CFM「空中分解」 #1835の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
登場人物 *秋元康助(あきもとこうすけ) *神田保夫(かんだやすお) *進道ケイ(しんどうけい) *玉置三枝子(たまきみえこ) *ハリー長山(はりーながやま) *吉田刑事(よしだ) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「君達、コモンセンスって言う単語、知ってる?」 アメリカ帰りの長山が、その場にいる者全員に聞くように言った。 「知らないよ。」 秋元が言った。 「分からないわ。」 進道が言った。 「知ってる訳ないじゃないの。」 玉置が言った。 「・・・。」 神田は黙っている。 「そうかなあ、これ、常識なんだけどねえ。」 「アメリカでは、常識かも知らなくても、日本では違うわ。」 長山の言葉にムカついたのか、進道が反発した。 「NO,NO.日本でも常識なんだなあ、これが。分からないなら、辞書を 引いてごらん。それにしても、君達はいったい何を勉強してるの?いくら日本 の英語教育が欠陥だらけだからと言って、この程度の単語も知らないとは・・ ・。もっと、フルーツフルな勉強をやり給えよ。何てね!あ、そうだ。フルー ツフルって言うのは、<実りある>っていう意味だよ。ハハハ・・・。」 そう言いながら、長山はその場をたった。 ここは、とある喫茶店の中。中学時代に同級生だった長山が親の都合でアメ リカに行ってから3年後、高2になった今日、帰国した長山の歓迎会をやって いたのだが、上のような次第になってしまった。秋元ら四人に言わせると、長 山は中学の時から自分が混血であることを自慢気にしており、キザな奴であっ た。それがアメリカに三年いたせいで(?)一層、拍車がかかった感じと言え た。多感な時期の彼らにとって、長山の言動は、殺意を抱かせるに充分だった。 「第一発見者は、どなたですかな?」 「あ、お、俺です。」 吉田刑事の問に、秋元が詰まりながらも答えた。 「状況を話してください。」 「昨日の土曜、俺達のサークルで出している<フォース>の編集会議をやり に、部室に集まりました。あ、ホントは部とは認めてもらってないから、仮部 室なんですけど・・・。」 「それはいいから。で?君達の『超常現象研究会』の部屋・この別館4階で、 何があった?」 「昼飯を食ってなかったから、誰が買い出しに行くか、アミダで決めました。 みんな、ホカホカ弁当にしたんですが、長山だけがハンバーガーでないとダメ だと言ったんで、二人、買い出しに行くことになりました。それで保夫・・・ 神田君と進道さんが行きました。神田君が弁当屋に、進道さんがハンバーガー ショップに。その間、俺と玉置さんは、部屋を出ていました。」 「何故?」 「長山の奴が、原稿を書きたいから一人にしてくれとか言って、俺達を追い 出したんですよ。」 「俺達、とか言うことは、君達二人は、ずっといっしょにいた訳?」 「いいえ、別々でした。」 玉置もうなずいた。 「ふん。続けて。」 「先に神田君が帰ってきたんだけど、ハンバーガーを待っている長山はうる さがるだけだろうと思ったから、そのまま外にいて・・・。しばらくしたら、 進道さんが帰ってきたので、部屋に戻ってみると長山が死んでたんです。たま 驍スま、俺が先頭だったから、第一発見者ってのになったんです。」 「ふむふむ。神田君、君は弁当屋から帰ってきて、すぐに秋元君にあった?」 「そう。」 「証明できる人はいる?」 「いえ。」 「そうか。じゃ、進道さんは?」 「もちろん、まっすぐ帰ったわ。でも、証明してくれる人なんて・・・。」 「困ったなあ。じゃあ、K&Aって血文字を残していたんだけど、何か、心 当たりは?」 「さあ・・・。」 みんな、首をふる。 g田刑事は余程、こう聞こうかと思った。 (秋元のイニシャルはK・A。神田の「か」は、KAだ。進道ケイの「ケイ」 のつもりでKと害者が書いて、それに気付いた彼女が&Aを付け足したのかも。 玉置が他の3人に罪をきせるつもりで、書き残したのかも知れない。しかし、 &はどういう意味だろう。秋元と神田の共犯て事か?そうだとしても、いくら アメリカかぶれの長山と言っても、わざわざ&と書く必要があろうか。