CFM「空中分解」 #1551の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
わたしが坂口君と知り合って、ちょうど二カ月経過した。なんでこん なに長い間いっしょにいられたのか、ほんと解んない。彼にひとつでも いいところが在ったろうか。体のわりに頭が大きくて、当然顔も大きい。 顔だけ見たら、凄く太って見える。下手して後ろ姿なんか眺めたりする と、頭の大きく丸い事が強調されて、もうたまらない。かっこいい、な んて言葉は、彼の前ではまず思いつかない。 そんな坂口君の口癖は、「グッドですよ。」何のつもりか知らないけ ど、わたしが何かすると、すぐに「グッドですよ。」なんて言う。初め のうちは訳がわかんないから黙ってたけど、しばらくして、その「グッ ドですよ」っていうのが、テレビ番組で、あるタレントが使うギャクの ひとつだという事を知って、頭にきた。まるで数年前、人に何か尋ねる と必ず「なーんでーすかー」という返事が返って来た時のような、苛立 ち。自我がないのかしら。冗談くらい、自分で考えろって言いたい。 この間も一緒にお酒を飲みに行って、馬鹿な事ばっかり楽しく話して、 お酒の酔いも手伝ってふらふらいい気持ちになってたら、「グッドです よ。」なにがグッドなのって聞いたら、わかんない、って。馬鹿じゃな いかしら。楽しい雰囲気も、それでおしまい。 他にも数えきれないほど、彼、「グッドですよ」って言った。わたし は彼と会うたび、「グッドですよ」って聞かされて、もう頭は、グッド ですよアレルギー。何とかならないかしらと思って、ある日、勇気を出 して言ってみた。「そのグッドですよっていうのやめないんなら、別れ たいんだけど」坂口君、相当ショックだったみたい。もともと気の小さ い優しい人だから、なおのこと。一瞬、顔をくしゃくしゃにして、泣き べそをかいたようになって、それ以来、元気がなくなった。わたしもち ょっと可哀相になって、「うそうそ」って言ったけど、彼、落ち込んじ ゃって、「なるほど、俺は悪いところばっかりだ」って。それから一週 間、電話もかからなくなって、わたしは心配になって、彼の家に行って みることにした。それにしても、馬鹿々々しい事で落ち込むひとだな、 なんて思いながら彼のアパートへ急いでいると、ばったり、道で出会っ た。彼。さわやかに笑ってる。なんか、別人みたい。なにかこうふっ切 れた感じで、悲しそうな影は全く見えない。わたしも安心して、「この 間の事、ごめん。」って言ったら、彼、「いや、いいんだ。さあ、どこ か喫茶店でも入ろう。煙草が吸いたいんだ」なんて言って、にこにこし てる。それから二人でそばにあったお店に入って、コーヒー飲んで、い ろいろ話した。そのうち彼、胸ポケットから緑色をした小さな紙箱を取 り出して、「バットですよ」って言った。わたしが何の事かと思ってそ の紙箱を覗き込むと、そこには、金色のこうもりが二匹飛んでいる絵が 印刷されていて、「ゴールデン・バット」と書いてあった。わたしは彼 におどりかかって、力いっぱい首を絞めた。彼は苦しがって身悶えして、 うめきながら言った。「ガッドですよ。オー、マイ、ガッドですよ。」
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