CFM「空中分解」 #1469の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
10 “やっぱり、私達のことに気がついていたのよ”彼女は恐慌をきたしそうになった。 “やっぱり!!” “そんな馬鹿な!”流石に橋本も自分の名前が、知っているわけもない人間の口から出 たのには驚いた。本当に、この奇人が見抜いたのか? しかし驚いたのは彼らだけではなかった。杉丘も同様だった。 「なっ………何を!!」彼は怒気を露にした。 「彼女の恋人ですよ。」羅清は抑揚なしに言い切った。実は彼にとっても言いたくない 言葉であったが。「彼女にはいるんですよ、杉丘さん!」魔物に護符を叩きつける陰陽 師のごとく、彼は言葉を吐いた。 「まぁ、これほどの人だからいない方が可笑しいだろう。」男は平静を装うことに全力 をかけていた。しかし、それはうまく出来たとはいえなかった。「しかし、それを承知 の上なんだよ、俺に話さないということは。」 “こいつ、あんたが自分のものと思い込んでるぜ!” “………もう!!” 「言いそびれたってことだってありますよ。」ああ悲しいなぁ、橋本なる人物を認めな がらも、彼女のことを思わなくてはならないなんて! そうしているとき、彼の後輩が追い付いてきた。彼はノートやらを抱えていて非常に 苦しげだった。彼がきたために、暫し緊迫した雰囲気は掻き消えた状態となった。謎の 人物登場にステージが止まったままになったかのように。 「先輩、急なんですものねぇ!」これで彼の正体がみんなに知れた。 「君は社会観察クラブなのか?」逆転を狙う杉丘は糸口探しに懸命だった。 「ええ、ちょうど打ちあわせをしていたところなんです。」何の話をしているの、とい った表情の奇人の後輩。 「ほぅ、何の?」 「余計なことをいうな!」羅清は流れが変わりつつあることを感じ取った。 なるほど、奴は明日動きがとれないのか!だから、それでこんなに必死になって話を しているのか。明日さえクリアすれば彼にとっては良いのだからな。裏を返せば奴は明 日が弱点なのだ。つまりは明日こそ、ターニング・ポイントだ! 「そう言えば私、明日暇なんですけれども、孝子さん、デートしませんか?」 「え?」 「いっちゃいけない!」 「おい」男は奇人の肩をついた。「橋本某なんて架空の人間なんて出すんじゃねぇ!」 「何を!」初めて彼の前で羅清は熱くなった。「嘘だというのか!何故、嘘をつかねば ならん!」 「理由は簡単」完全に杉丘のペースだった。「御前も彼女を好きだからだ。でも、彼女 は俺のものだ。そこでなんだかんだといって邪魔したいのさ!」 “この野郎、誰を許可を得てそんなことをいってやがるんだぁぁぁ!”間借り人が怒鳴 る。 中村は奇人を心から恐がっていた。なんでもなんでも見透かしてしまう人間。橋本の ことを知っている。こうしてどこまでも追ってくる。一体、彼の目的はなんなのであろ う。私のことを好きな人がこんなことをするだろうか? この人間から逃れられる方法はこの場合ひとつしかなかった。 「あした楽しみにしてます。」彼女は作り笑顔で答えたのだった。 「………というわけで、もう絶望だぁ〜」 「話は分かった。なんだか私の言ったことが裏目に出ちゃったようね。それについては こっちから連絡しとく。それはそうとして明日、空けられないの?」 「無理です。残念ながら。」彼は電話の向こうの藤田に嘆いた。 「だってそれしかないじゃない、案としたら。明日あなたが孝子とデートしちゃうの。」「………」 「本当に無理なの?」 「残念ながら。それに研究と彼女を秤にかけるのは酷だよ。」 「何言っているの!彼女は明日だけなのよ。この危機を守らなくて………」 「ごめん。」 「…………分かった。じゃあ、彼女の心に任せることにしましょう、明日の夜の事は。」「………あの」 「何?」 「今の藤田さんは、どうして−−−−」 「心配しないで。もう、個人的な絡まりはないから。もっとも100%とはいえないけ れどもね。殆ど純粋なおせっかいからきていると思って。」 「はい。じゃ、有難くお受けいたします。」 「じゃあ、孝子が貴方にとっていい選択したら、また考えるとしましょう。」 「はい。じゃあ」 「ばいばぁ〜い。」 ガチャ! 羅清はごろりと布団の上に横になった。 少し見えかけた一筋の光も捻り潰されてしまった。ここからは受身にならなくてはな らないのか。しかし、何故こういうことになったのであろうか、分析してみよう。 杉丘は彼女を誘おうとしていたことは事実だ。しかし明日という日日は後輩がやって きて僕が動けないということを確認してからだ。杉丘にとってはこの間のこともあるし、あのときまで完全な僕のペースだった。それを覆す絶好のチャンスだったのだ。でもっ て、僕があせって感情に流され、彼女を説得出来なくなってしまったのだ。 だが、可笑しいぞ。彼女は私をみて最初ちゅうちょの色を見せていた。しかし、橋本 智樹という固有名詞を出したとたん、顔が蒼白になり震えてさえもいた。これは逃走の ときにも見せた顔だ。ということは、あの瞬間、彼女は依然と同じような恐怖を抱いた のに違いない。何故だ? 橋本智樹が彼女にとって恐怖なのか−−−− 「あるいは橋本智樹が外部に知られることが彼女にとって恐怖なのか」 うーむ。出来れば橋本なる人物と会ってみたいのだが、それは不可能だろう。 “俺は嫌だぜ、あんな奴があんたの恋人になるってぇのは。奇人さんの方が安心だぜ まだ” “私だってこうなるなんて思ってなかったわよ。杉丘さんにはまだそういった感情は生 まれていないし………” “向こうだってそうだ、遊びなんだよ!” “だってしょうがなかったでしょ!あいつは私達のことを完全に見抜いていたんだから” 彼女らは自室のベッドの上に寝ていた。真っ暗にした室内に外光が注ぎ込んできて青 の空間をつくっている。こうしていると、時計の音が大きく聞こえる。そんな中で大家 と間借り人は会話していた。 “御前だけの体じゃないんだぜ” “あら、貴方、私の恋人じゃないでしょ。そんな台詞をいうことが出来るのかしら。” “何言ってんだよ。御前さんの体に俺も一緒にいるだろ。そういう意味でだよ。” “本当は焼いているンじゃないの?” “なんで俺が焼かにゃあならんのだ!!” “そ!”少し、彼女はがっかりした。“でも、人の出会いってこんなものじゃない。遊 びから発展することだって大いに−−−−” “馬鹿野郎!!”突如彼は怒鳴った。 “怒鳴ることはないでしょ!!” “………済まない。” “………” “寝ることにしようぜ。明日は疲れそうだから。” もう、時間が無いんだ。その間に俺は何をすべきなのだ、この状況の中で! 彼はうなった。 .
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