CFM「空中分解」 #1413の修正
★タイトルと名前
★内容(1行全角40字未満、500行まで)
「まっ、実はこの食堂も、発現地点の一つだ」 からかい半分にのたまった話相手をこずき倒したその男はいたたまれなくなり叫んだ。「お−し、オレが正体つかんだらぁ!」 @お@お@−−−食堂内から意味不明のざわめきが沸き立つ。こずき倒された男はテ ーブルの下から顔を出した。 「本日十三日の金曜日、仏滅でござりまする。しっかと、骨はお拾いいたしましょう」 突如、雨が降り、再び男の顔がテ−ブルの下に沈むと、男は天井に向かって吠えた。 「仏滅がなんだ!十三日の金曜日がなんだ!このせいき様が幽霊なんぞに負けるかぁっ !」 と、その言葉に呼応するがごとくテ−ブルの下から水を滴らせた右手が這って出てき た。そして、気味の悪い声が…… 「クリ〜ニング代、請求しま〜す〜」 <Γ> さて、ここ一週間ばかり幽霊騒ぎに明け暮れているのは、全宇宙の悪人にその名を轟 かせている“オリンポス”という名の一応「軍」のステ−ションだったりする。 正式名称 辺境区監視基地YS−リ オリンポス 任務は、辺境区に出没する海賊とかなんとかといった犯罪者の取り締まり、等々。と にかく、「軍」の中ではやったらめったら危険な場所で、ここに来るのは志願者か、あ だもんで、かなりちゃらんぽらんな軍人ばかり。 が、有名なんだよね。こういうのに限って……。 中身の軍人達の奇想きてれつな話がもっとも有名なんではあるが、「オリンポスのア テナ」、「アテナ五人衆」とか、「全宇宙を見通せるアルテミス」、「負け知らずのア レス(実際は結構負けている)」等々。その実力面でもかなり売れている。 なおかつ、いろいろな情報を気軽に流してくれるというので「ト−ク ヘルメス イ ン オリンポス」というラジオ放送はことの他人気が高い(ただし、民間にのみ) などなど。 軍内部でも、軍基地であることを忘れてるんじゃないか、といった苦言さえ聞かれる。 で、極めつけがこれ。名前。 先刻も出てた、「アテナ」「アルテミス」「アレス」「ヘルメス」っていうのは、元 を正せばギリシャ神話の神様の名なんだけど、オリンポスにおいては、それは各班の呼 び名。 「ゼウス」 …… 総指令官 「アテナ」 …… 戦略指揮班 「アルテミス」 …… 電子管制班 「アレス」 …… 戦闘行動班 「ヘルメス」 …… 通信管制班 他にも八つの班があるし、 「月桂樹」……記憶容量宇宙第二位という極めつけのコンピューター。「月桂樹の 部屋」にある。 また、「アテナ五人衆」というのは、非常に優秀な戦略家達五人のことで、その、優 秀さは宇宙軍一。犯罪者には、アレスと並んで恐れられているチーム。 <Δ> 食堂で騒いでいた男が通路をうろうろと歩いていた。 十三日の金曜日、二十三時十分のことである。 さてこの男、名前は森谷せいき。階級は大尉。つまりは、上位階級者。所属はアレス の戦闘科。根っからの戦闘員で、腕は最上級。やや、乱暴者で、短気だが、なかなか優 しいところがある。一部の女性の間では、秘かに人気がある。 オリンポスの名物男。 年は二十六。若いのに大尉という階級を手にいれたのは、ひとえに、その実力の物凄 さというところだろう。 なお、食堂でせいきと話ししていたのは、ジェラリオ・ルームヘイガー少尉といいま して、これまた、オリンポスの名物男の一人。所属は、ヘルメス通信科。 せいきは、もう二時間ばかりずっとあっちをうろうろ、こっちをうろうろ。何しろ正 体不明のものを捜しだすってのは難しい。 しかし、どうみても、探し物をしてるという雰囲気は全く感じられない。ただ、鼻歌 まじりに楽しそうに歩いているだけ、という気がしないでもない。 と、実は……。 実際、楽しいのである。 幽霊騒ぎにかこつけて、まんまと残業をとんずら。 後でリ−ダ−にとっちめられるということなど考えようともしていない。単純としか 言いようがない性格。 「二回幽霊がでた、というが実感がわかん。何よりもこの明るさ。何かに見間違えたと いうことも、こう明るくてはそんな馬鹿な間違いはしないだろうし、実際そんなものも ない」 靴音だけが響く。 いくら軍基地とはいえ、やはり夜もふけてくると人通りが少なくなる。ちょうど、そ んな道にさしかかった時だった。 二十三時十九分。 ステ−ション内の時計が静かに変わった時。 「ぶっ」 ふわっと躍るように、目の前に水も滴る、いぃ−女が飛びだしてきた。 長い黒髪。透き通るような白い肌。抜群のプロポ−ション。顔はもうコンピュ−タ− が造りだしたような、非の一点もない美人。鮮紅色の唇が微笑を形作ると、白い真珠の ような歯が表れる。 美女はゆっくり体をめぐらし、微笑みかけた。 両腕を誘いかけるように差し出す。 「……幽霊か。いや、どちらかというと、ファッションモデル……」 せいきは、何気なく差し出された手に触ろうと……した。 油断なんてもんじゃなかった。 せいきともあろうものが、正体不明の物に用心も何もせずに触ってしまったのだ。 「?」 実体じゃない! と認識できたかどうか。 美女の手に入りこんだせいきの手に強烈なまでの電撃ショック。 「ガッ!」 叫び声を宙に響かせ、ぶざまにぶっ倒れる。 「くくく、くくくくくく」 どこからともなく聞こえる可愛らしい声が、せいきの耳に届いたかどうか。 せいきは、果てて……しまった。 <続く>
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