空中分解2 #0565の修正
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赤き不滅の星の民(2) 並木きょうすけ 森の中は当然ながら舗装なんかされていない。小石の多い土の道だ。まわり には杉の大木がうっそうと立ち並んでいる。 三時間も歩くと足の裏が痛くなってきた。ヨーコとケンタローは平気な顔で 進んでいく。もっともケンタローはキャタピラだからどうってことないだろう けど。 ひときわ大きな杉の根元をまわりこむと、急に視界が開けてきた。広場のよ うな感じだ。正面にはテントのようなものが三つ。森の人の集落なのだろう。 中から子供が顔を出してすぐ引っ込めた。赤ん坊の泣き声がする。人間と同じ だ。右の方には弓矢や槍、それに斧などが無造作に置いてあった。緊張した顔 の若者がそれらをよりわけている。 左に目を向けたとたん、私は圧倒された。そこには巨大な立像が二体、天に 向かってそびえ立っていた。周囲の木よりもずっと高い。まるで歴史の時間に 習ったテラのトーテムポールの兄貴分とでも言おうか。 その立像の前に祭壇らしきものがあり白髪の老人がひざまづいて何やら祈り の言葉を発していた。こちらを振り向きもしない。 ヨーコが先ほどの森の人とひそひそ話している。 「ケンタロー、何を話しているかわかる?」 私は小声で聞いてみた。 ケンタローは煤けていてもロボットである。視覚、聴覚は人間の百倍、嗅覚 は人間の二千倍である。それにここに来る前、トシオさんの研究室へ行って森 の人に関する記憶モジュールをコピーしてきたし。 「よくわかりませんが、何か大変なことが起こっているようです。どうやら 調査隊はその騒動に巻き込まれたのではないかと彼らは言っているようです」 「それぐらい彼らの身ぶりや顔色で私にもわかるわよ。あなたは腕っぷしの 方はダメなんだから、こういう時に役に立たなきゃしょうがないじゃないの」 「すいません。でも彼らがこの事件をアムハールの崇りと考えていることは わかります」 「アムハールって」 「彼らがあがめている最高の神です。アムハールがこの世界をお造りになり、 その秩序を守るためにメタウとプタウの双子の姉妹をお遣わしになりました。 その二人がこの像のモデルなのです」 「そうするとここは森の人にとっては聖地ということね」 「そうでもないようです。このような像はこのレッドクラウには何十とある ようです」 「そんなにあるんじゃ、もっと前に見つかっていてもよさそうなものよ。大 学ではそんなことは習わなかったわ」 「実は極秘に調査されていたのです。というのはこの像は特殊なコーティン グがされていてレーダーにも赤外線カメラにも反応しないのです。また硬度は ダイヤモンド以上であり熱や化学薬品にも全く反応しません」 「でも秘密にすることはないじゃない。だから役所って嫌いなのよね」 「こんなものが森の人に作れると思いますか」 「じゃ、誰が作ったのよ」 「別の異星人でしょう。それも人類よりも遥かに進んだ技術を持った..」 人類よりも進んだ技術を持った異星人。それは人類が宇宙へ活動の範囲を広 げて以来、捜し求めていたものであり、また恐れていたものなのだ。その異星 人が少なくとも過去のある時期にはこの惑星レッドクラウにいたのだ。 「アキナ、ケンタロー、行くわよ」 「ちょっと待って。どこに行くのよ」 「シュルハの洞窟よ」 「どうしてそんな所へ行くのよ」 「兄貴たちはそこへ入っていったままなんですって」 歩きながらヨーコから聞いたところによると、シュルハの洞窟の中には小さ な神殿があるという。森の人の言い伝えではアムハールの代理人であるメタウ とプタウの姉妹は自分たちの像を各地に作った後、この洞窟の中に入っていっ たという。そして二人はその中の神殿で永遠の生命を得て、この世界で起きた 悪事を逐一アムハールに報告していると信じられている。また何人もこの洞窟 には入るなときつく止められていたという。 トシオさんたちはきっとここにメタウとプタウの像の秘密を解く鍵が隠され ていると考えたに違いない。 「カリダールが言うには兄貴たちが洞窟に入ってからしばらくして、洞窟の 奥の方から大きな地響きが聞こえてきたんだって。それから川の水が赤くなっ たり井戸から妙な音が聞こえてきたり、異変がいっぱい起こっているんですっ て」 カリダールとはさっきヨーコと話していた森の人のことらしい。彼は一行の 先頭をきって歩いている。 「それでアムハールの崇りなんて言っているのね」 「それにね、彼の息子が兄貴たちの案内をかってでて洞窟の中へ入ったまま なんですって」 「まさか私たちも洞窟の中へ入ろうなんて言うんじゃないでしょうね」 ヨーコが振り返ってウインクした。嫌な予感。 「あら、アキナとしては感がいいわね。彼にね私が兄貴たちを説得して調査 をやめさせるって言ったのよ」 「私はやっぱり洞窟の外で待っているわ。サポート隊も必要でしょう」 「それがね、私とアキナはメタウとプタウに似てるんだって」 「そうかしら」 私、あの像みたいにずん胴じゃないわ。 「彼はそう言っているの。それで二人で行けばアムハールも優しくしてくれ るんじゃないかって」 「そんなの迷信よ」 結局、ヨーコも一人で行くのが恐いんじゃない。もっとも私にも恐いものみ たさの気持ちがないわけじゃないけど。ここまでトシオさんに尽くして結ばれ なかったら、私も崇りを起こしてやるんだから」 洞窟は遠かった。夜は付近の集落で一泊して次の日の昼すぎにようやく着い た。それは森の中にぽっかりあいた何の変哲もない洞窟で周囲には遺跡らしい ものは全くなかった。あるのはトシオさんたちが使っていたらしいテントが二 張りだけ。中の機材はそのままだったが誰もいない。みんな洞窟の中に入って いったのかしら。 私たちはトシオさんたちの機材を借りることにしてライトのついたヘルメッ トをかぶりザイルを肩に担いで食料の入ったナップザックを背負った。何とも 不格好だ。レイガンをホルスターに装着して、私たちはカリダール、ヨーコ、 私、ケンタローの順で洞窟の中に入っていった。 (続く) 7'テI#lフ 赤き不滅の星の民(2) 並木きょうすけ
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