「と」 で充分ではないか。わからん。) 「分かった。もういいよ。」 吉田刑事が言った。 長山の死因は、腹部の刺し傷。凶器のナイフは、現場に落ちていた。ナイフ は魔術用の物で、飾りとして部屋においてあったらしい。他に後頭部に鈍器で 殴られた跡があり、これは、やはり現場にあった何もいけていなかった花瓶に よるものと推測される。共に、指紋はきれいに拭き取られていた。部屋には神 田が買ってきた弁当からこぼれたのか、何かの煮汁が床にしみを作っていた。 さらに調べが進み、重大なことが明らかになった。玉置にはアリバイがあっ たのだ。玉置に思いを寄せている「女子」が二人、当日の昼に玉置が校庭の隅 の方でたたずんでいるのを「見つめていた」と言うのだ。玉置は犯人ではない。 では、誰が? 「・・・という訳なんです。頼みますよ、何かいい知恵を。」 「吉田警部。『頭の体操』って本を全巻、読んでごらんなさい。自ずと犯人 は分かりますよ。状況にもぴったりと来る。」 吉田刑事に質問されたその探偵が答えた。 「全巻?そんな暇、ないんですよ。犯人が逃げるかも知れないじゃないです か!」 「大丈夫。まず、逃げないですよ。」 「そうでしょうか・・‘゜」 g田刑事は、納得のいかない様子であった。それでも、「頭の体操」を全巻買 い込み、一気に読み上げた。確かに、犯人は分かった・・・。 「どう考えても、君しかありえないんだ。」 吉田刑事のその言葉に、相手は驚いたようだ。刑事が続ける。 「我々は初めに、共犯の可能性を考えた。だが、どの組合せを考えても、共 犯をするメリットがないんだよ。つまり、アリバイの証人としての、共犯の役 目を果たした人が見当たらない。これは、単独犯だ。それで、害者が残した血 文字だがね、あれは明かに一筆書きで書かれたことが分かった。つまり、進道 ケイさんではない。彼女が犯人だとしたら、害者はK&Aと書き残す訳ないし、 彼女が&Aを付け足したのもありえない。」 相手は黙っている。 「では、秋元君か?違うだろう。これもK&Aと書き残す理由が見つからな い。K・Aで充分なはずだ。つまり、犯人は君となるんだが・・・。」 「ちょっと待ってください。僕が犯人だと言う証拠は?」 相手−−神田が問い返した。 「君が弁当を買いに行ったんだったね。何を買った?」 「秋元がハンバーグ弁当、進道さんと玉置さんはからあげ弁当。僕は・・・、 そうそう、別に決めていなくて、その日、新メニューになったと言う中華どん を買いました。」 「それとだ。君は事件発生後、秋元君達と一緒に部屋に入ったとき、弁当は どうしていた?」 「そうですね、慌てていたので、放り出してしまったんでした。」 「つまり、部屋の中には持ち込んでいないと?」 「そうです。」 「結構。では、聞くがね、部屋の中には、煮汁のような物がこぼれていたん だ。分析の結果、中華料理の汁と分かった。君が行ったという弁当屋にあるメ ニューの内、この汁を含んでいるものは、中華どんだけなんだよ。」 「それは・・・。もっと前に買ってきて、こぼしたとも考えられるじゃない ですか。」 「言っただろう。中華どんは事件当日にできた新メニューだって。君の言う ことは、ありえないんだ。」 こう指摘され、神田は少し、青ざめた表情を見せたが、すぐに戻った。 「ハハハ・・・。やっぱり、ばれちゃったか。衝動的にやってうまく行くと は、思ってませんでしたが。思ったより、早かったなあ。」 「君がやったんだね?」 「そうです。あいつ、いつも人を見下したような態度をとりやがって、気に くわなかった。僕、これでもかなり、プライドは高いんですよ。ところで刑事 さん。あいつは何で、K&A等と書き残したんです?」 驕@「今となっては、推測でしか言えないが、多分、こうだよ。K&Aをちゃん 驍ニスペルで書くと、KandA。つまり、KA(か)N(ん)DA(だ)にな るんだ。」 「・・・フッ、あいつらしいや。刑事さん、コモンセンスっていう単語の意 味、知ってます?常識ですよ。」 コモンセンス<COMMONSENSE>−−−「常識」と言う意味である。 驕|終−
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