CFM「空中分解」 #1517の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
********************* *ユミアウラは第4話辺りから連続してます* ********************* ユミアウラにおいて情報を司どるカイオウは、オリンポス内を流れる川のほとり で、ぼんやりとその流れを見ていた。 川は、木々の間を擦り抜け、ここ、オリンポスに水の恵みをもたらしている。 絶え間なく流れる水は、カイオウの両足を濡らし、さらに下流へと流れていく。 カイオウは、そんな流れをぼんやりと見ていたのだ。 流れは、カイオウの脳裏に流れを作り、幾多の情報が流れていった。 過去の闘い。 敵の力。 はるかな過去の平和な時代まで……。 彼は、海の一族のカイオウ。 情報を司どる者。 故に全てを知る者。 濃紺の衣に身を包み、決して変わらぬその表情の奥底にどんな情報が詰っている のか、仲間ですら知らなかった。 他の者が何を思って自分と接しているか、などというものも全て『情報』として 入っている。 『仲間は所詮、他人であるのだから』 テンオウ辺りが聞いたら激怒しそうな台詞を、一度カセイに漏らした。 それは、数少ないカイオウの愚痴であったのだろう。 ぴくり それはゆっくりとした動きであった。決して突然の動きではない。ゆっくりと穏 やかな動きで、カイオウは川から出た。 だが。 カイオウの瞳は川の流れを視ていた。 彼もメイオウと同じく視る者。だが、カイオウが視るものは情報。 川の流れの中のわずかな変化を視て取ったカイオウは、川上へと歩き初めた。 その変化は徐々に大きく、激しく、ついには肉眼ではっきり見える程になった。 清らかな筈の流れが大きく波打ち、泡立っている。 −−−これは、決して自然の動きではない。 川が汚染されている。 物質は……カドミウム。 濃くなっている。 カイオウは自身の情報により、魔の存在を確認した。 しかも。 今だ推定の域を出ないその『情報』を確固たるものとするため、その存在がいる であろう場所まで赴こうとする。 −−−必ずこの目で確かめる。 カイオウはそう思い、そして、意識する事無く、その『思い』につながる『情報』 を脳裏から見い出した。 −−−この『情報』は、炎の一族のカセイが言った『言葉』か……。 『カイオウの情報は、カイオウの限りなく強い好奇心の賜だ。決して力のせ いばかりではない』と……。 −−−それは正しい。私は何でも知りたい。全ての情報を私の元に。確かに私の役 目は情報を集め、分析し、解析することだ。だが、それ以上に私は知りたい。 この世界の全ての事を。 私自身も含めて、私の知りたい事を全て……。 知っては、ならぬ、こと、さえ、全てを……。 無表情のままのカイオウの顔にわずかながら表情が浮かんだのは、元居た場所か ら一キロばかり上流に遡った所だった。 川の中央部が泡立ち、なおかつ、どす黒く変色すらしている。 確信の笑みが口許にわずかにほころび、消えた。 背中にくくりつけられた50センチ程度の濃紺の棒をゆっくりと引き出す。棒は 一振りで一メートル以上に伸び、その先が三つに分かれた。 戟先まで含めれば軽くカイオウの身長を越えてしまう。が、カイオウは軽くそれ を片手で持ち換えた。 それは三つ又の戟(ほこ)。それを扱うは海の者の印。 三つ又の戟(ほこ)−−−元来、海を支配する権力者が与えられた権力の象徴。 海の一族は海に組みする者であるが故にその武器は三 つ又の戟。 その海の色を発つ戟は、大きく振り上げられ、カイオウの頭上で停止した。その まま、二歩、三歩と歩き川の中に入る。 カイオウの目に、どす黒く変色している物質の『情報』が映る。 −−−カドミウム。 含有率五十%。 既に一キロ下流まで流れてる! カイオウは『情報』を一瞬のうちに分析した。 と、大きく伸び上がり戟を勢いよく振り降ろす。 戟の先はまっすぐ泡立っている中心に突き刺さった。 ばしゃああああんっ!!! 激しい水沫が上がり、汚水がカイオウに降りかかった。 カイオウは逃げもせず、顔の辺りに来た水沫を軽く払う。 カイオウの衣に触れた汚水は、『聖なる石』の浄化作用により、再び清らかな透 明感を持って、水中に没した。 と。 戟が一気に持ち上がる。 水中から、緑色の鱗を光らせた半魚人が、現われた。戟が右の肩に深々と突き刺 さっている。 半魚人の丸い目が、カイオウの姿を映した。 両手を伸ばしてくる。青い体液が川に滴り落ちた。 カイオウは眉をしかめ、その液体を目で追った。 −−−カドミウム 銅 水銀 ………有毒金属群。 カイオウは跳んだ。水の抵抗を全く感じさせない程の跳躍力で、半魚人の頭上を 越える。跳び越えるついでに、自分の戟をひっつかむ。 「はあっ!」 掛け声と共に、戟は大きく弧を描き、半魚人ごと対岸の巨石に突き刺さった。 白い岩が、戟の威力に耐えかね、音を立てて崩れおちた。
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