CFM「空中分解」 #1841の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
君子(きみこ)は、大金持ちの黒田高志に雇われているただ一人のメイドで あった。 黒田は妻に病気で先立たれ、その欲求を君子に求めて来ることがしばしばで あった。君子は嫌であったが、逆らうことも出来ず、言いなりになっていた。 しかし、ついに我慢出来なくなり、黒田を殺そうと決めた。君子は推理小説 を何十冊とむさぼり読んで、数多くのトリックの中から、ナイフを閉じ込めた ドライアイスを網目状の物の上に置き、それが被害者の心臓へ垂直になるよう に、天井に設置するというものを選んだ。これならば、自分がアリバイを作っ ている間に、ドライアイスが気化し、ナイフは被害者の心臓に一直線、となる。 うまい具合いに、黒田の寝室のベッドの上には、通気孔があった。また、彼は 「行為」の前に精力ドリンク、後にウィスキーを飲む習慣なので、ドリンクに 睡眠薬を入れ、ウィスキーのためのアイスボックスにナイフ入りのドライアイ スを隠しておくことにした。 夏のある夜、君子は実行に移した。さすがの黒田も眠ってしまった。君子は 用心のため、手袋をしてから、通気孔のフタを外し、例のドライアイスを置い た。そして窓を開けておき、家中を静かに荒し回った上で、黒田に服を着せた。 泥棒が侵入し、目を覚ました黒田と格闘の末、ナイフで殺して逃げた、という 筋書きである。睡眠薬が検出されるであろうが、いつも飲んでいたのだと言え ば良い。君子自身は、友達に会う約束を取り付けてあった。 次の朝、君子は友達の家でアリバイを作っておいてから、黒田の家に戻った。 近所に聞こえるように、 「泥棒です!旦那様。」 と、大声で叫びながら、黒田の寝室に入ってみた。部屋の中を覗いた瞬間、君 子は気を失うところであった。黒田は生きていた。ナイフはどこにも見あたら ない。黒田が、目を覚ました。 「何だって?うっ、ひどく荒されたな、これは。」 部屋を眺めて言った。 「早く110番せんか。何をグズグズしているんだ。えーい、もういい。わしが かける!」 黒田はこう叫ぶと、電話をかけるために、部屋の外に出て行った。君子は、 まだ呆然としながらも、通気孔を見た。 「あっ・・・。」 何と、ナイフの柄の部分が長すぎて、通気孔の網目に引っかかっていたのだ。 「失敗だったわ・・・。とにかく、どけておかなくちゃ・・・。」 気付かれぬ内に回収しようと思い、君子は通気孔のフタを外そうとした。 その瞬間、ナイフの位置が少しずれ、網目の対角線と重なって、隙間から、 −−− すっ。 −−− と落ちた。 −END−
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