CFM「空中分解」 #1492の修正
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「ギルティ」裁判長の乾いた合成声がして判決はくだされた トラジディのマザコン ENIACの告発により 私は宇宙航行中の近親相姦の罪により倫理法廷にかけられた 倫理法廷の裁判長が私に与えた罰は1万年落下の刑だった 驚いたことに地球に帰還してみると司法はすべてコンピューターに委ねられていた 彼等の中には法律は勿論のこと判例や人間による裁判によって引き起こされた 誤審の数々がDATAとしてインプットされ 罪刑は数量化されていた 自分達だけは誤謬を犯さないと信じて疑うことを知らない冷たい怪物め やめてくれ コンピューターに人間の何が分かるというのだ コンピューターが知っているのはDATAだけだ DATA、DATA、DATA・・・ DATAで肥大したシリコンの化物め 絶対零度の暗黒に浮かび何十年と旅をする 人間の気持ちが おまえら機械に分かるというのか どんな間抜けでもいいから せめて人間が裁いてくれ 少しでも孤独の痛みを知るものが裁いてくれ その上で有罪というなら しかたがない いかなる刑罰といえども私は従う だが コンピューターに裁かれるのだけはいやだ やめてくれ いくら叫んだところで無駄だった 判決が下されると 早速 刑吏ロボットは処刑に取り掛かり 私を裁判所の屋上に連れていった 林立する高層ビルの間は深く刻まれた谷のようになっていた 覗きこんだ私の目に地上は遥かかなたに ひとつの点になって消えていた その地上に落ちてゆくまで私は1万年落ち続けなければならないのだ 刑吏ロボットは無造作に私の両腋に手を入れると まるで月曜と木曜に出す生ゴミのポリバケツを捨てるように 屋上から私を放りだした それから私は落ち続けた 昼と夜が幾度 繰り返されたのだろう 建物の窓に沿って落ち続ける私は 落ちながら建物の窓の中を観察するようになった 朝になると現れ夕闇が迫る頃 居なくなる窓の中の人々 不思議な事に どの窓にも同じ女が居た どこかで見た女だ 次第に落下の感覚はマヒしてしまい 窓の中の世界は映像のように目に映った 時々その女が窓越しに私を見た 女は悲しげな目で私を見ていた すぐに餓死が訪れ たちまち腐敗し白骨となり バラバラに砕かれ 風化し粉になり 風になった それでも私の意識だけは いつまでも 女を追っていた 女は齢をとることがなかった 1万年が経過して ようやく地上への落下が果たされる日がやってきた やがて私の落ちていく所に何か小さい四角いものが見えてきた 近ずいてみると それはベッドだった 見覚えのあるトラジディの船室にあったベッドだ ベッドに落ちた瞬間 私は目覚めた これが最初に見た悪夢だった つづく =====================================================================
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