CFM「空中分解」 #1497の修正
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「しかし先生。あっしゃやっぱ先生みたいな商売にあこがれますけどね」 閉店まぎわの三本松寿司。親父の喜三郎が医師の杉野森弥三郎に話しかけた。 「そうかねえ」 「やっぱ人の命を救うなんて、やりがいのある仕事じゃないすか」 「でもねえ、それがかえって負担になることもあるしね」 「そんなもんすかねえ。ま、あっしのような学のねえもんには無理っすけどね」 「私はむしろ君の方がうらやましいよ。ここにはいろんなお客さんがやってくるだろう。いいことがあった人とか、悲しいことがあった人とか」 「まあ、そうですね」 「そうやっていろんな人と話せるなんて、いいじゃないか。うちの客を見てみろ。病気持ちばっかりだ」 「ちげえねえ」 「どうだい、一回替わってみないか」 「え?あっしが医者やって、先生が寿司屋やるんですか?」 「そうだ。だいたい私たちの商売はよく似ている。白衣を着て、刃物を持って、」 「勘定が訳わからなくて」 「ははは、まあそうだ」 計画は実行に移された。寿司屋になりすました医師の弥三郎は、わくわくしながらカウンターに立っていた。 「さあ、今日はお前の祝いだ……おう、おやっさん、まぐろたのまあ」 「へいお客さん、いいことあったんですか」 「いやね、この息子がね、大学受かったんだよ」 「ほんとですか。おめでとうございます、いやあ大学かあ、私も思いだしますねえ。大学入って何がいやだったって解剖ね。遺体の中を見るために肉をゆっくりとはぎ取ってね、これが赤くてねえ……はいまぐろどうぞ……あれ?お客さん、帰っちゃったんですか」 一方その頃喜三郎は病院で医者になりすましていた。 「へい次の方お待ち」 「あの、風邪ひいたんですけど」 「へい風邪薬一丁、次の方」 「あの、胃がいたくて」 「へい胃薬一丁、次の方」 「あの、頭痛がするんですけど」 「へい頭痛薬一丁……なんだ、医者なんて楽なもんだな……次の方」 「あの、どうも調子が悪くて」 「へいどうも……え?困るなあはっきりしてくれなきゃ」 「そうなんですどうもはっきりしなくて」 「どうです気管支炎なんか」 「うーん、気管支炎ねえ……」 「尿結石もありますよ」 「そうねえ……」 「ま、お茶でも飲んで考えてください」 「あ、どうもすいません……」 喜三郎が渡した湯呑には、こう書かれてあった。 瘻癇癈瘰癪癧癨癩 瘟瘢瘤瘁痍痊疚疝 疥疸癆疔瘍瘠瘡疼 瘉疽痙癌癬癰癲痰 瘧痣病瘴痒癡癢痳 瘋痼疣痂痺痲疱痞 痾痿疳痃疵癜症癘 [完]
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