CFM「空中分解」 #1467の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
8 「何ですってぇ!!」 藤田の素っ頓狂な声がぶーむ内に広がる。たまたま3時間目が空時間が一致したので 待ち合わせたのだ。ちなみに彼女は4時間目はあったが、彼はフリー。 「もう自信が無くなっちゃよ。」 「何言っているのよ。頑張りなさいよォ〜」 「いやね、僕がいいたいのはそーゆー事じゃなくて−−−」 「どーゆー事でもいいから頑張りなさい!」彼女はぴしゃりと言い切った。「全く!そ んなことでは取られちゃうわよ。」 「だからぁ……」彼女は思い込みが烈しい……… 「とにかく」藤田は顔を寄せた。「頑張りなさいよ。」 おぉ……いててぇ……… 中村は構内図書館の一角にいた。周りには巨大な辞典群がびっしりと壁を作っている 窓は彼女のすぐ脇にあるのだが薄暗い。窓のところに巨木の影が覆っているのだ。人の 入り込むことの滅多に無いこの奥地は今の彼女にとって唯一の安息地だった。 ストッキングが完全にチャケてしまっていた。新しい奴を買ってきて履いてみると、 ばんそうこうが非常にみっともない。彼女としてはばんそうこうははりたくなかった。 化膿してしまうからだ。しかし、素足で過ごす自信も無かった。結局急場をしのいでや るにはこれしかない。手も同様にはられていてゴワゴワした感じである。 たく!!乗ったはいいがバスは反対方向だし、それに気がつくまでかなりの間乗り続 けてしまった。御蔭で遅刻………。ラジオチューナーに起こしてもらってもこういった ハプニングがあるのでは………。まだ寝坊した方が言い訳がたつ。男におっかけられ、 逃げる途中で怪我をしふらふらと乗ったバスが反対方向へいく奴で、気力が衰えていた ために行程の半分近く乗ってしまったなんて……… 「あいつのせいよ!!」 「僕が言いたいのは」彼はコーヒーをすすった。「彼女にそういうことをする権利が 僕にはないんじゃないかってことだ。」 「そんなこと言い出して………煮えきらないんだから!」 「あのねぇ………。」奇人は天井を仰ぐ。「反対に考えてみよう。中村さんと杉丘くん が、その、なんだぁ、結ばれるのが悪いとはいえないじゃないか。ましてや、部外者の 僕がどうして口をはさめるものか。」 「だって羅清くんは孝子のことを−−−−」 「僕のことはどうだっていいじゃないか。」 「よかない!」 「彼女は僕に対して恐怖の念を持っている。そして僕は彼女のことを思っている。思っ ているということは、その人に不幸になってほしくないという感情を抱いているものだ。僕が接近することが彼女に嫌な思いをさせるのであれば近付きたくはない。次に杉丘く んは私に『彼女に接近するな、俺の女だから』というような主旨のことを言ってきた。 あいつは僕と正反対の人間でどうにも気にくわないのだけれども、本人同士が好きあっ てそうなろうとしているのに、接近するわけにはいかないよ。」 「理屈ごたごた並べる前に」バンとテーブルを叩く彼女の手は可憐だ。「実行しなさい よ。迷いもふっきれるわ、そうすれば!」 しかし彼は冷静だった。眼鏡をしゃくり上げると彼女をみつめた。 「私はね、どうも自分が将棋の駒の役目をさせられているんじゃないかと思ってね。 「どういうこと!」 「君は何故そんなに一生懸命なのかな。藤田さん、貴方は杉丘くんと失敗してしまった。それがどういう過程を踏んだものかしらないがね。貴方は寂しさが募っていた。何かに よって紛らわさなければならない。また、貴方のもっていた優しさからもこのことを纏 め上げたいと思った。不幸な事があったから幸福を作りたかった。そして材料はあった わけだ。一方、杉丘くんという人間は、ひとりの人間に対して深い情を抱きたいと思い ながらも実行出来ないというジレンマにたたされたある意味で孤独な人間なのだ。だか ら、ああして女がころころ変わる。まぁ、それはいい。彼は自分のペース、自分の法則 をを乱されるのを嫌うのは御承知の通りだ。それを貴方が粉砕した。貴方の方から見切 りをつけられた彼は深い愛情が爆発して絶対にそれを認めたくないという答えに至った。しかし、情勢からは困難だ。そこで貴方にあたり散らすことによって、ストレスを発散 しているつもりだった。しかしそんなことをしていて発散出来る筈が無い。むしろ溜ま る一方だ。で、この間レコード店で出会った。そこで藤田さんではなく、違う発散の場 を発見した。これから藤田さんを愛しながら苛めなければならないという矛盾は解決さ れる。表面上彼女を苛めることによって藤田さんを間接的に困らせることが出来、素直 に愛せるわけだ。貴方にとってみれば彼が言いがかりをつけて接近してきたと思う。そ して彼に従いたくもないという感情から非常に危機感を持ち、本来以上の熱を帯びた行 動に−−−−」 彼女の右手が吸い上げられるようにして上がったと思うと、次の瞬間彼の左頬に向か って振り降ろされた。烈しい肉のぶつかりあう音がした。奇人は少し首を右に傾け、そ の衝撃に耐えた。しかし眼鏡が斜めにずり落ちるのまでは防げなかった。女は震えてい た。打った右手を左手で覆った。羅清は眼鏡を直さず、テーブル上のコーヒーカップに 手を出した。そしてそれを口に運び含むと、優しい微笑みを浮かべて言った。 「本当のことなんだね。」と。 橋本はいじっぱりの中村の性格がまたも物事がややこしくしていることに気付いた。 どーしょもねぇなぁ〜もう少ししたら、あらわれてやっか。 彼はにやりと笑った。 「内部がそうなっているにしろ、表面的には中村さんと杉丘くんの恋愛問題で僕が入 る大儀名分がないし………また、そんな裏を知ってしまって何にも知らない彼女に接す のは嫌だし………さっき言ったように彼女が僕に恐怖を抱いている以上−−−−」 「お願い!今までことは………」彼女の栗色の瞳が大きく輝いていた。そしてすうっと その輝きの効力を発していた水滴が落下した。「だから頑張ってよ。」 「分かっている筈だよ。」 「じゃあ、貴方の心はどうなるの?私や杉丘、そして孝子に翻弄されっぱなしなのよ。 ほっとくわけには………」 「ま、しょうがないでしょう。」彼は笑顔を浮かべた。その哀愁を帯びた笑いはチャッ プリンそのものだった。 「あっ!」 「へ?」 「あったわよ、大儀名分!!」急に笑顔を取り戻した彼女は、笑いながら泣くという奇 奇妙な表情をするに陥った。「橋本智樹よ!」 「何ですか、それ?」なんか、ほとんどなりゆきの展開! 「あのね、貴方を紹介するときに彼女は『橋本智樹とつきあっているから』と言ったの よ。これが大儀名分だわ!その線で頑張ってみてよ!」 「はあ………」 まぁ、いい方法には違いないのだったが、なんだか喜んでいいやら悲しんでいいやら 彼には分からなかった。中村孝子とつきあっている橋本智樹をてこに中村と杉丘の間に 介入し、藤田と杉丘の事も解消しなければならない。そして、自分の恋愛の方もうまく 運ばねばならない。登場人物が少ない割に込み入ったストーリーの小説にはまり込んで しまったかのようだ。もっとも、人間関係なんてこんなものかもしれない。簡単なのは フィクションだけなのだ。 「………ふう。」彼は深く息をした。 .
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