「ええ、そうですわ。」 すると、なぜかスクルトの顔がみるみるうちに渋くなり、ルーラは怪訝そうな表 情になる。 「参ったな……。まさか、こんなことになるとは思わなかったぜ。どうしよう。」 「どうしたの?」 「実は、前からお袋に釘を刺されてたんだ。道中、絶対に身分の高い人達と関わり 合うなってね。特に、フロール卿のところは絶対に駄目だって言われてるんだ。」 「なんで?」 「俺も判らん。ただ、そう言われてるだけだからな。だけど、お袋がそう言うんだ から何か訳があるんだろうぜ。それより、ヒトミはどうするんだ?」 「もちろん、康司に従うわ。」 あたしは康司の腕に寄り添いながら答えた。 「俺としては、下手なところに泊まるよりは、フロール卿のところに世話になる方 がいいと思うんだ。一美のことを考えると、その方が安心できるしな。」 「そうか……。じゃあ、俺も付き合うことにするぜ。」 スクルトは渋々という感じだったけど、とにかくフロール卿のところへ行くこと にしたらしい。 「それでは、三人で来て頂けるのですね。」 ルーラは嬉しそうに微笑んでいた。 「あ、でも……。」 あたしは、元盗賊御一行様のことを思い出した。彼らのおかげで結構助かってる んだから、忘れちゃいけないわよね。ところが、辺りを見回しても、彼らの姿はど こにもなかった。どうやら、戦いの後のどさくさに紛れて姿を隠してしまったらし い。 「なんでしょう?」 「あ、ううん、なんでもないわ。」 「そうですか。では、参りましょう。」 そして、康司とスクルトはそれぞれルーラの家来と思われる男達の後ろに乗り、 あたしはルーラの背中にしがみついた。 「ハイ!」 ルーラの元気なかけ声で、馬もいなないて一気に走り始める。家来達の馬も後に 続いていた。 −−− 五章終わり
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